今回は映画やドラマのスタッフロールでも見かけることがある「スクリプター」という仕事について、解説してみたいと思います。
文字面だけ見ると「スクリプター」というのはどんなお仕事なのかよくわかりませんよね。
実は映像制作をする上で、このスクリプターというお仕事はなくてはならないお仕事なのです。
スクリプターとは?どんな仕事?
スクリプターとは映画やドラマの撮影現場で記録を取るお仕事です。
英語で台本は「script」と言いますが、ここからきている言葉です。
現場によっては「記録さん」と呼ばれることもあります。
記録というのはどういうものなのかというと、
- どのシーンを撮影したのか
- 撮影したシーンのカットの内容(「表情アップ」「全身」「引き」「Aさんのカット/Bさんのカット」など、一つのシーンで複数あることも)
- 全体の何分何秒あたりにどのシーンを入れるか
- そのシーンで使われた小道具や衣装、メイク、髪型、セリフなど
- OKテイクが何番目のテイクか
といったことです。
何をどのように撮影したのか、ということを記録するのがスクリプターなんですね。
特に映画やドラマといったストーリーのある映像は、
最初から最後まで順番にシーンが撮影されるわけではありません。
日没のシーンが最初に来ていても、撮影は朝からだから、最初はクライマックスのシーンを撮って、日没の時間帯になったら本編冒頭の日没のシーンを撮りましょう、ということがあるわけです。
時間や場所で撮影条件が変わりますので、台本通りには撮影できないものがほとんど。
ですが映像が長編になればなるほど、どこで何を撮影したのか、ということが複雑になってしまい、わからなくなってしまいがちです。
そこで活躍するのがスクリプターということですね。
スクリプターがいなければ、撮影したと思っていたのに撮影できていなかった!というようなシーンが生まれ追撮になってしまったり、
さっきまでそこにあったはずの小道具が次のカットで消えている!?なんてことが起こってしまうわけです。
さっきと同じシーンのはずなのに、前のカットと髪型が変わっている、なんてことも実はよくあることなんですね。
ドラマや映画の撮影に入ると、撮影の順番が本当にバラバラでびっくりします。
クライマックスから演じなくてはいけない、というようなことがある役者さんも大変ですが、
そういった撮影の順番を組み立てたり、撮りこぼしがないか、ということを確認するスタッフもまたてんやわんや。
スクリプターはあまり世間的には認知度が高くないかもしれませんが、
撮影の現場では居なくてはならない存在です。
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スクリプターが活躍する現場
スクリプターが活躍する場所は映画やドラマなどが多いですが、
バラエティ番組なんかでもスクリプターがつくことがあります。
ただ、小さな局の予算の少ない現場ではスクリプターはつかないことも少なくありません。
どちらかというと、ストーリー性のある現場の場合はつくことが多く、
さらに予算が大きい番組の方がスクリプターが独立して存在している、ということが多いですね。
複数のスクリプターが入っている、ということもあります。
逆に予算があまりない小さな現場や、撮影よりも編集などが多い映像制作の場合は監督やディレクターがスクリプターとしてのお仕事を兼任することが多いです。
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スクリプターはどのように働いている?
スクリプターは撮影だけが仕事ではありません。
まずは撮影前に台本を読んで、本編の尺の計算をしていきます。
また、衣装や小道具など、どのようなものを使うのか、ということも全て記録していきます。
さらに撮影が始まったら、コンテを把握して、それをスタッフ全体に周知します。
それらの情報をスクリプト用紙と呼ばれる表でまとまっているものに書き込んでいきます。
ここに書かれるのが、
- セリフ
- 動き
- カット
- 秒数
- 小道具
などですね。
さらに撮影が終わったら、この情報をもとに編集や音付け作業などにも立ち会って、それらを担当するスタッフに指示を出します。
この編集の部分で尺調整も行わなくてはいけません。
どのシーンをカットするか、どのシーンをいかすか、ということを監督に提案することもあります。
このように、映像制作の全ての工程に携わるのがスクリプターです。
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どんな人がスクリプターに向いてる?
昔からスクリプターは女性が多い職種です。
生放送番組で絶対に必要なタイムキーパーの仕事も女性が多いですね。
テレビ業界というと男性が多いイメージを持たれる方が多いと思いますが、実は女性の方が向いているお仕事もあるのです。(もちろん男性の方もいらっしゃいますが)
特に必要な資格などがあるわけではありませんが、
映像系の専門学校や映像学部のある大学から助手として現場に入って学んでいく、ということが多いです。
さらにスクリプターとして活躍されていた方がプロデューサーやシナリオライターに転身される、ということもあります。
記憶力や注意力、集中力が求められるお仕事で、
細かいことに気づける方、どんな時でも忘れずに記録をつけることができる冷静さも求められます。
さらに全ての工程に携わり、多くのスタッフとやりとりをすることが多いので、
コミュニケーション能力も求められる仕事だと言えるでしょう。
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