東日本大震災の時にACジャパンのCMがたくさん放送されました。
「ポポポポ~ン」というフレーズが頭に残っている方も多いのではないでしょうか。
このCMは「あいさつの魔法」というタイトルのCMでした。
特定の企業のCMというわけではないですし、
「公共広告機構」と表示が出ますが、ACジャパンとは一体なんなのか、なぜACジャパンのCMが放送されているのか、ということが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は私もとても疑問に思っていたことでした。
特に東日本大震災が起きた時に、繰り返し流されたACジャパンのCMには大きな違和感を感じました。
ACジャパンとは
ACジャパンの公式サイトを見てみると、以下のような記載があります。
ACジャパンはどのような団体ですか?
公益社団法人ACジャパンは、全国の企業や団体、一般個人の方から寄せられた会費のみで運営されている民間のボランティア団体です。政府や公的な機関が運営や助成をしている団体ではなく、もちろん、税金も使われていません。「公共マナー」「コミュニケーション」など、社会の課題をテーマに公共のための広告(公共広告)を作って発信しています。
実はACジャパンはボランティア団体なんですね。
税金が使われているわけでもなく、企業や団体、個人の方からの会費で運営されており、
テレビCMにもお金はかかっていません。
ボランティア団体が行っている公共広告のため、何か特定の企業や商品などを宣伝する内容ではなく、マナーやコミュニケーションなどを促すような内容になっているわけですね。
ACジャパンはなぜ災害時にたくさん放送されたのか
こちらもACジャパンの公式サイトを見てみると、以下のような記述があります。
なぜ震災等、有事の際にACジャパンのCMがたくさん放送されるのですか?
ACジャパンのCMはあらかじめ放送局にお納めしておき、放送局のご判断で適宜放送していただく仕組みとなっています。震災等の有事の際は、様々な理由で一般企業様がCM放送を自粛されることがあるため、その代わりにACジャパンのCMが放送されていると考えられます。
テレビCMはさまざまな理由で放送が自粛されることがあります。
実は東日本大震災の時も、テレビCM自体は放送することができたのですが、あえてCMは放送しない、自粛という形をとるようにした企業さまが多かったんですね。
「日本がこんなに大変なことになっているのに、テレビCMを放送している企業はどういう考えなのだ」
と思われてしまうのではないか、というのが企業側の見解だったのだと思います。
東日本大震災の頃はテレビはどのチャンネルも甚大な被害を受けている被災地のニュースをやっていましたし、そんな中で
- この商品いいですよ!買ってください!
- 新しいサービスが出ました!
- うちの会社、頑張ってます!
というようなCMをしても、かえってネガティブキャンペーンになってしまうだろう、と考えた企業さまが多かったのだと思います。
地震発生直後はCMを放送していた企業も、数日経ってから放送自粛としたりしていました。
ちなみにこういった災害時に予定されていたCMが放送されない場合や、
企業の判断でCM放送を自粛する場合は、原則として放映料の返金はありません。
東日本大震災に関しては災害規模も大きかったので、テレビ局によって対応もさまざまで、一部返金としているところもあるようですが、
テレビCMは放映に際して、原則返金を行わない、という契約になっていることが多いです。
東日本大震災の頃はあまりにもCM放送を自粛する企業さまが多かったため、ACジャパンのCMは1週間で1万3000本以上も放送されたとのことでした。
あまりに放送されすぎていて、これがトラウマのようになってしまい放送中止を求めるクレームが多く入ったそうです。
ナレーション音声や音楽の差し替えなどがされて、印象的なフレーズが抜かれ、大震災後に色々と改良されていました。
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NHKと関係あるの?
公共広告と聞くと、公共放送であるNHKを思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。
NHKには民間の広告は入りませんが、ここに繋がりはあるのでしょうか?
実はNHK(日本放送協会)もACジャパンの会員企業です。
2000年にはNHKとの共同による啓発キャンペーンとして公共広告を放送した実績もあります。
実はこの活動は現在も継続中であり、公共広告の共同キャンペーンとして放送がされ続けています。
NHKでCMを放送する場合は、CM末尾の「AC JAPAN」のロゴとサウンドロゴは使用せず、
代わりにロゴが表示される部分を「公共放送 NHK」のロゴとナレーションを使用した映像に差し替えています。
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