弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報・報道番組の制作に携わっています。
今回は、テレビ番組制作の編集でも行われている編集工程である「カラーグレーディング」について解説してみたいと思います。
テレビ番組の制作には多くの人が関わっており、分業制となっています。
それぞれの分野のプロフェッショナルが集って番組制作に従事していますが、その中の「色」を司るプロフェッショナルがカラリストであり、カラリストが行うのがカラーグレーディングです。
カラーグレーディングとは?
カラーグレーディングとは「映像の色をコントロールして、表現したい世界観を創る」編集作業工程の一つです。
もともと「グレーディング」というのは映画編集での色合わせの工程を指す言葉でした。
近年では映画だけでなく、CM・ミュージックビデオ・テレビ番組でも使われるようになってきました。
作品によって求められる見た目は異なり、
- 彩度
- 色相
- 輝度
のバランスを変えることで、世界観が大きく変わってきます。
例えば、撮影された映像素材を並べてみると、同じシーンなのにカットによって明るさがバラバラ。
同じ風景でも、カメラが違うというだけで景色の色味もまた違って見える、ということがあります。
それらの明るさや色を整えていくのがカラーグレーディングの作業です。
実際の映像素材のシーンで言うと、
- 緑が映えるように、もう少し緑が強く出るようにする
- 窓の外が明るすぎるので、明るさを落として、室内とのギャップが画面内で生まれにくいようにする
- 影になっているところが潰れてしまっているので、暗いところだけ明るさを上げて見やすくする
- ホラーっぽさを出すために、画面の青みを強くする
といった作業です。
色が与える印象も理解した上で、映像の中のどの色を強くするか、といったことも考えます。
色が与える感情や効果については以下のようなものがあります。
- 青や紫…冷静、孤独、悲しみ
- 赤やオレンジ…活動的、情熱的、危険
- 緑…自然、成長、安心
- 黄色…幸福、エネルギー、注意喚起
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カラーグレーディングとカラーコレクションの違い
色を調整する工程には、厳密に言うとカラーグレーディングとカラーコレクションという工程があります。
一般的には、映像の色を自然に見せるための調整をカラーコレクションと言います。
そして、演出として色味を付加することをカラーグレーディングと言います。
さらに、カラーコレクションをする人をカラリスト、カラーグレーディングをする人をグレーダーと呼んだりします。
色の調整というのは編集の中でもできるのですが、
カラーコレクションやカラーグレーディングでは色の細部まで調整し、さらに表現力が豊かになります。
映画の現場で行われていた工程が近年テレビ番組制作の現場でも行われるようになったのは、
4Kや8K、HDRといった、色の表現が豊かなコンテンツが増えたからですね。
それに伴って、カラーコレクションやカラーグレーディングの需要も増えています。
カラリストになるには
カラーコレクションやカラーグレーディングといった作業をするカラリストになるためには、まずカラーコレクションやカラーグレーディングを担っている会社に就業し、そこで修行を積むのが一番です。
実は今までは映画やテレビCMでしか需要がなかった仕事だったので、エディターやミキサーのように仕事は多くありません。
なので、専門学校でもカラリストを養成するコースなどはありません。
就職をする前には、映像の色空間の構造や、映像デバイスの色の再現性などについて学んでおくと役立ちます。
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カラーグレーディングの流れ
カラーグレーディングの基本的な手順についても解説してみたいと思います。
①カラーコレクション
まず最初に、カラーグレーディングのベースとなる色調整をおこないます。
映像全体の色味や明るさを整えて、映像の一貫性を保ちます。
全ての一貫性が保たれた状態で、この後、演出的に色を付加していく、という流れですね。
②カラーキャスティング
カラーキャスティングは、映像にうっすらとかかっている色の傾向のことを指します。
例えば、室内の照明が映像に黄色く影響を与えている場合、その黄色味を取り除くような調整を行います。
このように、色味を追加するだけでなく、余計についてしまっている色味をマイナスする、というような作業もあります。
③カラーグレーディングの調整
シーンの目的や雰囲気に応じて、
- 色相
- 明るさ
- 彩度
などを細かく調整していく作業を行います。
作品の見せたい印象に合わせて色でも演出をしてくのがカラーグレーディングです。