テレビ番組制作の仕事というと、
- ディレクター
- アシスタントディレクター
- プロデューサー
がメインですが、情報番組や、バラエティ番組や特番などでは、リサーチという専門的な仕事があります。
リサーチの仕事はアシスタントディレクターだけではなく、ディレクターやプロデューサーの仕事の一つでもありますが、
そのリサーチの仕事を専門的に行っている人や会社もあります。
では、リサーチの仕事はどういう仕事なんでしょうか。
番組のネタ探し
テレビ番組の企画がどうやって作られているのかというと
番組の企画はディレクター、あるいは、プロデューサーの
- こういうところに、あのタレントが行ったら、おもしろいんじゃないか?
- 企業のこういう取り組みって、今までにないからみんなが知りたいんじゃないか?
- 人気店の人気メニューがなぜ人気なのかを探ったらおもしろいんじゃないか?
などといったひらめきが始まりだったりします。
そのひらめきを具現化していくために、企画に見合った取材先がどんなところがあるのか?を探してくるのが、リサーチのお仕事です。
これはあくまで番組作りではなく企画の段階のお話です。
企業の取り組みや、新商品や新サービスの開発、チェーン店や大型飲食店、スーパーマーケットや専門店などのユニークな取り組みなどを調べたいなら、
近々の全国紙、日経系の新聞、専門誌を見ます。
ネット検索も合わせてします。
企業のホームページを見ることもありますが、企業のホームページはお目当ての情報になかなかたどり着けないので、取材先が絞れた段階で確認します。
まず有効なのは、新聞と専門誌です。
新聞や専門誌をまとめて見られるのは図書館。
日比谷図書館や都立中央図書館は交通の便もいいので、リサーチ目的でよく使っています。
飲食店や特徴のあるメニューを取り上げたいときは、雑誌で特集記事を探します。
グルメ雑誌は豊富に出版されているので、まとめて全部目を通したいもの。
雑誌を見たいなら、図書館ではなく、雑誌図書館である大宅壮一文庫に行きます。
ここでは、雑誌の見出し検索ができるので、お目当ての雑誌を効率よく探すことができます。
ただし、私設の図書館なので、コピーはもちろん、閲覧するにも費用がかかります。
大宅壮一文庫も、リサーチャーやADがよく利用しています。
ネット検索も有効ですが、雑誌検索のほうが、短時間にたくさんの記事を見ることができる利点もあります。
ほかの記事も見ることができるので、複数のリサーチ案件を抱えている場合は、こうした図書館を利用する方が効率的なときもあります。
番組に出演してくれる人を探す
番組に出演してもらえる人を探すのも、リサーチャーの仕事です。
今のトレンドは、「有名人ではない、一般には無名だけど、一つだけ抜きんでている人」です。
例えば、「マツコの知らない世界」や「クレイジージャーニー」に取り上げられるような人。
偶然にも、どちらもTBSですね。
こういうのは、探そう!と思っても、なかなか探しあてられるものではありません。
リサーチャーであっても、構成作家的な感覚、あるいは、ディレクター的な感覚で、
- 「こういう人はこういう分野にいるんじゃないか?」
- 「こんなコレクターなら、こういうところに出没しているんじゃないか?」
- 「こんな虫を研究している人って実在しているのか?」
など、妄想をふくらませて、こういう場所にいる人は絵になるんじゃないか?と探しに行かないことには、引き当てることができません。
個人のブログやTwitterなどで探すことも可能ですが、書籍を出版している人や、雑誌の記事から探し出すことがあります。
新聞の片隅に、小さく紹介されている記事から膨らませることも多々あります。
大家族を探す、子だくさんのシングルファザーを探す、月に生活費3万円でやりくりしている人を探す、家族に秘密にしている人を探す…など、その生活ぶりをのぞいてみたい!と思わせる人探しもあります。
こういう場合は、こんな人は、東京のどこのエリアに住んでいて、どんな仕事をして、どんなことをしているか、というのを妄想しまくります。
そして、そういう人がいそうな会社や店などに電話をして、該当する人がいるかどうか聞き出します。
今は個人情報で守られていますから、初めの電話で教えてもらえることは少なくなりました。
歴史や医療、自然、美術などの分野は専門家に話しを聞くことがあります。
専門家を探すのも、図書館で書籍からあたったり、雑誌に寄稿している人を調べたりします。
関連記事:できるADのリサーチ方法とは
リサーチャーになるには、どうすればいい?
リサーチャーになるには、番組制作会社に所属してリサーチ専門で担当するか、テレビ番組のリサーチ会社に入るか、構成作家の事務所に入って作家見習いとしてリサーチャーから出発することが多いです。
番組制作をゆくゆくはしたいけど、ADの仕事はハードそうだな、ちょっと怖いなと感じている人にとっては、
番組リサーチはハードルがちょっと低いようで、まずはリサーチからやってみたい、と希望される方がいます。
ほとんどの人は、構成作家や放送作家になりたい!と希望して、その過程としてリサーチからスタートするという人が多いです。
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リサーチャーが働く場所
リサーチをするのは、上記に書いたように、図書館。
「アド街ック天国」や「じゅん散歩」のような町を取り上げるときは、その町を歩いてネタ探しすることもあります。
ネットで検索する場合は、自分の会社や、制作会社のデスクを借りることもありますし、局内のスタッフルームで作業することもあります。
報告書をまとめる作業は、自宅やカフェ、図書館などですることもあります。
ネタ会議のときは、指定された場所、多くは制作会社や局内の会議室で行われます。
リサーチャーの仕事は、どこか一か所でデスクワークするのではなく、ノマド的な働き方になります。
ネタ出しの期日さえ守れば、その間の仕事の進め方やリサーチ方法は本人に委ねられます。
若いうちから自分で判断できる、自分で決めることができる仕事と言えるでしょう。
ただし、〇日までにネタを〇本提出!というノルマは守らなければなりませんが。
リサーチャーに必要な能力とは?
番組がまだスタートしていない企画の段階でリサーチすることも多々あります。
番組の内容が固まっていない段階なので、取材先に話しをするときに、こちらの事情を説明して理解いただく、説明力。
こういうところに面白いネタがあるに違いない!という嗅覚や妄想力。
そして、出演してもらえるように口説く、交渉力。
その人の面白い面を探り出す、質問力。
番組が面白くなるかどうか、はリサーチでどんなネタがあがってくるかで左右されます。
リサーチャーの目線で集められたネタが、ネタ会議で精査されて、取材にたどり着きます。
放送されるネタは、そんな段階をいくつも踏まえて選ばれて、そして、構成作家やディレクターがよりおもしろく、楽しく見れるように工夫や演出をして、放送されるのです。
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