今回は、実際にテレビの情報番組の制作に携わっているスタッフさんに話をお聞きしました。
映像を撮影する前に大切なこと、そして実際に撮影する時のちょっとしたコツなど。
最近はYoutube等で食べ物や人物を一般の方が撮影されることも多いかな、と思います。プロはどのように撮影しているのか、
どうすれば上手に撮影することができるのか。
人物を撮影する時のコツ
お店の取材などで人物を撮影する時念頭においておかなければいけないことは
撮影される人に「こうしてください」と強制すると、絶対にその人らしさというものは映像に反映されない、ということです。
作った表情、仕草というのは画面からわかってしまいますから、見ている人に共感を与えることはできません。
その人らしさを撮影するにはどうするのか、というと
撮影する前に
- どれだけその人とコミュニケーションをとれるか
- どれだけその人の情報を引き出せるか
ということに心血を注ぐのがコツです。
撮影前に1時間あったとして、その1時間で聞けなかったことはカメラを回しても絶対に聞くことはできません。
また、撮影する時にしてはいけないことは知ったかぶりです。
知らないこと、わからないことを教えてもらいたいという気持ちを心から持ち撮影に挑むこと。
たとえば
- 「洋食のこと実は何も知らないので教えて下さい」
- 「熟成肉って何なんですか?家の冷蔵庫にただ置いてある肉とは違うんでしょう?」
と子供になったようなつもりで教えてもらいます。
この人ならまあ話してもいいか、と思ってもらえればきっといい映像を撮影することができると思います。
時にはバカのふりをすることも。
ばれてるかもしれないけど誰も損しませんから。
前もって撮影日の前にお客さんとして撮影場所に出向くこともあります。
そうすると「あれ!昨日来てくれた人だね」ってなりますから、撮影される側も悪い気はしませんよね。
心を開いてもらいやすくなるのではないかと思います。
撮影する瞬間よりその前が実は大事なんですよね。
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食べ物を撮影する時のコツ
ラーメン
ラーメンの麺は真っ直ぐにしないとおいしそうに見えません。
お箸を持ち上げた時(箸上げ)、ラーメンが絡まっていたり、斜めになっていたりするとダメです。
なのでフォークがあればフォークでとかすように伸ばします。
時には下をチョキンと切ることも。
ラーメンは湯気が出ていないとおいしそうに見えないから、難しいんじゃないかと考える人もいるようですが、少し混ぜれば再び湯気が出るので意外とその辺は大丈夫。
20分くらいは撮影のやり直しが効きます。
グラタン、ドリア
意外に難しいのはグラタンやドリアです。
グラタンやドリアは上にチーズが乗っていることが多いのですが、上にチーズがのっていると、膜みたいになってしまって
熱さを閉じ込めてしまい、湯気が出ないのです。
それをそのまま撮るとカピカピのグラタンやドリアに見えてしまうんですね。
そういう時は霧吹きをかけたりします。
そうすると一瞬シュワーっと湯気が出ます。
ただ、この方法は何度もできないので、一回で上手く撮影できるようにしましょう。
肉類
肉類は生で撮影するのはまずダメです。
どんなにいい肉でもちょっとグロいというか…、そう見えてしまう可能性があるから難しいんですね。
まあ、出来上がりをレポーターさんに普通に食べてもらって撮影します。
ご飯
ご飯も難しい部類です。
ご飯の場合、通常左右2方向からライトを当てて撮影することが多いのですが、
うまくご飯の輝きが撮影できない時は3つ目のライトをお願いすることもあります。
そうするとツヤツヤとしたご飯を撮影することができます。
パン
パンには手を出すなと言われたことがあります。
パンは写してもなかなかおいしそうに見えないからです。
というかおいしさが伝わりにくい。
乾いて見えてしまいますから。
強いて言えば、焼きたてのパンをふわりと二つに割って湯気が出ているところを撮影することですね。
飲み物
飲み物は実は撮影するのが難しいです。
特にコーヒーは鬼門ですね。
なぜなら香りが命というところがありますから。
映像では飲み物の香りは伝わらないから、コーヒーの美味しさを伝えるのは難しいです。
はっきり言ってコーヒーなら注ぐ時が一番おいしそうに映るでしょう。
飲み物は全て難しい、というか、大体おいしさを伝えにくいです。
スープなんかもそうですが、スープについては、すくってからわざと垂らすこともあります。
その方が若干おいしく見えたりするんですよね。
その他
ラーメンの箸上げのことを先ほど言いましたけど、その他パスタ全般は難易度は低いです。
入門編かな。
出来上がりを撮影することができれば大体おいしそうに見えますから。
あと、中華も。
大体熱々なのでおいしそうに見えますし、多少箸上げしたり、戻したりしてもあまりわかりませんから。
ケーキ類
デザートの中ではケーキを撮影するのは意外に難しいです。
ケーキをフォークで切って持ち上げるとたいてい汚く見えてしまいます。
そのため、ケーキはホール丸ごとか、1ピース切った状態が一番きれいですね。
ただ、フォークを入れると柔らかさは伝えられますから、それを伝えたい時はフォークを入れる瞬間を撮るといいでしょうね。
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アイスクリーム、シャーベットの場合
ケーキ同様、アイスクリームやシャーベットもスプーンを入れてしまうとどうしても汚く見えてしまいます。
だから食べる前の状態が一番いいでしょう。
もしくはスプーンを入れる瞬間まで。
食べているところを撮るなら、子供でしょう。
子供がアイスクリームやシャーベットをおいしそうに食べている姿は、ほほえましいですよね。
全般的に
全般的に、箸上げの高さはカメラマンと調整して、決めます。
ここまででいいですかー、という感じで練習します。
わざとプルプル震えさせる場合もありますが、普通は震えないように撮ります。
そのためには息を止めるのも有効です。
全般的に食べる前の映像は必ず撮影します。
あれを撮影しておけばよかった、とならないように色々撮影しておくことでしょうか。
もちろん、人によりそれぞれやり方がありますけどね。
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人物・食品を撮影する時のコツについて
いかがでしたでしょうか。
撮影のコツをほんの一部ですが現場のスタッフさんに聞いてみました。
視聴者は何気なく見ている映像ですが、現場のスタッフさんはいろいろ見えないところで苦労してるんですね。
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