テレビを見ていると、裏方のスタッフが映りこんでいることがあります。
そのなかにはカメラをまわしているカメラマンを見ることがありますね。
町なかでロケ隊を見かけたときとか、テレビ収録の見学をしたときなど、カメラマンってかっこいいな、と憧れる方、多いんです。
今では、カメラも軽量化されて、女性カメラマンも増えてきました。
女性でもカメラマンになれるんですか?と質問されることも多いです。
テレビ制作の現場でも女性が占める割合が増えています。
かつては、撮影技術は、機材が重かったので、男性主体でしたが、軽量化がすすみ、女性カメラマンも増えています。
カメラマンってどんな仕事なんだろう?撮影するときに何を意識しているんだろう?という疑問にお答えします。今回はロケの撮影について書いていきます。
テレビカメラマンが撮影のときに意識していること
ピントを合わせる
プロとアマチュアの違いは「その映像の主人公にすぐピントが合わせられるかどうか」という部分です。
カメラにオート機能がついていますが、カメラにはどれが主人公なのか、判断できませんから、どこにピントをあてて、どう撮るか、はカメラマンが決めるのです。
主人公が人、あるいは、動物、乗り物の場合、動きがありますから、ピントがずれてしまうことがありますので、動きに合せて、ピントを合わせる、ということをします。
また、カメラもじっとはしていません。
被写体の動きに合わせて、カメラを動かすことをしなくてはなりません。
カメラが動いていなくても、手元で、微調整をしているのです。
画角
映像を見て、不快だな、と感じるのは、水平がとれていない場合があてはまります。
三脚を設定して撮影する場合、インタビューや雑感、風景を撮影する場合は、三脚をつけますが、そのときは必ず、水平をとります。
また、放送のときは、画面にテロップが入ります。下位置はもちろん、右・左に縦にテロップ、上部左に時間、上部右にコーナーテロップが入って、画面ぐるりと、テロップでうまっている場合もありますね。
どの部分にどうテロップがかかってくるかを考えて、画角を決めます。
編集点
テレビ番組の場合、編集するのは、ディレクターか編集マンで、カメラマンが編集することはありませんが、いいカメラマンは、のちのちの編集を考えてカメラを回すことができます。
ディレクターが、カメラマンを評価するのは、撮影中よりも、むしろ、編集するときです。
編集のときに、ほしい映像があるか、ないか。
編集に苦労しない場合は、カメラマンがちゃんと、編集点を考えて、いろんなサイズを撮ってくれているのです。
例えば、インタビューの場合。
ディレクターがインタビュアーとして話しを聞くことがありますが、そのときに、コメントに合せて、顔にズームインしたり、ズームアウトしたり、表情を捉えていたり、バストショットやウエストショット、全身、など様々なサイズで撮っておいてくれる。
カメラマンも、インタビューを聞いて、「ここは使うところだな」というポイントを理解しなくてはなりません。
ディレクターが「カット!」と声をかけても油断はできません。
カメラの前では緊張していた人が、カットの声をきいて、リラックスする場合があります。
そこで本心が語られたり、本音が出たりして、その人らしさが出る場合もあります。その隙も撮っておく、というのができるカメラマン。
もちろん、番組で使用する場合は、ディレクターが、今のコメントも撮っていたので、使ってもいいですか?と許可を取ります。
調理シーンの撮影の場合もセンスが問われます。
一連の作業で、撮るべきポイントは最低3つあります。
- 調理している人の表情
- 調理している人の手元がわかる映像
- 調理している物自体
カメラマンは片方の目で全体の動きや流れを把握して、片方の目はカメラを覗き、的確なタイミングで何を取るべきかを判断していきます。
食材を切ったり、フライパンを振ったりしているときは要注意。
また、鍋に食材を入れるときは、ちょっと待ってください!と声をかけられるかどうか。入れてしまうと、後戻りできませんから。
つなぎの映像
ドキュメンタリーの場合は、視聴者も集中して見ている場合があります。視聴者も緊張して見ているのですね。5分10分と見ていると疲れてしまう場合があります。
また、シーンとシーンの変わり目で、時間経過を表現したいときがあります。
そういうときに、ちょっとした自然の絵をいれると、緊張が緩んだり、時間の経過を感じたりします。
草木や花、空や鳥、道端の猫など、撮っておく。
編集のつなぎ目やゆるみ目を考えて、クッションとなる映像をとっておくことも、カメラマンには必要です。
関連記事:テレビ番組制作の撮影では許可申請がなぜ必要?その書き方について
カメラマンに求められていること
カメラの機材はバリエーションが広がっています。
ENGカメラだけではなくて、アクションカメラや水中カメラなど、激しい動きや厳しい環境に対応できるカメラが登場しています。
ディレクターがこういうシーンで、こんな映像を撮りたい、と映像について相談を受けたときに、こんなカメラがある、こんな方法がある、とアイデアをくれる人が求められています。
カメラマンは体力勝負でもあります。
カメラマンであまり太った人がいないのは、仕事が体力勝負なところもありますが、カメラを支えるための体作りを日頃がからしている人も多いです。
ランニングをしたりジムに通っているようです。
ディレクターに比べると、カメラマンがカッコイイな、と思われるのは、カメラを担いでいる姿が職人気質なのと、鍛えているので何を着てもサマになっているともいえます。
関連記事:カメラワークと画角に関する撮影用語解説
カメラマンになるには
専門学校でカメラマンになるための技術を身に着けてから、就職もできますし、専門学校に行かずにそのまま技術会社に就職している人も多いです。
最初は機材のメンテナンスや扱い方を教わりながら、カメラに馴染んでいきます。
テレビならではの放送するためのルールや、撮影中のカメラマンとしての振る舞いがありますから、カメラマンのアシスタントとして学んでいきます。
カメラマンとして認められるには、撮影技術もありますが、ディレクターが求めていることにすぐ対応できるかどうか。
逆に、駆け出しのディレクターの場合、ベテランのカメラマンが構図や構成にアドバイスすることも多々あります。ディレクターとカメラマンは持ちつ持たれつの関係なのです。
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