今回は環境CMについて、企業が環境CMを投下する方法や種類、それにより一般の人がどんなイメージを持つのか、また結果として企業にもたらす効果などについて書いてみたいと思います。
環境CMの重要性
一般的に企業は「人のためになる企業が伸びる」「環境対策をしている企業が伸びる、将来性がある」と言われます。
しかしながら一部の大企業を除き、環境に常に配慮し、社会的な責務として環境に配慮するところまで手が回らず、何かしら問題が起きたときに対処しているというところがほとんどの企業の実情なのではないでしょうか。
環境対策はその方法にもよりもますが、コストが増大するため、企業にダメージを与える場合もあり難しい課題であることは否めないでしょう。
とはいえ、最近では環境対策の重要性が周知されてきたこともあり、コストがかかるとしても企業の環境対策活動を抑制しようとする意見は企業内でも以前ほど上がらなくなっていると言います。
環境対策を重んじる企業の姿勢が与える一般の人へのイメージの影響は意外に大きく、それだけで企業全体のイメージがアップするからです。
仮に環境に負荷を与えてしまっている場合も対処する姿が垣間見えれば、イメージは上がり、
またメディア等に取り上げられる機会が増え、さらに優良企業として知られる効果も少なくありません。
もう一つの利点としては環境問題をきっかけとして他の企業とのつながりや、業態の幅が広がるということ、
更に社員のモチベーション的にも自社ブランドに誇りを持つ利点もあるでしょう。
最近の環境CMとその種類
企業が環境問題に前向きに取り組んでいることは上記にあげたようなイメージアップになるとはいえ、一般の人にそれが伝わるのはなかなか難しいことなので、環境CMという形で知ってもらうという方法はかなり効果的と言えます。
そのやり方については、一般人には理解が難しい環境対策も多いので、わかりやすく一般人に響く言葉をピックアップしてさりげなく伝えることが重要です。
伝え方次第では嘘っぽく聞こえ、イメージダウンにつながる危険もあるので、環境CMも注意して素材を作っていくことが必要です。
かつては環境対策の主だった問題は
- 大気汚染
- 排水による汚水
- 排気ガス
- 森林伐採
- 地盤沈下
- 騒音・振動
などでしたが、その後の改善等により環境問題の注目もかなり変化してきており
- 地球温暖化
- 省資源
- リサイクル
- オゾン層保全
- 海洋環境保全
- 有害物質・廃棄物処理
等、変化してきています。また企業の環境対策にはそれ以外に
- 従業員の環境保全
- 長時間労働の削減
- 情報やセキュリティ体制の強化
などもあり実際にはかなり幅広い分野にわたります。
これらの大きな問題をわかりやすく環境CMにするのは実はかなり難しい作業なので、環境問題に対策しているというような大きなワードより、身近なキーワードを選んで伝えていくことが重要でしょう。
では一般の人達は環境に関するアピールをどんな風にとらえているのでしょうか。
環境CMに関する一般の人の受け取り方
企業が環境対策やエコ活動をしていることを一般の人がどれだけ認知しているのかについてですが、
企業も何かしら環境対策をしていると認識している人は7割以上いるといわれ、中でも高齢になるほどその認識が高くなります。
ただし、企業ごとにその内容をはっきりと認識しているわけではなく、
テレビや新聞等のメディアで取り上げていたからという情報源が主なところになっています。
ある調査によると知っている人の中でテレビCMやテレビで取り上げていたからという人が約8割で、新聞や雑誌で知ったという人は約4割程度、ネットで知ったという人は約2割程度となっています。
ネットは自主的に検索する場合が多く、わざわざ企業の取り組みを調べる人は少ないので、環境に関する情報は自然に目や耳に入ってくるテレビからの情報が最も多いのだと言えるでしょう。
また、企業が環境に配慮することについてどう感じるのかについては、ほとんどの人が望ましいと答えており、中でも認知度が高い環境に関する言葉としては
- 廃棄物の削減
- リサイクル
- CO2の削減
- 環境にやさしい
- 天然素材
といった言葉のようです。
また企業のどんなCM情報により環境に配慮していることを知るのかについては
- 環境負荷を軽減するような技術の開発を手掛けている
- 廃棄物の分解、再利用しやすい設計になっている
- 海洋汚染に配慮している
- リサイクルを行っている
- 原材料を明確にすることで天然素材をアピール
という専門的な内容の他、「梱包を簡素にする」という一見企業にとって経費削減になるようなことも、環境の廃棄物を減らすためという文言をつければ、環境に配慮している企業という認識ととらえられているようです。
ファストフード店がすべて紙ストローにすることもプラスチック製を全排除という言葉にすれば、環境に配慮している企業となります。
また環境対策をしている企業は、人のためになる企業となり、企業が伸びる条件であると言われます。
また環境対策をする余裕がある優良企業というイメージアップにもなりますし、
自らCMをしなくとも、メディアが取り上げてくれやすくなるというメリットもあります。
同時に、環境に配慮する企業は同時に従業員をはじめとする企業内の環境も配慮するだろうという内部的なイメージアップにもつながります。
効果的な環境CMのやり方
環境対策をしているかどうかに興味があるのは50代以上の比較的高齢者ですが、環境対策については世代を問わない問題です。
時間帯は全日(ぜんじつ)というまんべんなく投下する方法が良いでしょう。
また全国的に認知してもらうためにBSなどを利用するのもありでしょう。
実は物を購入する際に、約9割程度の人は長く使える良い品物を買いたいと考え、
また、良いものであれば修理して使っていきたいという人も約8割、
資源が無駄にならないよう無駄に買わないよう気を付けたいという人が約7割、
というように最近の傾向として、環境に配慮して、良い品物を購入したいという気持ちは全体として広がってきていることがわかります。
かつてのバブル時代のようにどんどん古いものを捨てて新しいものに買い替える時代ではないわけです。
環境に配慮していることをCMで打ち出していくことは優良商品を作っている企業であることと結びつき、結果として売り上げも伸びることになるでしょう。
とはいえ単に「環境に配慮しています」と標榜してもなかなか伝わりにくいので例えば、
- 製造工程で発生する物質を何かしらに再利用していること
- 貧困や飢餓問題を抱える国に技術を伝授している
- プラスチックのストローや容器をなくした
- 植樹をしたなど
- 容器が自然由来の物質を使っている
- 水源地を整備しつつ水を確保
- 再生紙を使っている
- 清掃活動をしている映像をさりげなく入れる
など。また、環境関連の言葉はCMの最後に入れるか、文字でいれるか、タレント等を使って言ってもらうなどがあります。
注意点としては、「○○を使わないから環境に配慮している」「CO2を出さないから環境に良い」などは一見良い言葉に聞こえますが、CO2は出さないがかわりに別の廃棄物が出ていてそれを指摘されてしまうと、イメージが悪くなることがあるので、要注意です。
環境のCMも言葉の選び方や映像の選び方が意外に難しいのですが、長い目で見ると企業のブランドイメージアップと信用獲得になり、売り上げアップが期待できるので、環境CMは進んで投下していきたいものです。
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