テレビ番組のディレクターには、呼び名がいろいろあります。
- 総合ディレクター(あるいは、総合演出、チーフディレクターと呼ばれることもあります)
- VTRディレクター
- 中継ディレクター
- フロアディレクター
など。
今回はフロアディレクターについてお話します。
フロアディレクターは、スタジオで収録するときにスタジオを仕切るディレクターのことを指します。
フロアというのはスタジオのことを意味しています。
フロアディレクターをFDと略すこともありますし、ただフロアと呼ばれることもあります。
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フロアディレクターが関わる番組
早朝からお昼、夕方、夜に放送している、情報ワイド番組やニュース番組、ゴールデンタイムや深夜放送しているバラエティ番組の番組構成をみてみますと、スタジオ進行とVTR(すでに収録されている映像。ロケものが多い。街録とよばれる街頭インタビューや企業や店、人物の密着、芸人さんの町歩き、タレントさんの体験など)で構成されているものがほとんどです。
スタジオ進行のディレクターがフロアディレクターの役割で、VTR部分がVTRディレクター、そして、スタジオとVTRの両方を指揮するのが総合演出です。
フロアディレクターがどんなことをしているのでしょう。
日本テレビで放送している「月曜から夜ふかし」では、フロアディレクターの姿をみることができます。
MCのマツコ・デラックスさんが、フロアディレクターをよくいじっています。
カメラ前でインカム(マイクつきのヘッドセット型通信機)をつけて、スケッチブックを持って座っているのがフロアディレクターです。
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スタジオ収録はどう行われているのか
スタジオ収録は、スタジオとは別の場所に副調整室と呼ばれる部屋があります。
スタジオの2階部分だったり、スタジオとは防音の分厚い扉で仕切られていたり、と、完全に分断されています。
副調整室では、スタジオに複数台設置されているカメラの映像を一度にみることができ、どのカメラの映像をメインにするかの切り替えをします。
また、スタジオで収録するのは、映像だけではなくもちろん音声もありますから、音声の調整をしたり、VTRをスタートしたりストップするのも副調整室のなかで行います。
総合演出は、この副調整室の真ん中にいて、複数のモニターを一度にみて、メインの映像を決めていきます。
たとえば、『月曜から夜ふかし』ですと、
- MCのマツコさんのカメラ
- 村上さんのカメラ
- 二人がうつる2ショットのカメラ
- スタジオ全体がうつるヒキ(ロング)のカメラ
最低でも4台はありますが、それぞれのカメラで映されている映像は副調整室のモニターにうつっていて、マツコさんがしゃべっているときは、マツコさんカメラ、村上さんがしゃべっているときは村上さんカメラ、と切り替えていくのです。
それがメインの映像(本線と呼ばれることがあります)となり、ほかの映像はあとで編集するときに、インサート用に録っておきます(これを副線とよびます)。
総合演出は指揮官ともいえるのです。
さて、その総合演出(指揮官)の指示は、MCやゲストなど、スタジオにいる人たちの耳には入ってきません。
スタジオの進行や総合演出の指示をMCやカメラマンに伝えたり、小道具を渡したり、パネルや出し物の出し入れのタイミングを指示するのが、フロアディレクターの役割です。
フロアディレクター(FD)の仕事
本番前
FDの入り時間は、総合演出と同じころです。
制作と技術スタッフが集まっての進行に関する打ち合わせには必ず同席して、収録の流れとカメラの動き、小道具として出すものがどういうものか、大きさや形状、出すタイミングなどを頭に入れます。
本番前には必ずカメラリハーサル(カメリハといいます)があります。
カメラがどう動くかのリハーサルをします。
そのときには、本番と同じように小道具やパネル、フリップなどを出してみて、置く場所を決めたり、どのカメラで抜くかをきめたりします。
出演者もカメラも、動きがバラバラですから、その全ての動線を把握しておきます。
カメラリハーサルが終わったら、出演者の方々がスタジオにはいって、進行打ち合わせをします。その打ち合わせをリードするのは、FDの役目です。
カメラと出演者の打ち合わせが終了したら、観覧客をスタジオに案内します。
観覧客に、番組の趣旨を説明したり、注意事項をインフォメーション、拍手のタイミングや大きさの合図などを説明します。
観覧客へのこうした説明のことを、『前説』といい、若手の芸人さんたちが大勢の前で話す練習の場や、自分たちを知ってもらう場として活用されています。
芸人さんがいない場合はFDの仕事となります。
本番
本番がスタートしたら、MCの目線の先にカンペを出します。
MCの目線が動かないように、MCのしゃべりのペースに合わせてカンペを動かしていきます。
そのカンペを作っておくのもFDの仕事の範疇とされる場合もあります。
ゲストにフリートークやコメントをしゃべってもらう場合は、しゃべってもらいたいキーワードをカンペで出したり、決められた秒数で話してもらうときは、秒数のカウントを紙で出します。
フロアディレクターになるには
収録ものを制作している番組では、アシスタントディレクターを数年やって、チーフADをやりつつ VTRディレクターもするくらいのキャリアの人が任されます。
また東京ではフロアディレクター専門の会社があり、FDのアシスタントからスタートすることができます。
どちらにせよすぐにFDになれるわけではなく、最初は番組制作の流れやどういった仕事が必要になってくるのか、ということをしっかり理解して指示出しができるくらいにキャリアを積む必要があります。
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フロアディレクターの必需品とファッション
フロアディレクターが自分で用意する持ち物ですが
- ストップウォッチ
- スケッチブック
- ガムテープ
- 太い油性ペン(黒・赤など)
が必須になります。
服装は、スタジオ内を走っても音をたてない、滑らないを考えて、スニーカー。
動きやすいようジーンズ、トレーナーやセーターが多いです。
フロアディレクターに求められる能力
総合演出の指示をMCなどの出演者にわかりやすくかみ砕いて説明する、気持ちを乗せるなど、気持ちよくスタジオ進行させていくことが求められます。
ときには緊張感を高めることも必要。
スタジオの雰囲気を作るのは、フロアディレクターの手腕でもあるのです。
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