テレビが以前よりも面白くなくなった、つまらなくなった、と言う人って最近増えて来たと思いませんか?
かつてはテレビをつければ、面白いものがやっているという印象を持っていた人もたくさんいたと思うんですよね。
私自身、テレビをつけると面白いものがやっていると思っていましたし、情報を手にしたいとき・思いっきり笑いたいとき・知らない世界をのぞきたいとき、テレビをつければ、事足りていました。
しかし、今ってそういう人ばかりではなくなってきていると思うのです。
では、なぜテレビはつまらないと思われるようになってしまったのでしょうか?
その理由は何か、考えてみました。
つまらない理由1・テレビ以外の楽しみが増えた
テレビがつまらない理由の一つ目は、テレビ以外の楽しみが増えたことがあります。
- ゲーム
- youtube
- ニコニコ動画
- ツイッター
- インスタグラム
などなど、一人でいても楽しむことのできるツールはたくさん増えてきたと思います。
また、長らく、テレビは生活の中心に、家の真ん中に鎮座していましたが、 核家族化がすすみ、家族それぞれが部屋を持つようになり、
テレビの価格が安くなってきた80年代ころから、家族ひとりひとりがテレビを持つようになってきました。
テレビも一人で見ることができるようになった上に、
一人で楽しむことができるツールがテレビ以外にも増えてきています。
最近のテレビは大体がながら視聴で見られていますしね。
そのころから、だんだんとゆるやかに番組の質が低下していき「つまらない」という声が聞かれるようになった気がします。
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つまらない理由2・テレビ番組制作の予算が減った
テレビがつまらない理由の二つ目は、制作にかける予算が減ったことが挙げられます。
91年にバブルが崩壊してから、番組制作費が減少していきました。
企業の広告出稿料が軒並み減ったのが理由でした。
いかに予算をかけずに、視聴率の取れる番組が作れるか?に、局は腐心するようになりました。
視聴率が良ければ良いほど、その番組についてくれるスポンサーも多くなるので当たり前の流れです。
なので、オリジナルの企画を捻出するよりも、他局で数字が取れている番組を参考にすることが多くなりました。
似たような番組ばかりやっている、という印象をもたれはじめたころだと思います。
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つまらない理由3・テレビ番組の作り手側の気持ち
テレビがつまらない理由の三つ目は、作り手側が感じる閉塞感です。
かつて、テレビは大らかでした。
例えば、アイドルたちが総出演する「水泳大会」がありました。
水着のアイドルが歌い、プールではゲームが行われるわけですが、騎馬戦のような激しいゲームでは、誰かの水着がはぎとられるということがありました。
もちろん演出で、あらかじめタイミングや見せ方は決まっているものですが、
見ている方は、いつポロリが見られるのか、今かな、今かな?と見続けてしまうわけです。
銭湯が舞台だった人気ドラマでは、女湯のシーンが必ずありました。
未開の地で、不思議な生物発見にチャレンジする探検隊や、
超能力者がテレビを見ている視聴者へパワーを送り、動かなくなった時計を動かす、なんていうのもありました。
今でも、あれはやってはいけない、こういう内容の番組をつくってはいけない、というルールはありません。
ですが、テレビは大きな影響力のあるメディアですので、番組には公共性を持たせなければなりません。
視聴者の方々も、直接番組にご意見くださったり、新聞にあの番組はいかがなものか、と問う意見を投書したり、
今では、SNSに投稿、つぶやくということが気軽に、そして即座にできてしまいます。
そうした意見を参考に企画を考えるなかで、
- どんな人でも楽しめる内容か
- 誰か特定の人を傷つけたりしていないか
- この演出は誤解を与えないか
- 親が安心して子供に見せられるか
などをあらかじめ配慮するようになっていきました。
配慮しすぎる、ということはいろんな番組の多様性を奪い、平均化させてしまうことにも繋がります。
平均化された番組は視聴者からすると特に驚きのない、つまらない番組になってしまうのかもしれません。
テレビがつまらないのは、無難だから?
生放送が増えるとともに、生放送に対応できる
- タレント
- コメンテーター
- 文化人
- 専門家
などが選ばれるようになります。
生放送に対応できるというのは、
- 突拍子のない発言や行動をしない人
- 視聴者やほかの出演者に嫌な思いをさせない人
- 気配りのあるコメントが言える人
という資質、キャラクターが求められます。
ひとことで言うなら、無難な人。
となると、生放送の番組には、ほぼ同じ顔触れのコメンテーター、文化人、専門家が出ますし、
どんな人が出ていても、コメントの内容も似てきます。
売れっ子の芸人さん、タレントさんは、
- 全国ネットの番組は言いたいことが言えない
- 見えない圧力を感じて閉塞感がある
- 自由にふるまえない
とストレスを感じているようで、
地方のローカル番組やネット番組では、ストレスがなくのびのび楽しんで発言できるということが魅力なのです。
これから、番組の同時配信が始まる可能性が高いですが、メジャーなタレントさんが自由にコメントしている、
自由にふるまっている地方局の番組は、勝算がありそうです。
つまらない、というのは、本質や本音まで突っ込んで取材できていないことが大きな理由だと思うのですが、
本質や本音が放送されれば、批判がつきまとう、という、相反する現象の結果なのかと思います。
まとめ
予算ももちろんですが、多くのテレビ番組が、番組と番組をうまく差別化できていない、
あるいは、番組を平均化せざるを得ない社会的風潮が、今のテレビをつまらないものにしている理由なのかと思います。
テレビはスイッチを入れてしまえば見たくないものでも見えてしまう、ある種の暴力的要素があります。
だからこそ、視聴者側がテレビを見るときのメディアリテラシーが大切になってきますし、制作側もパブリシティを考えながら発信していかなくてはいけない、
そんなジレンマの延長で、テレビがつまらない、と囁かれるようになってしまったのかもしれません。
では今日はこのあたりで。