テレビ業界の裏話 PR

ADは寝れないってほんと?

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テレビ業界にこれから入ろうとしている人は、業界が激務で家に帰れず、寝れない、という話を聞いて不安に思っている人もいると思います。

結論から言うと、現状のテレビ番組制作の現場では、帰れない、寝れない、という日々が続くことはなくなっています。

夜通し作業を行わなくてはいけない、ということは確かにあるのですが、それが連日続いて帰れない、ということはなくなりました。

今、テレビ業界はまさに過渡期というか、制作の在り方もここ数年でずいぶん変わってきているところがありますので、これまでのテレビ業界と今のテレビ業界について、解説していきたいと思います。

昔は帰れない、寝れないは当たり前だった

10年ほど前は、テレビ制作に携わるスタッフは家に帰れな、寝れない、というのが当たり前でした。

本当に忙しい時は、服を着替えるためだけに帰るくらいで、3週間ほぼ家に帰れない、みたいなことも普通にあったそうです。

それが変わったのが働き方改革。

働き方改革関連法という法律が2019年4月より施行され、従業員の働かせすぎが発覚すると企業自体が処罰を受けるように変わりました。(中小企業は2020年4月からの施行となっています)

月に4日は絶対に休みをとらなくてはいけないようになり、労働時間についても条件等いろいろあるもの、簡単に言うと月に230時間以上は働いてはいけない、という決まりになったのです。

これはテレビ業界でももちろん適用され、今まで帰れない、寝れないが当たり前だった業界の在り方ががらりと変わりました。

勤務時間は総務部などが管理するようになり、働き方改革から逸脱しそうな勤務時間の人がいると、指摘がくるようになっています。

未経験でテレビ業界に入ると、最初はアシスタントディレクターとして働き始めることになりますが、基本的にディレクターについて回って色々学ぶようなスタイルになります。

そして労働時間をオーバーしそうになると、指摘はディレクターに入るものです。

そのため働き方改革によって、ディレクターはアシスタントディレクターの労働時間にも気を配らなくてはいけなくなりました。

そもそもなぜ帰れない、寝れない、というような状況が起きてしまうのかというと、番組を作るために最初はネタ出し、企画会議を行うわけですが、それでネタが決まらず、どんどんスケジュールが後ろ倒しになってしまい、本当だったら数日間取れるはずだった編集の日程が1日しかとれない、みたいな状況になっていってしまうんですね。

アイデアが決まればあとはやるだけという感じになっていきますが、アイデアが必ず毎回すぐに出るわけではないのと、ディレクターは並行して複数の番組を担当していたりもするので、忙しい時期が重なってしまったりすることがありました。それが帰れない、寝れない、の主な原因になっていた様に思います。

関連記事:アシスタントディレクターの仕事内容について解説します

働き方改革によって変わったテレビ制作の現場

中小企業において働き方改革が本格的に適用されたのは2020年4月から。

ちょうど新型コロナウイルスの蔓延もあったりして、「働き方改革なんてできないでしょう」というところに「やらざるを得ない」状況がぶつかりました。

新型コロナ蔓延によって、色々な番組がロケに行けなくなり、実際制作の仕事は激減した時期がありました。

もちろん今もまだ、その名残はあります。

制作費も大幅カットとなっている番組がほとんどです。

しかし無理矢理にでも労働時間を減らさなくてはいけない状況になったことによって、番組制作にも色々工夫が見られるようになりました。

会議はほぼオンラインになり、移動時間がなくなりましたし、以前は編集室にディレクターと一緒にアシスタントディレクターも入って編集を見て学ぶ、ということが当たり前だったのですが、最近はディレクターさえ編集室に入らず、オンライン上で指示出しをすることも多いです。(実際編集室で作業するのはエディターやミキサーの方々です)

番組を見ていても、スタジオに全員が集まらずに別々の場所でオンラインでつないで、それを同一画面上に合成で出す、というようなものをよく見かけるようになりましたよね。

今までできたはずなのにやってこなかったことに、チャレンジせざるを得なくなったという感じです。

これはテレビ業界だけでなく、様々な企業で言えることでしょう。テレワークという言葉も当たり前の様に使われるようになりましたね。

関連記事:2020年コロナの影響でテレビ業界の採用はどんな風に変わった?

しわ寄せはどこに行っている?

しかし、すんなり働き方改革が受け入れられたというわけではありません。

帰れない、寝れないとされていた現場がそんなに簡単に楽なものになるわけではないのです。

そのしわ寄せはどこに来ているのかというと、まずディレクターにきています。

アシスタントディレクターが今までやるはずだった仕事を、時間内に終わらないのであればディレクターがフォローすることになるんですね。

アシスタントディレクターの労働時間が増えればディレクターも連帯責任になってしまいます。

さらに、アシスタントディレクターにもしわ寄せがきています。

帰れない、寝れない、というのがなくなったのは良いことですが、それによって勉強する機会は減りました。

編集室に一緒に入れない、本来やらなくてはいけない仕事をディレクターがパパッとやってしまう。それによってアシスタントディレクターはどんどんディレクター職が遠くなっていくでしょう。

今まで以上にアシスタントディレクターがディレクターになるのが難しくなったとも言えるのではないかと思います。

労働環境が改善された分、働きやすくはなったと思うのですが、「早くディレクターになりたい」と思うのであれば、できれば休日の時間を使って、編集や演出などの勉強をした方が良いでしょう。

関連記事:番組制作の編集ってどんなことをするの?働き方は?

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長倉 さやか
ライズプランニング(広告部)」の長倉です。広告手段としてのテレビの使い方やテレビメディアの楽しさを多くの人に知ってもらえるように執筆しております。


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