今回はとある情報バラエティ番組を例にして、
番組リサーチの仕事がどのように行われているのか、ということを解説してみたいと思います。
番組リサーチの仕事とは?
テレビ番組を見ていると「へ〜そうなんだ!」と思う新しい知識がたくさん入ってきますよね。
番組を作る上で欠かせないのがリサーチの仕事で、この「へ〜そうなんだ!」を引き出しているのがまさにリサーチを担うリサーチャーさんたちです。
リサーチ会社というリサーチのための専門の会社もあるくらい、リサーチというのは重要な仕事なんですね。
番組によってはADがリサーチ業務も行います。
リサーチは番組で取り扱うネタについての情報を集め、深掘りをしてく仕事。
取り扱うネタに関する様々な情報を調べあげ、番組の肉付けを行うお仕事です。
週に二回の番組企画会議に参加
今回例に挙げるのは週一回放送している情報バラエティ番組ですが、企画会議は週に二回ありました。
収録自体は一日に二本撮ります。
企画会議に参加する人は、演者であるタレントさんはまだいない状態で、
- リサーチャー
- 構成作家
- AD
- ディレクター
- プロデューサー
などが参加し、全体で30名ほど。
番組の企画会議は通常は10名前後で行われることが多いですが、この番組関してはほとんど全員が参加でかなり大所帯でした。
番組の中でコーナーは3つほど。
一つの企画あたりにディレクター1名、アシスタントディレクターが2名くらいの割り振りになって、ネタが決まればここからリサーチがスタートです。
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リサーチの具体的な方法
例えば〇〇というエリアで昔から愛されているグルメ、みたいな企画だったら、
最初はネットでググって情報を調べていきます。
しかしググるだけだとそれをテレビでネタとして使うことはできません。
テレビで流す情報にはきちんとした裏付けが必要で、「嘘かもしれない情報は流してはいけない」という鉄則があるのです。
そのため歴史の本なども読んでリサーチしていきます。
よく使われるのは国会図書館。
バックナンバーが豊富で、雑誌などのなかなか普通の図書館では読むのが難しいジャンルの本もあります。
有名なリサーチャーの人同士は国会図書館でよく鉢合わせするそうです。お互いすごい量の本を借りて帰るから目立つんですよね笑
さらに、そこから電話でのリサーチも行います。
電話帳ナビというサイトがあって、ここに載っている調べたい地域にある美容室や飲食店みたいなお店に片っ端から電話をしていきます。
本来のネタと全く関係のないところに電話をしているように感じますが、実際に美容室や飲食店に電話して「〇〇という番組なんですが、今このこういう企画でこのことについて調べていまして、お話聞かせていただけませんか?」と電話し、
今回の企画であれば「〇〇というグルメを知っていますか?いつから食べていますか?」というようなことを聞いていくんですね。
ネットの情報とは違い、これは裏取りになります。
実際に食べている人がいたり知っている人がいれば、それを情報としてテレビで放送することができるようになるわけです。
簡単に説明しましたがこれは気が遠くなるような作業です。
ある程度企画の骨子は決まっているので、それに沿うような、「欲しい情報」「欲しい回答」があります。それをうまく引き出せるように、リサーチがとても重要になってくるんですね。
もちろん「欲しい情報」「欲しい回答」を無理やり言わせることはできません。これではやらせになってしまって問題になりますから、ある程度予測を立てて、それを引き出していく、というのがディレクターの仕事になります。
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リサーチの内容と実際が全然違うこともある
全国を飛び回らなくてはいけないような番組だったり、海外ロケが多いような番組の場合は、リサーチの段階で現地に行くということはもちろんできません。
番組で決まっている予算もありますので、それに収まるように、なるべくリサーチはその場でやるのが鉄則。
基本はネット、電話、本になります。
ですが情報源がそれだけだと、やはり実際に現地に行ってみたらリサーチの内容と全然違う、ということが少なからずあります。
ネットの情報も常に最新のものというわけではありませんし、特にニッチなエリアの企画だとそもそも出てくる情報自体が少なくて、なかなか全体像が見えてこない、ということもあります。
そもそも企画自体がお蔵入りになることもあります。
わざわざ労力と時間を割いて現地に行った上でお蔵入りというのはなかなかしんどいですから、それがないようにするためにもリサーチは事前にしっかりしておくということが大切です。
とても大変な仕事ではありますが、テレビ番組制作に関わることで、普通に生活していたら絶対に関わることができないだろうジャンルのことを深く知ることができる、というのがやりがいに繋がるなと感じます。