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テレビ業界の裏話

テレビ業界の志望動機が「テレビが好き」という人が制作で感じるギャップ

テレビ局やテレビ番組制作会社を受けるみなさんから、志望動機を聞くと、

  • テレビが好きなので、仕事はテレビの制作をしたい
  • 落ち込んでいたときに、ある番組を見て勇気づけられた。今度は自分が誰かを勇気づけられる番組をつくりたい。
  • バラエティ番組が好きなので、バラエティ番組の作り手になりたい。

と答えられる方がほとんどです。

 

好きなものを仕事にするのは、いいのですが、テレビの画面と、テレビの裏側とは、激しい落差があります。

テレビで見れる番組の世界観と、その作る側の世界観は全く別もの。

 

番組を見るのは趣味の一環ですが、番組を仕事にする、というのはどういうことなのか、書いてみたいと思います。

 

テレビを見るのとテレビの制作はどれくらい違うのか

 

私たちが見ているテレビ番組は、例えていうと、「海水から出ている氷山の一角」です。

その一角を支えているのは、海中に沈んで見えない氷山の土台の部分。

 

私たちが見ている一角の面積の何倍もの大きさがあります。

 

新人のアシスタントディレクターは、その一番下の部分に位置します。

スポットライトが当たったスタジオに並ぶタレントさんたちが氷山の一角なら、スポットライトの後ろの一番遠いところにいるのが、アシスタントディレクター。

 

放送はレギュラーなら1時間番組が多いです。

スペシャルだと2時間番組。

 

CMタイムがありますから正味は、45分、2時間番組なら92分くらい。

じゃあ、収録時間は45分や92分で済むかというと、そうではありません。

 

スタジオ収録はリハーサルと本番で、丸1日かかりますし、

スタジオとVTRの構成であれば、VTRの制作に、1~2週間かかります。

 

準備やリサーチの期間をいれると、1か月ほどかかります。

それくらい時間をかけて制作されています。

 

放送されているのは、数分ですが、撮影した映像素材は、その何十倍もの時間数のものがあるのです。

それを管理するのもアシスタントディレクターの大事な仕事。

おもしろい番組を一番下で支えているのがアシスタントディレクターたちなのです。

 

テレビを見ても、彼らの姿は見えませんし、気配も感じませんよね。

たまに、番組でADさんがいじられることがあり、そういうシーンを見たことがある人は、「こういう人たちが支えているんだ!自分もやってみたい!」と思ってくれることがあります。

 

テレビで見る番組が「天」なら、それを制作している人たちの仕事は「地」

番組が「ハレ」なら、仕事は「ケ」

それくらい違いがあります。

関連記事:ADの仕事のイメージと実際の違い。実は結構地味です。

 

テレビの仕事の社会的意味

 

さて、そもそも「仕事」ってどういうことなのか、を考えてみたいと思います。

 

自分が就活していたころは、仕事というのは生活費を稼ぐ手段、と思っていた節があります。

なので、自分が好きなコトと仕事は別と考えていました。

 

いろいろな分野の説明会に行ったり、面接を受けたりしましたが、実際にその会社で働くということをシミュレーションしてみると、なんとなく居心地の悪さを感じました。(まだ働いてもいないのに…)

 

自分のことをいうと、小さいころから組織が苦手だったということがあり、自分が受けていた会社は大会社だったので、通勤するのが苦しくなるに違いない…と感じたのでした。

 

そして考え直していくわけですが、結局、自分にできそうだ、と思ったのが、テレビ制作でした。

収入は生活できるギリギリラインでしたが、高収入を狙うなら自分の苦手なことをしていかなくてはならないんだなと思ったものです。

 

働き始めると、テレビっていうのは、日常的に無意識にスイッチを入れて見ているものだけど、社会にどう役立っているのかな?と思うようになりました。

 

テレビはなくても生きていけるものだし…毎日流れていくものだから、

人のためになっているのだろうか?どんな役割を担っているものだろうか?

ロケや収録は楽しいけど、楽しいを仕事にするのはどうなんだろうか?と思い始めます。

 

形として残らないものを作るというのが、儚いなあ。見てくれる人が何万人もいても、その番組が記憶に残るということもないなあ。

 

つまり、テレビって社会にどう役だっているのか?っていうことが、自分のなかでくすぶり続けていました。

それが、うまく落とし込めると、これが私の仕事です、と胸を張って言えるような気がしたのです。

 

考えあぐねてたどり着いたのが、

まず、報道であれば、日本のみならず世界中でおきている事件や事象を、正確に、そしてわかりやすく放送することで、誰もが家にいながら知ることができます。

正確な情報を得ることで、地方や世界でおきていることが把握できます。

 

情報であれば、休みの日の過ごし方や誰とどこに行こうか、という選択肢を広げてくれます。

料理や飲食店の紹介であれば、今夜何を食べようか?という疑問にヒントをくれたりします。

 

バラエティやドキュメンタリーだと、世の中にこんなものがあるのか、こんな人がいるのか、と知ることができますし、

紀行ものだと、世界中にこんなすごい場所があるのか、行ってみたい!見てみたい!と好奇心がわきます。

 

テレビは次の瞬間に何が飛び出してくるかわからない、という面白さがあります。

知らない世界を垣間見れる、未知のことがのぞける。

何が出てくるかわからない面白さ。

 

テレビで知って、自身のやりたいことが見つかったという人や、テレビでドキュメンタリーを見て、やる気をおこした、

テレビで笑って気分が明るくなった、地方でおきている被害を見て自分に何ができるか考えた、など、

「知る」ことで自分の選択肢を広げたり、目標をもったり、使命を感じたり、と人を動かすことができるメディアなんだと気づきました。

 

情報のバリエーションを届けることで、人々の選択肢を広げる、希望をもたらす、感情が動く。

それは、人々の生活を豊かにしていること。

それがテレビの仕事ではないか、と至りました。

関連記事:就活時に知っておきたい、テレビの役割について。

 

「テレビが好き」から「仕事」に転換する

 

テレビが「好き」だけでは、実際に仕事にしたときに、すぐ壁にぶち当たってしまいます。

意外とその「壁」の正体がなんなのか、わからない、つかめない。

ただ漠然と、やっていてどうなんだろう?と感じる瞬間が訪れます。

 

そのときに、この仕事って、どう社会に役立っているんだろう。

なんのために番組を作っているんだろう。と考えてみると、壁の正体が見えてくるかもしれません。

 

そのときに、やっぱり続ける価値がある。と思えるかどうか。

そして、ディレクターになってどんな番組を提供していきたいのか、と具体的にしていくと、乗り越えられるかと思います。

関連記事:アシスタントディレクターの志望動機はどうやって書けばいい?

 

では今日はこのあたりで。

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テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。




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