テレビ番組は映像とテロップ(文字による情報)と音(ナレーションと音楽)で構成されています。
「音効」は、音響効果の略で、「おんこう」と読みます。
音効は映像に合わせて音楽をつけたり、効果音をつける仕事。
音楽や効果音を意識して番組を見てみましょう。
ほとんどのシーンに音が入っていることに気づきます。
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音楽はなぜつける
音楽をつけることで、このシーンがどんなシーンなのか、雰囲気で導いてくれるという役割があります。
バラエティであってもドキュメンタリーであっても登場人物には感情が伴っています。
視聴者にその感情を共有させる役割が音楽にあります。
例えば、
- 楽しい
- 嬉しい
- 面白い
- 怖い
- 悲しい
- しみじみとした
- 腹立たしい
- 怒っている
など。
バラエティやドラマの場合には、これからの展開が何が起こるのか、予感させるような音楽をいれることで、いいことが起こるのか、それとも不穏なことが起こるのか、を視聴者に感づかせたりします。
バラエティでは、楽しく明るい音楽を入れることで、さらに盛り上げる効果があります。
ドキュメンタリーの場合だと、多くを語らない人が主人公であっても、音楽や効果音次第で主人公の心情を物語ることが可能です。ナレーションで説明するのは無粋なとき、音楽はそれを補足してくれます。
音楽は映像を印象付けたり、盛り上げたり、補足したり、とさまざまな効果があります。
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効果音をつけるところ
テロップが派手に画面に飛び込んできたり、スライドで出てきたり、キラキラしたり、とテロップにも演出が施されているところがあります。
そういうところには、『シャキーン』『キラキラキラーン』『シュッ!!』といった効果音を付けています。
コントや漫才のバラエティ番組だと、観客の笑い声や拍手をつけます。
ドラマやコントでは、現実には録れていない音を足します。
例えば
- ドアの開閉音や靴音
- 足音
- 救急車やパトカーの音
- メガネをかけたり上げたりするときの音
- 衣擦れの音
- 風や雨の音
などなど、些細な音でシーンを特徴づけたり、登場人物の個性を際立たせたりします。
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音効さんの仕事の流れは?
1時間番組を想定して仕事の流れを辿ってみましょう。
音効さんが介入してくるのは、仕上げの段階からです。
仮編集が終わり、映像の尺やCMのタイミングが決まったところでディレクターと打ち合わせをします。
①ディレクターと映像を見ながら打ち合わせ
ディレクターからは演出の意図やシーン替わり、ナレーションのイメージが伝えられます。
ディレクターによっては、このシーンにはこの音楽をつけたい!と、すでにイメージを持っている場合もあります。音効さんにお任せする場合も多いです。
②選曲
仮編集の映像を持ち帰って、選曲をします。
素材集めをしておきます。
③切ったり貼ったりしていく
画完パケ(テロップが入った完尺の映像)がきたら、選曲してあった音楽をシーンに合わせていきます。
テロップが入っているところやディレクターの指示があったところに効果音を足していきます。
効果音や音楽をオリジナルで作る場合もあります。
④MAに立ち合う
音楽はデータにしてディレクターやMAスタジオに渡します。
MAでは、最初に映像と音楽を合せてみて、ディレクターがナレーションを読みながら音楽のチェックをします。
ナレーションを入れてみると、微妙に音楽や効果音が違うかな、と感じる場合があります。そういうときは音効さんに付け替えてもらいます。
⑤使用楽曲書を作成
MAで音楽をいれたら終わり。ではありません。
使用した楽曲について書類を作成します。
音楽は著作権があるものとないもの。
ジャスラック(一般社団法人日本音楽著作権協会)に入っているもの、入っていないもの、があります。
テレビ局ではジャスラックと包括契約を結んでいるので、ジャスラックの音楽を使用した場合は、一覧にして提出しなくてはなりません。これをプロデューサーに提出して終了です。
仮編集を手にしてからMAまで、1週間から10日ほど。
ある音効さんから、「ADさんから音効さんっていいですねー。かっこいいし、ラクだし」って言われちゃいました、と苦笑されていました。
データで渡しているのでラクそうに見えたんでしょうね。
現実は、細かい作業の積み重ねで、スケジュールがパツパツのときは徹夜で作業することもあるそうです。
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音効とミキサーは仕事内容が違うの?
MAには、MAスタジオにミキサーという仕事があります。
音効と同じく、音に関わる仕事なのですが、どう違うのでしょうか。
音効さんは、音楽や効果音を選んでつける、というのがお仕事。
ミキサーさんは、それらの音楽や効果音を映像に合わせて音量を上げたり絞ったり、効果音を外したりずらしたりします。
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音効になりたい!何をすればいいの?
音効に必要なのは、音楽のセンスと企画の意図を読み取る能力の合わせワザが必要です
様々な音楽、だけではなくて、音そのものを聞くこと。音楽を意識して映像をたくさん見ること。自分でもソフトを使って音楽を作ってみたり選曲してみることをしておきましょう。
大学や専門学校では、映像や音響について学べる学科もあります。
テレビ番組や映像を盛り上げる音のディレクターが音効さんです。
番組への問い合わせで、ここで使われていた曲はなんですか?というのも多いんです。
このシーンであの曲使ってましたね!センスいいですね!とお褒めの言葉をいただくこともあります。意外と音効さんへの激励、多いんです。
一度、音効さんの仕事をイメージしてテレビ番組、ご覧くださいね。
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