テレビ番組制作の昔と今

ライズプランニング

今回はキー局の生ワイド番組を担当しているベテランディレクターのSさんにお話をお伺いしました。

スタイリッシュでカッコよくて、経験豊富な憧れのディレクターという雰囲気の方です。

昔はとても大変な現場も経験されたとか…。

 

テレビの昔と今について、Sさんのお話をどうぞ。

昔のテレビの現場

 テレビの仕事を始めて18年になります。

就活をしていたときは、学校で勉強していたこともあり、

映像の仕事をしたいとは思っていましたが、テレビ業界と決めていたわけではありませんでした。

地元の大阪から上京して就活し、その結果テレビ番組制作の仕事に縁があって、この世界に入りました。

 

昔、3K(きつい・汚い・危険)という言葉がありましたが、

担当したバラエティ番組の現場は、まさにそのど真ん中のような職場でした。

休みも、2か月に1日あるかないか。

1か月に1日も家に帰れないということもありました。

正直、大変なところへ来てしまった…と思いました。

1週間経たないうちに辞めてしまう人もたくさんいました。

まあ、その頃はそんな現場が普通だったんですが。

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そのバラエティ番組には2年ほど携わり、トータル5年ほどADとして働きました。

改編の時期に放送される特別番組とか、情報番組なども担当しました。

昔はインターネットがなかったので、ディレクターから指示が来ても、

そもそも「どこに・誰に・どうやって連絡をとるか」とか「どうやって調べるか」がすぐに分からず、

苦労したことを思い出します。

 

今、思えば、一番最初の番組が一番大変でしたね。

キツい現場を早く経験したので、それ以降は「昔に比べればまだまし」と思えたかな。

30歳前にディレクターになり、

一つの番組のみを担当するようになったのはここ7、8年です。

それまではいくつかの番組を掛け持ちしていました。

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今思い出す、いちばんキツかったこと

忙しかった頃のことで思い出すのは、あるクリスマスです。

 

夜遅く、ディレクターに、ひと晩うちへ戻っていいよと言われたんです。

本当に久しぶりの帰宅でした。

「寒いし、ゆっくりお風呂にでも入って寝よう」と思いながら家に着いて、電気をつけようとしたらつかない。

あれ?と思ったら郵便受けにたくさん、公共料金の払い込み書が入っていたんです。

ずっと家へ帰れなかったので、払う暇もなく、そのままにしていたら電気が止められていたんですよね。

ガスも水道も止まっていて、お風呂に入ろうにも入れなかった。泣きながらベッドに入りました(笑)

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次の日も朝早く起きて仕事へ行きました。

正月は1日だけ休めたので、そのときに料金を払ったんだと思います。

あのときが一番きつかったかな。

 

テレビの仕事を辞めよう、とか、休みたい、と思わないことはなかったです。

でも、辞めたいという気持ちだけで飛び出して

「じゃあお前、次に何するねん」と誰かに聞かれても、答えようがないなと思っていました。

昔は意地と負けん気だけでやっていたのかもしれません。

今辞めたら完全負けやな、と思っていたのかな。

それに、早くディレクターになりたい、という気持ちも強かったです。

なのでなんとか辛抱して、ディレクターになれたときは、気持ちも楽になったし、

ひとつ大きな壁を越えた気がしました。

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 「現場」が持つ力

ある災害の現場に行ったときのことです。

その現場には、ほかのテレビ局はどこも来ていませんでした。

別のところで取材をしていたんですね。

でも、報道陣が多く詰めかける場所以外にも被害を受けている地域はたくさんあるわけで、

自分たちはそういうところへ足を運んだんです。

 

救助や支援がまだ来ていない目の前の光景は、現実とは思えない、言葉を失うようなものでした。

家畜小屋がほぼ全壊している、

でも中には逃げられなかった家畜がおそらくいるのだろう、というような状況。

あまりに生々しくて、なんでこんなところに来ているんだろう?と

「素の自分」が思っていました。すごい有様を見てしまっている、と。

 

「テレビ番組制作の仕事をしている自分」は、

この状況を伝えるのは大事だと感じているんです。

でも、自分たち以外にはその現場に誰もいない、

これを最初に見ているのは自分たちなんだという事実が次第に衝撃に変わってきて、

正直なかなか仕事モードに切り替えられませんでした。

現場って、そういう力があるんですよね。取材する側の気持ちをさらってしまうというか。

 今思う「テレビの仕事の魅力」

こんなふうに、直視するのがつらいような現場に行くことももちろんありますが、

テレビの仕事は、普通だったら行けない場所に行ける、

会えない人に会える、そんな仕事なんですよね。

ベタなことを言えば、好きだった芸能人に仕事という大義名分をもって接することができる。

そんな機会はほかの仕事ではなかなか得られませんよね。

 

昔、あるタレントさんに番組宣伝用のコメントをもらうための撮影をしていたときのことです。

テレビの仕事に就いて初めて、タレントさんに間近で会ったんです。

僕の役割はカンペをめくることだったんですが、

ずーっと、うわーって思ってタレントさんを見てたので、カンペをめくるどころじゃなかった(笑)

当然ですがあとでディレクターに怒られました。

舞い上がっちゃったんですよね。そんなこともありました。

 

今はキー局の朝の生ワイド番組、報道色の強い番組を担当しています。

2年くらいになります。

今まで情報系の番組に携わることが多かったので、

テレビの仕事のキャリアは長いですが、新鮮な気持ちですね。

その現場現場のやり方やルール、スタンスがあるので、それに慣れつつ日々やってきたという感じです。

 

テレビの報道・情報番組は「毎日の生活に必要な番組」ですが、

一度やってみたいのは視聴者に「録画して見たい」と思われるような番組です。

ドキュメンタリーとか、ジャンルにこだわりはないんですが、

録画してじっくり見る、時間を忘れるくらい没頭してしまう、

そんな「作品」と言えるような番組をいずれ作ってみたいですね。

 昔があるから今がある

さきほども言いましたが、

テレビ番組制作の仕事は「他では味わえないような経験」ができる仕事です。

日常生活ではなかなか行けないようなところに行ける、

なかなか会えないような人に会えるのは

「報じる・伝える」ための仕事の一環なんですよね。

 

そういうチャンスがあるということは、日々のモチベーションになります。

自分が今、そう言えるようになったのは、

昔のキツい経験があったからかもし

やっぱり仕事はなにかワクワクするようなことがあったほうがいいですよね。

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そんな環境を存分に活用して、

国内だけでなく国外にも、どんどん発信していくという気概を持ってやってもらえたらなと思います。

可能性はたくさんありますから。

 取材を終えて

 長年、様々なテレビの現場で働いてきたディレクターならではのエピソードを聞かせてくださったSさん。

昔があるから今があるという言葉、

どの仕事にも通じることではないでしょうか。

いつかじっくり時間をかけて作った番組を、ぜひ見せてください!(ライター・K)

 

 

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