ライズプランニング[広告部]はテレビCMをメインに取り扱う広告代理店です。
今回は、視聴者にとって不快だと感じる広告はどんな広告なのか、ということを考えてみたいと思います。
広告を出す時はもちろん、「良い広告を出すには」ということを真っ先に考えるべきですが、
そこに目が行きがちになってしまって、「良いと思って出した広告だったけど、一部の人からすると不快な広告だった」という事態が起こることもあります。
最近は広告が炎上してしまって露出期間中にも関わらず広告中止になる例も多くありますよね。
「良い広告」=「数字が稼げる広告」という考えで、過激な内容に走ってしまい、数字は稼げても蓋をあけたらネガティブキャンペーンになってしまった、ということもあります。
このような事態を引き起こさないためにも、視聴者がどんな広告を不快だと感じるのか、ということを理解しておくことは大切です。
繰り返しの広告、押し売りの広告はNG
株式会社オリゾが実施した「SNS世代の広告嫌いに関する実態調査」を見てみると、
デジタル広告に対して「なんとなく疲れた」と言う感覚を持っている人の中で、その要因を聞いたところ、以下のような結果が出ていました。
- 特定の広告を繰り返し目にする機会が多いから…58.1%
- 押し売り感を感じるから…52.7%
- 似たようなメッセージ性の広告が多いから…41.9%
- スクロールするたびに現れるなど不快な広告が多いから…41.9%
- 知りたくない情報まで知ってしまうから…39.2%
- 購買心理を刺激する巧妙な広告が多いから…18.9%
これらの結果を見ていると、広告があまりにも繰り返しに出てくることは逆効果になる、ということがわかりますね。
たとえば東日本大震災の時に、テレビCMを自粛する企業が相次ぎ、それらの企業がCMを放送予定だった枠にACジャパンのCMが多く挿入されました。
ACジャパンとは公共広告機構で、公共のマナーなどを呼びかけるためにCMが制作されており、突然のCM中止などに備えて控えているCMです。
東日本大震災直後、ACジャパンのCMが突然増えたことにより、このCMへのクレームが増加しました。
あまりにもCMが多く流されているため、CMのサウンドロゴや音楽が「トラウマになりそう」といったクレームが多く寄せられたんですね。
これにより、サウンドロゴや音楽部分を削除したCM素材が放送される、などの対応がなされました。
心理学的には単純接触効果という言葉があり、この効果は接触機会が多くなるほど好意を抱きやすいという効果のことを指すのですが、
あまりにも多く接触することによって、今度は逆に嫌悪感を抱くようになってしまうところがあるのだと思います。
テレビCM業界ではテレビCMは同じ人に3回見てもらえるように放送する、というセオリーがあります。
この数字を目指して、そこからあまりにもかけ離れて多く放送しすぎるのは避けた方が良いでしょう。
音(声)がうるさいもの
印象的な音楽やナレーションによって注目を集めるというのは広告ではよく使われる手法ですが、
視聴者からすると「うるさい」「やりすぎ」「音がうるさくて不快」というクレームがつきやすくもなります。
たとえば米倉涼子さんが「今のスマホ代は高すぎる!」と何度も叫ぶ楽天モバイルのCM。
こちらのCMは放送頻度が高かったというのもあり、声が大きいのとあわせて、不快感につながりやすくなってしまったCMでした。
また、PayPayのCMも、宮川大輔さんが繰り返し「ペイペイ ぺぺぺペイペイ」と歌い続けるものであり、不快感を感じる人が多かったようです。
一応テレビCMには音量制限のルールもありますので、「これ以上大きな音はつけられない」というような明確なボーダーラインはあるのですが、
それでも声や音が大きく聞こえやすいようなCMは、不快感を感じられやすいというのは留意しておいた方が良いと思います。
サービス名を大声で叫んだり、繰り返し言い続ける、というのは、視聴者にとってはストレスなんですね。
印象には残るかもしれませんが、それが良い印象として残らなければ意味がありません。
特にテレビCMの場合は視聴者が受動的にCMにリーチしてしまうため、なるべく注意を引こうとする内容になってしまいがちですが、やりすぎには気をつけたいところです。
関連記事:面白いCMのフレーズ、どんなものがある?事例から考えるCM制作
起用されている芸能人が嫌い
テレビCMでは有名タレントが起用されることも多々あります。
認知度が高い有名タレントを起用することにより、有名タレントの印象を商品やサービス、企業が借りることはできますが、
逆にその有名タレントに対して良い印象を持っていない人にはネガティブキャンペーンになる、ということを覚えておかなければなりません。
また、タレントイメージに企業や商品のイメージが引っ張られるため、タレントが不祥事を起こした場合、損失を被る可能性があります。
あえて知名度の高くないタレントを起用したり、アニメーションCMにする、といったやり方もあります。