好きなテレビ番組があって、その番組の制作の方に興味がわいてテレビ局に就職したいと考える方は多いです。
ですが、実はテレビ局が行っているのは番組の制作・放送だけではありません。
放送外収入としてイベントの企画・運営というものがあります。
今回はテレビ局のイベント運営についてお話ししてみたいと思います。
テレビ局のお仕事
テレビ番組はテレビ局で放送されていますので、テレビ局で作られている、と思っている方が多いと思います。
しかし実際には、ほとんどの番組が番組制作会社で作られており、自社制作で作られている番組というのは全体の2割程度なんですね。
なので番組制作のお仕事がしたい、と思っている方はテレビ局よりも番組制作会社に就職した方が、番組制作に携わることができるのです。
もちろんテレビ局でも自社制作番組がありますし、番組制作の全てを制作会社に委託するのではなく、社員も何人か参加して、社員と外部の制作会社で共同で制作を行う、という形になっているものも多いです。
ただ番組制作に携わることができる局員というのは本当に一握りで、
ほとんどの局員が別のお仕事をしています。
例えば、
- 編成の仕事…テレビ番組をいつ放送するか、テレビ番組表を作るお仕事
- 営業の仕事…テレビ番組についてくれるスポンサー企業を募るお仕事
などもテレビ局のお仕事です。
他にも経理や人事など、一般的な会社にもあるような部署がテレビ局にも存在します。
そして番組制作以外のお仕事の一つとして挙げられるのが、イベントの企画や運営といったお仕事、というわけです。
関連記事:テレビ局と番組制作会社の関係とその歴史について解説します
テレビ局のイベントのお仕事は70年代からあった
イベントを中心とした放送外収入と言われる事業は、実は70年代から始まっていました。
この頃は有名な歌手の方のコンサートなどへ名義使用をしていたんですね。
これは興行会社からの依頼で、コンサートの主催にテレビ局の名前を入れる代わりに、名義使用料を還元してもらう、という仕組みです。
「〇〇放送主催 誰々コンサート」というような宣伝をテレビ局でよく見かけますが、これも名義使用です。
主催以外でも、
- 美術展などの展覧会
- スポーツイベント
- 舞台
などの後援なども行っています。
また、80年代以降は体育館や野球場、陸上競技場などを利用して、テーマパーク的なイベントを開催することが増えました。
これらの自社イベントは、自社の情報番組などで取り上げて集客を行うわけです。
テレビは日々色々なネタを取り扱っていますが、
そもそものネタを自社の方で作ってしまう、ということですね。
もちろんテレビはマスメディアとして影響力が絶大ですから、イベントの告知を自社で行えれば、自社のイベントの集客ができる。
これが放送外収入の仕組みです。
また、近年では冠スポンサーのついたライブイベントなども多く、
スポンサー企業を入れて、広告料を収入にしたりします。
自社で運営するイベントに集客もできて、そのイベント自体もまた広告塔になるので、そこにスポンサーがつく、ということですね。
イベントが大きくなればさらに長尺の特番を作ったりして放送もできるわけです。
地方ローカル局が強いシーンも
イベントはスポーツ方面にも広げやすく、例えば地方ローカル局だと、高校野球やサッカーなどの放送局が主催する県大会予選などがあります。
これらをDVDなどにして販売したり、地元の大学と連携して番組を作ったり、といった展開もあります。
最近はこういった番組をネット上にアップしたり、オンラインで購入できるコンテンツにしたり、といったことができるようにもなりました。
やはり地元の高校野球やサッカーチームの試合というのは地元の人にはとても大切なものなんですね。
全国で放送するものではないけれど、地元では熱狂的なファンがいる。
こういったものを拾い上げることができるのが地方ローカル局の強みです。
そして地域に根ざした事業を行っている企業は、こういったところにスポンサーとして入りやすいというのもあります。
地元企業が長年地元で同じCMを放送し続けている、というのはよくあることで、
地方出身の方は、出身地から出ると「あのCMは地元限定だったんだ!」と気付くことも多いでしょう。
テレビ視聴者側だと気づかないものですが、実はローカル局でしか流れていないテレビCMというのもよくあるものなんですよね。
特にイベント関連のお仕事は地元の方々と連携して開催されるものも多く、
自分の育った場所に恩返しがしたい、と思っている方はローカル局でイベントに携わるお仕事をすることにやりがいを感じられるのではないでしょうか。
テレビ局の中のお仕事というのはなかなか外から見ているとわからないものですので、
今回はあまり知られていない、イベント企画・運営に関するお仕事をご紹介してみました。
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