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海外ロケのときに気を付けなくてはならないこと

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海外ロケに行ってみたい!とテレビ番組制作会社に入って来るADさんがいます。

初めて海外ロケものについても、最初は連れて行ってもらえず、ロケの段取りからです。

例えば…

  • 航空券や宿泊の手配
  • 機材の手配
  • 現地コーディネーターへの撮影内容の連絡
  • 撮影場所の許可申請
  • ビザの申請
  • 予防接種の手配

などです。

さて、今回は、海外ロケについたADさんが気を付けなくてはならないことを書いてみましょう。

海外ロケには時差がある

海外でのロケなので、時差があります。

しかも、夏の時期ならサマータイムが導入されていたり、ロケ地が何か国かにまたがっている場合は、それぞれ時差が生じたり、国土が広ければ同じ国でも時差があります。

航空券をとったり、ホテルをとるときには、必ず現地の日時で予約を取らなければなりません。

コーディネーターとのやりとりも、すべて、現地での時間で伝えないと、行ってみたらコーディネーターが来ていなかった!ホテルが取れていなかった!となりかねません。

ボスニア紛争時、報道関係者が泊まれた唯一のホテル(サラエボ)

日本から連絡をすると、日本の時間感覚になってしまい、実は1日ずれていた。

現地に到着するのが、翌日のつもりだった、ということが起こり得ます。

関連記事:アシスタントディレクター(AD)でも海外ロケに行くの?

なぜ、時差による失敗がおきるのか?

それは、まだ出発前の国内でのディレクターとの打ち合わせのときには、日本時間でやりとりしてしまうからです。

ついつい時間軸が日本なので、ロケ先のスケジュールもつい日本時間でやってしまいがちです。それで、日本時間と現地時間がごちゃまぜになってしまうのですね。

そこで、

  • スケジュール表には、現地時間と日本時間の両方を書く
  • 現地時間に合わせた時計を用意する
  • 打合せでは、現地時間と日本時間の両方で話す

などで現地の時間を常に意識しておくと、時差による事故は回避できます。

スケジュール表に日本時間も書いておくと、日本からロケ先に連絡する場合にも便利です。

関連記事:ロケハンでは誰がどんなことをするの?

カメラ機材を日本から持っていくときの申請

今はカメラ機材もコンパクトになったので、手荷物で持ち込むことも容易くなりました。

特殊な撮影機材での撮影なら、現地の撮影会社を手配することが多いと思いますが、機材を海外に持っていく場合、必要な申請があります。

それは、カルネ。

カルネとは、

一時輸出入する物品の通関に利用できる免税のための通関用書類。輸入税、付加価値税等や、日本帰国時の消費税も免税になります。

(JCAAより)

ちなみにカルネはフランス語で「手帳」のこと。

カルネの申請は、機材を保有している技術会社の方が慣れているかもしれません。

技術会社に、カルネ申請は技術会社さんでやってもらえるかどうか相談します。

制作会社サイドでやるなら、会社資料や印鑑証明などの書類提出も必要なため、会社に相談し、期間に余裕をもって出発の2週間前には申請します。

会社が海外ロケに慣れていれば、プロデューサーが手配してくれたり教えてくれるでしょう。

私が初めて海外ロケのADをやったときに、社内のプロデューサーに経験者がおらず、カメラマンに「カルネだいじょうぶ~~?」と聞かれて、ようやく知った始末。

カメラマンが親切な人だったので救われました。

関連記事:テレビ番組制作の撮影では許可申請がなぜ必要?その書き方について

飛行機に載せられる重量

機材をもっていくとなると、重量も心配です。

これも、技術会社と連携して、機材荷物の個数とそれぞれの重量をリストにしてもらいます。

ほとんどの航空会社の預けられる荷物は1人20㎏までなので、機材の総重量を人数で割って、残りの重量を人数で配分して、個人の荷物の上限を決めます。

もし、女優さんを連れていくのであれば、衣装やメイク用品で相当な重量になります。

その重量を加味する必要があります。

荷物が多くなるので、必ず荷物にナンバーをふり、預けたりピックアップするたびに荷物が全て揃っているか、すぐ分かるようにしておきます。

関連記事:テレビ美術の仕事、小道具ってどんなことをやってるの?

海外ロケでは、撮影料が日本よりもかかる、ことがある

海外ロケの場合、日本なら料金がかからないようなところでも、撮影料がかかるときがあります。

例えば、観光スポットや自治体や官公庁関係の取材です。

日本の感覚で見積もりを作成すると、思わぬところで料金が発生することがあります。

コーディネーターとの事前のやりとりで、必ず、料金がかかるのか、かからないのか、を把握しておかなくてはなりません。

関連記事:ロケハンでは誰がどんなことをするの?

水に慣れることから

海外ロケに同行できる場合、最初に必ず言われるのは、「生水は飲むな」

水道水や氷が入っている飲み物は飲まないように言われます。

これは、衛生管理が日本の基準と違うため。

飲み水は必ずミネラルウォーターで、日本でも飲んだことのある水、例えばエビアンやヴィッテルなどを選ぶのをおすすめします。

それは、海外の水は日本の水よりも硬度が高く、体が受け付けないことがあるからです。

海外でお腹を壊すと、ホテルの部屋から出られません。

撮影に支障がでますから、口にするものには慎重になりましょう。

関連記事:番組ロケってどんな仕事?大変なの?

機材から目を離すな

ADとしてロケに同行する場合、ADの仕事は荷物番です。

日本と違って、海外ではどの国も安全ではありません。

こちらはギリシャ、アテネの様子です

荷物から少し目を離したら、もう無くなっていた、ということが普通に起こります。

スリや置き引きは日常です。

ロケで大きな機材を搬入搬出しているのは目立つので、いいカモなんです。

必ず、ADは機材や荷物から目を離さず、じっと番をするのがメインの仕事。

機材がなくなったとしても保険でカバーできますが、同じ機材はすぐに手配できません。

盗まれると余計な手続きが発生しますし、テンションも下がります。

本来のADの仕事であるロケの段取りはコーディネーターが担ってくれますから、ADはスタッフが気持ちよく、スムーズにロケができるように環境を守ること、と思っておきましょう。

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海外ロケに連れて行ってもらうには?

今回は海外ロケについて書いてみました。

海外ロケに連れて行ってもらうには、

  • 周囲に海外ロケに行きたいと言い続ける
  • 海外ロケの段取りや申請を手伝う
  • 海外ネタのリサーチを積極的にして企画を出す
  • 撮影技術を磨く

など、海外ロケに行きたいことを実行を伴ってアピールすると、チャンスがやってきます。

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