秋は習い事の発表会が行われるシーズンです。
お子さんたちの晴れ姿を撮影する機会がありそうですね。
遠方に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃん、仕事が重なって間に合わなかったパパやママが動画を楽しみにしていたのに、いざ、再生すると…
- 録画されていなかった!
- 演奏の途中で終わっていた!
- 画面が揺れている!
- 最初から最後までピンボケ…
- 動きがなくて単調
- ズームイン、ズームアウトが多くて、酔いそう…
など、失敗していて泣きそうになった…とよく聞きます。
今回はテレビ番組制作を行っているプロの観点から、発表会の撮影をする時のコツを解説してみたいと思います!
見出し
失敗は、プロだってやらかしてる!
実は、プロだって失敗をやらかしているんです!
例えば、カメラをもって歩いているガサガサした映像がずっとあるのに、そのあと撮ったはずのリポートのシーンがなかった!
…これは、「逆スイッチ」といって、録画ボタンをオフにしていたと思ったらオンになっていて、撮ろうとしたときにオフにしてしまうこと。
映像はあるのに、音声が入っていなかった!
カメラマイクのジャックが入っていなかった…
などなど…。
そう!プロだって失敗するんです!(それで慰めにもなりませんが…)
失敗しないために、どうするか?それは、準備とリハーサルをすることでしか防ぐことができません!プロだって、いきなり本番でカメラを回す、ことはしないのです。
本番前の準備を怠らない
では、プロはどんな準備をしているのでしょう。撮影日前日にチェックしていることがあります。
- バッテリーが充電されているか
- カメラやマイクの機能をチェック
- 当日の本番前にもカメラや機材の機能をチェック
- 何をどう撮影するのかシミュレーション
と、必ず行っています。
撮影は前日から始まっています。
前日に必ず、チェックしておきましょう。
前日のカメラチェック
①録画メディア
チェックするポイントは…
録画メディアにちゃんと録画できるか?
最近のメディアは小さくて繊細です。
必ず、メディアをカメラに挿入して録画できるかどうか試し撮りをして、再生をします。
HDD一体型のカメラの場合は、録画できる残量を確認しておきます。
ここまでしておけば、録画ボタンさえ押せば、録画できます。
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②カメラ機能
カメラの機能と動作確認をします。まずはカメラマイク。
カメラマイクが入っているかどうか、はイヤホンをつなげて自分の耳で確認します。
それとインジゲーターでも確認しましょう。
インジゲーターはカメラモニターに出すことができます。(メニューから選べると思います)
音がカメラに入っていると、インジゲーターの目盛りが動くので、音が入っているかどうか、目で確認できます。
ピントが合っていなければ、合わせておきます。
カメラを持ち運んだり、カバンから出したりしまったりするときに、ピントを合わせるところを動かしてしまうことがあります。
いざ撮影しようとして、ピントが合っていないと、どこで調整するんだっけ?と慌てることになります。
前日に調整しておくことで、慌てずにすみます。
また、ズームの操作にも慣れておきます。どのくらいの圧で押せばどの程度のスピードでズームするのか、カメラには癖があります。
それぞれにもし不具合があっても、本番までに十分間に合います。
何を撮影するのか、予習しておく
以上はカメラのチェックですが、もうひとつ、確認しておくといいことがあります。
それは…
演奏曲を聞いておく、こと。
子どもも本番にそなえて練習するでしょうから、曲を聴いておきます。
曲の長さはどれくらいか?曲が盛り上がるところはどのあたりか?を知っておきましょう。
なぜなら、知っておくとカメラを動かすタイミングがとれるから、です。
もし、お子さんの練習を見れないなら、曲名と曲の長さを聞いておきます。
曲名がわかれば、視聴しておきます。
だたし、こども用に短くアレンジされている場合もあります。
聞いていた長さと明らかに違う場合は参考程度にとどめておきます。
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会場に入ったら、カメラポジションを確保
会場に入ったら、カメラのポジションを決めます。
撮影が成功するかどうか、は、どこから撮影するか、で決まります。
最初から最後まで正面から撮り続けてないですか?

これだと、弾いている様子はわかるのですが、こどもが小さいし、横顔で表情がよくわからない…顔のズームしていても、顔にピントがあわず、表情がぼんやりとしかわからない…
もう少しお子さんの表情をとらえたいですよね。
そこで、最初のお子さんの登場シーンは、表情中心におさえます。
お子さんが右手から登場するなら、カメラは左手、お子さんが左手から登場するなら、カメラは右手にします。
常にお子さんの顔が正面から撮れる位置にカメラをおきましょう。
お子さんとカメラはできるだけ向かい合う位置にします。
お子さんが登場する20分前くらいの演奏者の動線を確認しながら、ベストポジションを探します。
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基本をおさえる
①水平をとる
カメラを三脚に取り付けて、ベストな位置に置きます。
三脚は水平器つきのものがいいですね。
水平が取れていないと、なんだか生理的に気持ち悪い映像になってしまいます。
プロはカメラ位置を変えるたびに、水平をとります。


三脚に水平器がついていない、という場合は、画面に水平線を映し出します。
例えば、床と壁の境目でもいいですし、背景に置かれた看板でもかまいません。
なにか横の直線状のものを映し出して、それが水平かどうかを目で見て判断します。
三脚がない場合は、手で支えることになります。
カメラはホールドグリップに手を通してしっかりと持ち、もう一方の手でカメラを支えます。
必ず、両手で持つことが基本です。片手で持つとブレますから。
そして、おなかに力を入れます。体幹を三脚がわりにするつもりで。
手は添えておくくらいの気持ちで大丈夫です。
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②明かりを調整
次は明かりを調整します。
カメラには、「オート」と「マニュアル」があります。
オートは自動調整してくれる便利な機能ですが、いまいち好みの色味じゃない、ということもあります。
マニュアルで、好きな色合いを探したほうがしっくりくるかも。
そして、この色みと決めたら、照明のスイッチを「ホールド」にします。
③カメラリハーサルをする
カメラの位置を決め、セッティングが完了したら、カメラリハーサルをしましょう。
余裕をもって、お子さんの演奏のふたり前くらいの演奏者で練習させてもらいます。
カメリハはカメラに慣れるためにも、構図をとるためにもおすすめです。
演奏の流れとサイズ

演奏者の流れはこんな感じ。
- ステージ袖から登場
- 客席に向かってお辞儀
- ピアノ前に着席
- 楽譜に目をやり
- 演奏スタート
ここまでは、お子さんの表情を中心に撮るようにします。
撮影の構図はこんな感じ。
- ①②はこどもの全身ショット
- ③④こどものバストショット
- ⑤こどもの顔、アップ
演奏が始まってしばらくは、そのままのサイズをキープします。
そして、
- ⑥演奏中はバストショット
- ⑦途中、カメラ移動して、正面へ
- ⑧盛り上がりのところを目指して、顔にズームインしていく
- ⑨演奏終わりまでキープ
- ⑩立ち上がって舞台袖に消えるまで、全身ショット
- ⑪視界から消えるまでそのままキープして、ボタンをオフ
カメリハをしておくことで、サイズ感やズームの速度、移動のタイミングがつかめます。
さて、次はお子さんの出番です。
お子さんの前の方の演奏が終わったら、録画ボタンを押しましょう。
録画ボタンをおしたら、回しっぱなしです。演奏途中でボタンを押さないように。
演奏中でも、カメラ位置をかえる
⑦からの撮り方をちょっと補足しますと…
途中、いいところで、カメラを正面に移動させます。
そこからは演奏終わりまでその位置で大丈夫です。
グランドピアノと子ども、両方入っている定番のサイズでそのままキープ。
もちろん、こどもにズームしてもかまいません。
ズームのコツは、ズーム終わりの構図を決めておくこと。
これくらいのサイズまで寄りたい、とイメージしておくことです。
そして、ゆっくりめのスピードでズームしていきます。
曲の盛り上がりがきたら、こどもの表情を狙います。このタイミングでズームインが決まれば、気持ちいいですね!
このまま演奏終わりまでこのサイズでキープします。
演奏が終わってほっとひといきの表情までおさえて、
立ち上がってステージからはけていくまでは、全身サイズで撮りましょう。
大人になったわが子に見せたいのは子どもの表情
成功する動画は、この映像で何を撮りたいのか?を決めておくことです。
「ピアノの発表会の記録」よりも、もう一歩ふみこんで、子どもが頑張った表情を残したい、大人になったら見せてあげたい、と決めておくと、表情を狙えるようになります。
発表会で一番緊張するのは、演奏前。
そして、ほっと安堵するのは、演奏おわり。そこに、子どもの素の表情が一番出ます。
演奏前と演奏後は、子どもの表情を撮るぞ、と意識しておくと、最高の一瞬を逃しません。
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状況を撮っておく
会場の外観も撮影しておきます。
撮り方は、空からパーンダウンして会場。そうすると、その日の天気がわかります。
会場の後方からステージを撮っておくと、会場の規模感や客席の様子、ステージの設えがわかります。
最後の演奏まで残りましょう。
発表会終了後は記念撮影をするでしょうからそのシーンも撮影しておくと、教室の仲間全員が一緒に撮れます。
演奏が終わって、満足されている子供たちの様子がカメラに収まります。
演奏が終わったら、インタビュー
演奏が終わったら、ロビーなどでお子さんと合流します。
そこでお子さんに「今日はどうだった?」とインタビューしてみましょう。
毎年撮影していると、こどもの成長がわかります。
インタビューのコメントもだんだんと長くなってきて、充実したことや失敗したことが語れるようになっているのではないでしょうか。
プロはもちろん撮影の技術をもっていますし、いい機材ももっていますが、それよりも、狙ったものが確実に撮れる、ということです。そのためには準備をする。
子どもの映像って、帰宅したり実家に帰ったときに見たらそれっきり…ではないんですよね。
子どもが巣立つとき、帰省したとき、結婚するとき、孫ができたとき、親族が集まった時、と子どもが成長してから見る機会があります。
何度みても、その日の気持ちも思い出す、そんな映像になりますように。
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