今回はお菓子のCMについて最近の最近の傾向を踏まえながら書いてみたいと思います。
お菓子を食べるターゲット層
業界規模が1兆円を超える産業というのは数少なく、食品、アパレル、家具などがそうですが、
お菓子産業の規模は2016年をピークに若干下がり気味であるとはいえ、約1.3兆円程度で、お菓子業界はかなり規模が大きい産業であることがわかるので、CMにも力を入れたい企業が多いと思います。
ある調査によると国民の約3割近くは毎日なんらかのお菓子を食べており、週に2~3回食べるという人は国民の約8割にものぼると言います。
実際かつてはかなり様々なお菓子のCMが見受けられました。
また毎日食べるのは60代の女性が多く、毎日何かしらのお菓子を食べているようです。
一方で最もお菓子を食べないのは20代の男性と40代の男性で、全体には女性が好んで食べる傾向があります。
男性の中で最もお菓子を食べているのは10代以下の男性が多く、その需要は主にスナック菓子になっています。
10代20代の若い世代のお菓子の消費の1位は男性の約7割がスナック菓子、次いでチョコレート菓子、クッキー類の順になっており、
10代、20代女性についてはスナック菓子とチョコレート菓子がほぼ同じで約7割、次いでクッキーの順になっています。女性の方が甘いお菓子を好む傾向はあるようです。
また男女とも若い世代ほどスナック系のお菓子の需要が高いようです。
お菓子の総消費金額が若干減りつつあるのは、高齢女性が毎日食べているとはいえ、少子高齢化時代で10代以下人数の低下でお菓子の消費も減っていることと関係があるのでしょう。
CMとしては、お菓子は種類が多く新商品も出やすいこと、単価が低いことからなかなかCMするまでならないケースが多いようで、実際お菓子個別のCMはさほど多くなく、やり方次第で人気お菓子として定着させることも意外に難しくないようにも思えます。
関連記事:F1層がターゲットの時のテレビ広告戦略
どんな時に食べたくなりどこで買うのか
ではどんな時に食べたいかについては
- 少し小腹が空いた時
- 疲れた時
- 店頭で見て食べたくなった時
- CMやSNSで見て食べたくなった
これらに集約されるようです。
時間的には15時~18時に食べるという人が半数以上の約6割。
12時~15時という人が約3割強。18時~21時に食べるという人が約3割、
21時以降に食べる人は約1割強となっており、やはり小腹がすく夕方に需要が増えているのがわかります。
またどこで買うのかについては
- スーパーマーケット 約9割
- コンビニ 約7割
- ケーキ店など専門店 約4割
その他ドラッグストアや生協、ネットでお取り寄せするなどの方法でお菓子を購入する人もいます。
人気のお菓子についてですが、
和のお菓子についてはせんべい類、だんご類、まんじゅう類の順で人気があり
洋風のお菓子についてはシュークリーム、ロールケーキなどのケーキ、チョコレート類、プリン、スナック類
の順となっており、これらはスーパーマーケットやコンビニお菓子売り場の主要商品になっています。
チョコレートは強い人気がありますが、必ずしも1位の消費ではなく、シュークリームやロールケーキ、せんべいやだんご類の方が人気上位にありますが、これらのCMをあまり見かけないのでやり方次第かもしれません。
ただし、CMを見てすぐに買うという導線はあまりなく、記憶に残っている状態で店頭で見かけて買うという流れのようで、記憶に残るCMにするというのはやはり必要でしょう。
関連記事:印象的なCMの特徴とは
最近の傾向
最近の傾向としては新型コロナウィルスの影響で食事のテイクアウトが増えたように、お菓子ではお取り寄せが増えたということがあります。
インスタグラムで発見したグルメをお取り寄せする、芸能人がTwitterで発信していてお菓子をお取り寄せする、ブログを見て食べたくなるなど。
実際SNSやYouTubeなどの動画を見て購入した、または購入したいと考える人が男性の約半数、女性は7割近い人がいると言われます。
その理由は
- 好きなユーチューバーやタレント、友達がおすすめと言うと食べてみたくなる
- 自分で食べて味を確かめたい
- 動画で食べているとおいしそうに見える
- 他の人がおいしいと言っていると安心して買える
のように、CMに比べてより身近な口コミ効果があるようです。
このようにSNSなどの影響が大きいので今後のCM戦略ではSNSの活用、SNS上でのCM、インフルエンサーとの併用などは避けられない課題だと思います。
買いたくなるワード、気になるワード
お菓子は種類によって気になるワードが異なることがわかっています。
おいしそうに感じるワード、思わず買いたくなるワードということです。
これらはCMをする際にぜひ入れておきたいワードになるので、要チェックでしょう。
ただし、意外なワードをあえてCMにもってくるというのもありだと思います。
お菓子の種類によって購入意欲が湧くワードとしては
- クッキー…サクサク、しっとり
- ケーキ…生クリームたっぷり、フルーツたっぷり、しっとり
- アイスクリーム…濃厚、濃厚ミルク
- チョコレート…濃厚、リッチ、まろやか
など。
また意外なワードとしては
- チョコレートに「あっさり、パリパリ」
- クッキーに「もっちり、ジャコジャコ」
などあえて使わないワードを持ってくるのも印象に残る場合もあるでしょう。
またCMでお菓子全般に効果的で買いたくなるワードとしては
- プレミアム
- 究極
- 期間限定
- 増量中、今だけ増量
- 絶品
などで、逆にお菓子のCMでは意外に効果が薄いと思われるワードとして
- カロリー控えめ
- 甘さ控えめ
- 大人のスイーツ
- 男のスイーツ
などで、お菓子に関してカロリーや甘さ控えめというワードはおいしくなさそうというイメージを持たれるようです。
お菓子の効果的なCM戦略とは
上に買いたくなるワードをあげましたが、お菓子を購入する際に最も気になる項目については約9割程度というほとんどの人が「味と値段」と答えています。
また値段については約1日に半数近くの人が1日に300円まではお菓子に使っても良いと答えていることから、300円以内であればCMで金額を明確に示すこともありでしょう。
無意識に「買ってもいい金額の範囲」という意識を植え付けるからです。
またCMにおけるタレントの起用についてですが、タレントの利点からみると、
ターゲット層とタレントの類似性(年齢など)がある場合にCMを見ると共感する、タレントが好きだから同じようになりたいという意識、タレントの個性により信憑性を感じるといった効果があると言われますが、
サプリメントや電気製品などと異なり、お菓子に関してはこれらはじつはさほど関係が無いのではないかはないかとも言えます。
ターゲット層が味を重視することを再認識して見た目をよくすることの他、作り方や、原料、工程などを使っておいしく見せることで、品質と味の良さを追求するCMをもっと目指しても良いように思います。
またお菓子は単価が低いので、CMを投下しにくいという認識があるかもしれませんが、地方に行くほどCM投下は金額が安く手軽な媒体となりますので、まずは地元CMからはじめて有名地方菓子を浸透させていくのはさほど難しいことではないのではないかと思っています。
お菓子は嗜好品なので、夢を与える商品ではないかと思っています。
もっと様々なお菓子のCMが表れてくるのを期待したいですね。
関連記事:地方のテレビCMは30万円からできる?やれることを紹介します