今回はテレビ局の自社制作番組はどれくらいあってどんなものが多いのかについて書いてみたいと思います。
就職を考える時、好きな番組をやっているからそのテレビ局に入りたい、という人もいるのではないでしょうか。
ところが好きな番組をやっているからと、テレビ局への就職を目指したものの、
実はその番組を作っているのはそのテレビ局ではなかった、ということがあります。
テレビ局の自社制作番組って何なの?
自社制作番組とは
テレビ局は全国各地にあって、各テレビ局は朝から深夜まで様々な番組を流していますが、
その番組のすべてを各テレビ局が制作しているわけではありません。
大きなテレビ局は例外として、それ以外のほとんどのテレビ局は
自社制作番組が少なく、多くて番組全体の20%程度。
少ないところは10%を切るところもあります。
自主制作番組以外の番組はどうしているかというと、
番組販売といって他のテレビ局や制作会社が作った番組が販売されているので、それを購入して流したり、
または系列局が作っている全国放送番組を流したりしているのです。
全国放送のほとんどは東京のキー局で作っていて
それを各地域のテレビ局が流しているんですね。
そのためキー局は、自社制作番組の比率が最も高くなっています。
キー局の次に自社制作番組比率が高いのは大阪のテレビ局ですが、キー局に比べるとかなり少なくなります。
大阪や名古屋のテレビ局でも全国放送番組を作ってはいますが、
キー局に比べると格段に少ないです。
例えば名古屋のテレビ局の自社制作番組の比率は25%程度しかありません。
それ以外の地域の局になると全国放送の番組をコンスタントに作っているところはほぼなく、自社制作比率は同程度かさらに低いところが多いです。
例外的に地方局で制作した番組が全国で放送されることもありますが、単発ものが多いですね。
そのため、もし自分がいつも見ている番組に携わりたいと思った場合は、
地元のテレビ局で自社制作している番組なのか、
それともほかのテレビ局の自社制作番組なのかを確認した方がいいと思います。
関連記事:テレビ業界の志望動機が「テレビが好き」という人が制作で感じるギャップ
自社制作番組はどんな番組か
では自社制作番組はどんな番組が多いのかについてです。
キー局は、ほぼ自社制作番組なので、報道、情報番組、バラエティ番組、教養番組など、ありとあらゆるジャンルの番組を制作しています。
キー局以外のテレビ局ではどんな番組を自社制作しているのかというと、
報道はテレビの基本なので、どの局でも流していますが
報道を除くと、ほぼすべてのテレビ局が必ずと言っていいほど自社制作しているのは、情報番組と言えるのではないでしょうか。
報道番組はニュースを端的に伝える番組で、情報番組は文化人などをゲストに招いて、ニュースに関してさらに深掘りをしていく番組です。
時間帯は午後の夕方に持ってきているところが多く、局によっては朝と夕方の両方に自社制作の情報番組を入れているところもあります。
そして、その情報番組はだいたい局の看板番組となっているようですね。
テレビ局の玄関あたりをのぞくとわかりますが、大抵看板となる情報番組のパネルなどを大きく出していることが多いです。
ではなぜ夕方の似たような時間帯に自社制作の情報番組を持ってくるかというと、
全国放送の番組は放送時間がおのずと決められてきますから、それ以外の時間帯に入れなければならず、
かつ多くの人が見るような時間帯と言うと、だいたい朝か夕方となってくるのだと思います。
- 大阪読売テレビの夕方の自社制作番組「かんさい情報ネットten.」
- 名古屋CBCテレビの夕方の自社制作番組「イッポウ」
- 札幌テレビの夕方の自社制作番組「どさんこワイド」
などはごく一例ですが、全国のほとんど全部のテレビ局が似たような自社制作の情報番組を作っていますね。
そしてこれらの情報番組以外の番組ももちろん制作していますが、それは各局様々です。
いずれにしても、看板番組となる情報番組に最も予算も人員を割いているので、それ以外の番組は規模が小さくなることが多いようです。
とはいえ、北海道テレビの「水曜どうでしょう」のように情報番組以外の番組が一躍全国で人気になってしまったケースもあるんですよね。
もしテレビ局への就職を考えているという人は、地方のテレビ局の場合、キー局に比べると自社制作番組が少ないこと、
そして主な自社制作番組は朝か夕方の情報番組であることを知っておくと良いかもしれません。
関連記事:テレビ番組制作会社に入るなら、最初は報道か情報番組がいい理由
なぜ地方局には自社制作番組が少ないか
ではなぜ地方局は自社制作番組が少ないかについてですが、
テレビというのは無料で見ることができますよね。
なぜ無料かというと番組の合間にCMを打つ企業が広告費を払っており、
その広告収入で運営しているからです。
広告主はCMを打つことで、多くの人にCMを見てもらうことを期待しているので、
視聴率の良いところになるべくCMを打ちたいのは当然ですよね。
ところがそもそもの母数の違いというのがあります。
東京のテレビ局の場合、人口が多いので最大で約4300万人が見るのですが、
たとえば鳥取県のテレビ局の場合、最大でも約56万人しか見ないのです。
東京で視聴率10%なら430万人が見てるけど、鳥取で視聴率が10%なら5.6万人。
同じ視聴率でも、母数が全く異なるので、見てくれる人の数に雲泥の差が出てしまうわけですね。
そのためおのずとCMの広告費も違ってくるので、広告収入も違いがでます。
それがテレビ局の規模の違いでもあるわけです。
広告収入が多ければ自社制作もできますが、
少ない場合は、番組販売で購入して放送する方が費用が安くなりますから、
自社制作番組は少なくなってしまうんですね。
自社制作番組になると、ディレクターや、技術スタッフ、タレントなどそれなりにスタッフを抱えることになりますから、やはり大変なのです。
だからと言ってすべてを番組販売で済ませてしまうと、局の個性がなくなってしまいますから
たとえ10%未満となっても自社制作番組をなくすということは、当面しないと思います。
また、CMは必ずしも15秒のCMだけではなく、生で紹介するCMや、会社に訪問するパターンのCMなど実はいろいろなやり方があります。
自社制作番組を持つことは、広告主に合った形のCMを臨機応変に入れやすくなるという意味でも、大事な存在になっていると思います。
特に地方局の場合かなり広告主の色が出ていると感じるコーナーがあるのはそのためではないかと思いますね。
いずれにしても、自社制作が少ないと、関わることができる番組も少ないので、その点は知っておくと良いと思います。
テレビ局に入っても必ずしも番組制作に携わることができるわけではない、ということもあまり知られていないことですね。
それでも地元のテレビ局だからという理由からとか、
または地元ではなくても地方のテレビ局に愛着を持つ人は多くいます。
たとえ自社制作番組が少なくても、番組の内容は常に少しずつ変化していきますし、規模がこじんまりとしている分、アットホームな雰囲気を感じる局もあります。
最終的には自分に合ったところを選ぶのがいいのではないかと思います。
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