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広告代理店の一業種一社制ってどういう意味?

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今回は一業種一社制について書いてみます。

一業種一社制というのは1つの広告代理店が2つ以上の競合他社の広告を担当しないというやり方のことをいいます。

 

海外の殆どの先進国広告代理店は一業種一社制なのですが、

日本では一つの代理店が同業企業を複数担当するので、ちょっと異なっています。

 

このことは広告業界ではしばしば上がる話題なのですが、一般的にはあまり知られていないかもしれません。

 

一業種一社制でやってみた

 

弊社ライズアドバートはもともとは、広告代理店ではなく番組制作を主として行っており、広告代理店は後発業務でした。

当初広告代理店としては一業種一社制で行うことに決めていました。

 

一業種一社制というのも、全国なのか狭い範囲でのことを指すのかというのがあります。

 

例えば全国規模で企業の広告をしたい車のような場合は、一業種一社制の場合日本全体で一社の担当をすることになりますが、

顧客が近隣のみの場合、範囲は「都道府県で一社」のように狭まる場合もあります。

 

弊社の場合、実際には医療関係の業種が多く、サービス的にいっても顧客は県内に住む人が対象だったため、

都道府県で一つの業種につき一つの企業様のみと一緒に仕事をさせてもらうという、一業種一社制でした。

 

当時県内では、一つの広告主様とだけブランディング、広告のお手伝いをさせていただくことにしていたわけです。

そもそもそのやり方を特別なこととして、打ち出していたのは、日本全体が一業種多社制という風土があったからこそでした。

おそらく海外の人から見たら、当たり前のことを言っている会社、と映ったと思います。

 

ただ、このやり方で進めることについてはメリットとデメリットがありました。

 

主なメリットとしては、競合他社の仕事は受けないので、クライアント様からは信頼を得ることができます。

また、他社のやり方を気にせず独自路線で進めることができます。

これは広告主である企業が独自路線で進めたいという意思や、企業自身でこうしたいという意思がが強い場合に、より進めやすくなります。

 

そしてデメリットとしては広告代理店としては、多くの仕事を受けることができないということがあります。

都道府県で一つですから、必然的に件数が少なくなりますし、企業の選別にも気を遣います。

 

また一社制の場合、同業他社の傾向や進め方の経験値や、検証の経験値がなかなか増えない

というジレンマもありました。

 

そして他社と同じような広告をやりたい、同じようにしなければいけないと言う気持ちが強い企業の場合、なかなか一緒に進めづらいというようなデメリットもあります。

関連記事:テレビCM制作をする時に抑えておきたいポイント

 

一業種多社制の日本

 

実は一般的に広告業界では一業種一社制というのが通常の考え方です。

特に世界の先進国では一業種一社制が普通で、日本のような状況は珍しいことなんですよね。

 

そもそも日本の広告業界は媒体社との強いつながりで発達してきた経緯があります。

もともとはメディア側の代理店でテレビの場合広告枠をテレビ局の代わりに売るのが代理店だったんですよね。

 

枠代の一部を手数料としてもらうだけというのが本来の形です。

 

テレビの場合についていえば、CM制作の方は広告主の企業が行う作業で、本来の代理店の仕事ではなかったわけです。

 

ところが需要とともに、代理店は本来企業側がやるべきCM制作も請け負って、作るようになっていったようです。

そもそも「代理店」という言葉自体が今ではちょっと不思議です。

 

電通や博報堂といった巨大な企業に対して今でも「代理店」というまるで小さな商店のような言葉を当てはめているのは実際不思議な話です。

 

もともとはメディア側の代理人であったはずの広告代理店が、今ではCM制作をはじめ、イベントや、ブランディングまで、トータルで行っている立派なというより巨大な会社だからです。

 

広告費さえ出せば全てトータルでやってくれるというのは、確かに広告主にとっては便利な存在であるのだと思います。

 

その代わり、競争性や独自性が減っていったのも事実だと思います。

 

日本のCMは有名タレントを使うのが主流で、コマ数までだいたい決まっていて、

「そうするのが普通です」「今のやり方はこうです」といわれると、

同じようにしてしまいますし、代理店の言うようにやっている方が、結果としてリスクも少ないという判断もあながち間違ってはいないとは思いますが、言いなり感が否めない気もします。

 

このような状況なので、日本ではグローバルに活動している広告代理店が実はほとんどなく、また海外の広告代理店も非常に入りにくい状況であるといいます。

 

また、広告代理店として、同業他社の仕事を複数請け負うことは広告のモラル的には、信用度が低いといわれますが、

このような日本の状況は、よく言えば日本らしいキメの細かいサービス精神から発達したとも言えるような気がします。

なんでもやってくれるのはやはり便利ですから。

 

ただし、競争が少ない分価格が上がってしまいます。

関連記事:広告代理店とは?CMをやりたい時、何をしてくれるの?

 

一業種一社制と多社制はどちらがいいのか

 

現在では弊社は、一部の業種は一社制でやっていますが基本的には、必ず一社制でということにこだわってはいません。

それほど重なることがないからという事情もありますが。

 

広告代理店の仕事をしていると、しばしばどっちの代理なんだろうというのは感じてしまうことです。

 

メディア側の代理店としては、高い金額で多くの手数料をもらいたいところですが、

CM制作から全て請け負うと、必然的に広告主側の代理人のような存在にもなりますから、

その利益制は相反することになるんですよね。

 

ただ、これは代理店に限らず、どの業界も同じではないかとは思っています。

 

顧客(広告主)の代理でもあり、メディアの代理でもある以上、どちらにも利益があるような良いやり方を模索していくしかないのかなと、そんな風に思うからです。

 

新たな広告主と打ち合わせをすると、よく

「同業他社は、どうやっているのか教えて欲しい」

「うちも同じようにやりたい」

と言われます。

 

まさに日本では一業種多社制があたりまえになっている風土があるのだなと感じます。

 

同じ業種を複数担当すると、多くの広告費を出す方を優遇するのではないかとか

ボツになったCMを別の企業に使い回しするのではないか

といった疑惑を生む元になると思うのですが、

そうならないのは、真面目な日本人の国民性もあって、現在の形が成り立っているのではないかとも思います。

 

ただ、もう少し広告主が意思をもって自分の企業の売り込み方を自分たちで考えてみても良いのではないかと、しばしば思ったりしますね。

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