テレビは無料で見ることができるのに、どうやって収益を上げているのか?
みなさん不思議に思ったことはないでしょうか。
テレビの世界ってよくわからないよね
今回はテレビ局がどのようにして収益を上げているのか、ということをテレビ業界で実際に働くスタッフを多数抱える会社であるライズプランニング、ライズアドバートが解説していきたいと思います。
広告収入
民放局の主な収入源となっているのが広告収入です。
テレビは無料で見ることができますが、テレビ番組の間にはCMが挟まれていますよね。
そのCM枠を企業に買ってもらうような形で収益を上げているのです。
CMの種類は大きく分けて2つ。「タイムCM」と「スポットCM」です。
これに関してはタイムCMとスポットCMの違い。どちらを選べばいいの?という記事で解説しているので詳しく知りたい方は読んでみてください。
テレビ放送というのは国に認可を得て行っている許可事業で、どんな時も公平な放送を心がけなくてはいけないので
特定の広告主と直接テレビ局がやり取りをする、ということはありません。
そこでテレビ局と広告主の間をとりもつのが広告代理店(このサイトを運営している私たちも広告代理店→ライズアドバート)です。世間的に有名な企業だと、電通や博報堂、アサツーディーケイですかね。
それぞれに特色があって、例えばわかりやすいところだと「アサツー=アニメに強い代理店」といったところでしょうか。
テレビCMを出したい、という企業はまず広告代理店(電通や弊社)に相談をし、そこから内容を詰めて
広告代理店経由でテレビ局のCM枠を確保します。ちなみにCM制作現場の雰囲気はこのような感じです。(弊社で実際に行われたCM制作現場の様子)
クライアントとテレビ局を繋ぐのが「代理店」だゾウ!
有名な番組の場合だと、大手広告代理店がテレビ局から枠をあらかじめ確保しているということもあります。まだ広告主が決まっていなくても、人気の枠であれば必ずどこかの企業が「その枠でCMを出したいです!」と手を挙げるからです。
視聴率が高い番組、つまりたくさんの人が見ている番組ほど広告宣伝効果が高いですから、
番組制作側も番組の視聴率を上げようと努力します。
番組の視聴率が上がれば、より高い金額で広告枠を買ってもらえるようになり、
番組の予算が上がって、番組制作で出来ることの幅が広がるんですね。弊社スタッフ(制作チーム)も予算があるからこそ、こだわった映像制作を続けることができるというわけです。
例えば、旅番組だったらどうでしょう?番組の序盤は、視聴率がとれており、潤沢な予算があった。そこで海外の珍しい場所を取材する番組を流せた。しかし、視聴率が落ちてくると、海外ではなく国内になり、視聴者が離れる。
結果的にさらに視聴率が下がり、最終的には番組が終了。そんなこともあります。
このように、広告を挟むことでユーザーにコンテンツを無料で届けている、というものは世の中にたくさんあります。
例えばスマホで無料のアプリゲームなんかで遊ぶ時。
ユーザーは「広告が入ってうざい!」と思うかもしれませんが、その広告による収入があるからこそ、そのゲームを運営していける、という仕組みになっているのです。
関連記事:TV番組の企画は誰が考えてるの?
受信料
受信料を主な収益源としているのはNHKです。
民放とは違って、NHKではCM枠がありません。
なので広告収入で収益を上げているわけではないんですね。
その代わり、国民から受信料、という形で料金を徴収して収益を得ています。(日本国民の80%程度の人が支払っているとされています)
県によっても支払い率は違うゾウ!NHK受信料支払いが始まったのは1950年のこと。1972年に日本に返還された沖縄県では今でも支払い率が低い状態にあります!
民放とは違い、国民から受信料を徴収しているので、広告主に依存しない、安定した収益を得られていると言えるでしょう。
全国どこでも視聴できるように47都道府県に局を持っています。
民放局とは規模が全然違うんですね。
このことを念頭において、ぜひ民放番組とNHKの番組を見比べて見てください。
NHKは到底民放の番組予算ではできないような番組を制作していることがわかると思います。
例えばよく動物のドキュメンタリーをやっていたりしますが、あれは番組を制作するのに下手すると数年単位で時間を費やしていたりします。
動物の貴重な映像をカメラにおさめる、というのはとても大変なことで、偶然と奇跡を待つしかないようなところがありますからね。
撮れ高があまりよくなければ、そのままお蔵入りになることだってあります。
一方民放番組であれば、一つの番組を作るのに長くても大体数ヶ月程度しか時間をかけられません。
もちろん例外もあると思いますが、それほど、番組に費やすことができる時間にも差が出てきてしまうのです。
関連記事:NHKと民法テレビ局はどう違うの?
視聴料金
基本的にテレビは無料で見られるものですが、中には視聴料金を支払わないと見ることができない有料のチャンネルもありますよね。
- スカパー!
- WOWOW
というような衛星放送の有料チャンネルや
- Hulu
- Netflix
などのインターネットテレビも最近は加入者がどんどん増えています。裏話ですが、実はスカパーなんかは「メディア事業」よりも「宇宙事業」の利益の方が多く、
「メディアの会社」と括って良いのか?は疑問符がつきますが。
こういった有料チャンネルは、月額で視聴料金を徴収することで収益を上げているので、
基本的には広告を挟まず、ユーザーも快適にコンテンツを楽しむことができるようになっています。
さらに、電波が届きにくいところや専門チャンネルを見たい、という人はケーブルテレビを契約している人もいるでしょう。
好きなジャンルの番組をより楽しみたい、という人は、こういった月額課金制のチャンネルを使っている人が多いですね。
関連記事:テレビ放送の種類。地上波?衛星?有線?
ライツ
ライツ、というのは英語で「権利」という意味です。
テレビ局が制作した番組の権利を二次利用することで得る収益のことを指します。
例えば海外にコンテンツを輸出したり、番組のDVDやグッズを販売することで得る収益です。
特にアニメ事業は海外輸出も多く、テレビ東京などはDVD化、グッズ化にも力を入れています。
関連記事:テレビ番組制作をする時に知っておきたい著作権について。
その他の事業
テレビ局の事業について調べてみるとわかることですが、
実はテレビ局は放送事業だけを行なっているわけではありません。
特に民放企業は、収益のほとんどを広告収入に頼るような形になってしまうので、
多角的な事業を行なっているところが多いです。
- フジテレビの都市開発事業
- 日本テレビのスポーツクラブ事業
- テレビ東京のEC事業
などです。
例えば、日本テレビのスポーツクラブは「ティップネス」です。
1986年にサントリー株式会社の子会社としてはじまったティップネスですが、その後、2014年に日テレの完全子会社へ。
他にも例えばTBSであれば、「赤坂Bizタワー」や「赤坂・ザ・レジデンス」等の不動産賃貸業も、売上的には全体の10%未満ですが、利益で見るとテレビ事業での売上と同じくらい稼いでいたりします。
こういったことも、テレビ局に興味があったら調べてみると面白いかもしれませんね。
関連記事:テレビ業界の採用時期と就活のために持っておくと良い知識。