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番組制作さいごの工程『MA(エムエー)』について解説します

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テレビ番組制作で、いちばん最後の作業は、映像編集と音の編集の総仕上げ。

それらの総仕上げ作業は、ポストプロダクションとも呼ばれていますが、その作業をする場所のことも、ポストプロダクションといいます。

それまでの作業は、制作会社の中やテレビ局のスタッフルームなどでできる仕事ですが、ポストプロダクションの作業は、それ以上のスペックのある設備と、それを扱えるオペレーターが操作します。

今回は、ポストプロダクションの作業でも、一番最後の作業、MA(エムエー)といわれる、音を入れる、編集する作業について解説します。

 

MAは何の略?

 

MAは、『エムエー』と呼びますが、正しくは、『Multi Audio』(マルチ オーディオ)の略です。音を整理したり、調整をしたり、ナレーションや効果音、BGMを入れる、音に関わる作業をします。

視聴者に「この番組(あるいは、動画や映画も)、質が高いな!」と思わせるのは、音が果たす部分が大きいのです。

MAをすることで、作品に命が吹き込まれると言っても過言ではありません。MAで、作品に感情が込められるのです。

この作業によって、テレビ番組らしくなる、とも言えます。

関連記事:ポストプロダクションとは?どんな仕事をしてるの?

 

具体的にはMAではどんな作業がされる?

 

MAの流れは、

  1. 整音・調整
  2. 音楽入れ
  3. ナレーション録り
  4. ナレーションの調整
  5. ミックス

それぞれ、詳しく説明していきます。

①調整

 

映像素材には、映像だけではなくて音も入っています。

レポーターが町の中を歩いていれば、

  • 町なかの雑踏の音
  • 車の音
  • 信号機の音
  • 店から流れるBGMの音
  • お客の会話
  • 調理の音
  • 店内に置いてあるテレビの音
  • 空調の音
  • 鳥や虫の声
  • 風や雨の音

などが一緒に撮影されているんですね。

撮影は数日間にまたがっていますし、その都度、違う機材を使用していることもあり、音のレベル(音量)がまちまちです。

室外と室内でも、バラツキがあるので、一定のレベルに調整しておきます。

雑音があったほうがいいシーンは音を残しますし、ないほうがいいシーンは音を消します。全ての音が同じレベルだと、聞き取りづらくなりますし、雑音が全くないと、不自然になります。

聞かせたい音が耳に残るように、また、違和感がないように調整をしていきます。

②音楽入れ

 

2つ目の作業は、音楽と効果音を入れていきます。効果音はSE(Sound Effectの略です)ともいいます。音楽と効果音は、音効(音楽効果)さんと呼ばれる専門スタッフにつけてもらいます。

映像のシーンや、登場人物の心情に沿うような音楽をつけることによって、視聴者は感情移入したり、映像に集中することができます。

 

音効さんの仕事は、使用楽曲のリストを作成するなど、書類をつくる地味な作業もありますし、音楽は著作権が複雑なものもあるので、著作権についての知識も必要です。

音効さんは、音効の会社に所属していたり、フリーランスも多く活躍しています。

③ナレーション録り

 

次は、ナレーションを収録します。

あらかじめ用意しておいたナレーション原稿をナレーターさんに読んでもらいます。最初に映像をみてもらいながら、ナレーターさんに読んでもらいます。

ナレーションが多いところは言葉をけずり、間があるところには言葉を足す。

読みづらいことばや、聞き取りづらいことば、誤解を招く表現は言い換えます。

イントネーションのチェックもします。イントネーションが違うと、別の意味に取られる可能性があります。ほとんどのスタジオに「NHKアクセント辞典」が置いてあり、不確かな単語は、これで調べます。

原稿の整理をして、ナレーション録りの本番です。

④ナレーションのチェックと微調整

 

ナレーションを録り終えたら、ナレーションチェックをしながら、微調整していきます。読み間違えたところや、声のカスレ、聞き取りづらいところなどは録り直します。

音楽や効果音とナレーションが重なったところは、ナレーションをすこし、前後にずらします。ナレーションをずらす作業は、「音の上げ下げ」とも言います。

⑤ミックス

 

最後に、音をミックスします。映像に入っている地の音と音楽・効果音と、ナレーションを一つのトラックにまとめて入れます。

最後に、納品用のディスクに入れて完了です。それまで、バラバラにあった素材が納品ディスクにまとめられるので、かつては、ポストプロダクションでの作業を「一本化」とも呼んでいました。

関連記事:番組制作の編集ってどんなことをするの?働き方は?

 

ミキサーになるためには

 

映像系の専門学校で音響を学んで、テレビ局やポストプロダクションに就職するルートが多いようです。

映像や音響とは関係のない大学学部を卒業して、ポストプロダクションで一から操作を教わるパターンもあります。

機材を扱う仕事ですので、機械をいじるのが好きな人、1日中スタジオにこもるので、そういった空間での仕事にストレスを感じない人が向いていると思います。

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imacharin
テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。







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