弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
テレビ番組の取材で、ディレクターやADが自分でカメラをまわすことがしょっちゅうあります。
例えば、
- 実景を撮ろうと思ったら、天気が急変した!
- ロケの時に、店の前が工事中だったから、店の外観を撮り直したい!
- 店内のお客さんがいつもより少なかったから、通常の様子を撮りたい。
- 編集で、街録(町なかでのインタビュー)を挿入したい。
などといった時。
ロケのあとに、編集をしていて、撮り直したい!撮り忘れた!と気づくことは、よくあります。
かつては、テレビカメラの扱いは、プロのカメラマンでないと調整ができなかったため、
1カットでも取りこぼすと、プロカメラマンを一日追加で拘束しなければなりませんでした。
カメラマンだけではありません。
カメラやレンズ、三脚なども借りなければなりませんでしたから、1カットでも取りこぼすと、相当怒られました。
長尺ものの番組でしたら、撮影予備日というのを最初から想定しておいて、撮り直しや撮り忘れのカットをリストにして、1日でまとめて撮影していたものです。
今はカメラの性能が上がり、操作も単純になったので、情景のワンシーンやインタビューの一言であれば制作スタッフが撮影に行きます。
テレビを見ていて、なんかピンボケしてるなあ、もやっとした映像だなあ、と感じたり、
周辺の交通や人のガヤガヤした音やサイレンや、お店のBGMの音楽が大きくてインタビューの声が聞き取りにくいと感じたことはないでしょうか?
そういうカットは、制作スタッフが撮影しています。
視聴者の方にストレスなく見ていただきたい。と、誰もが思っているもの。
また、あとで編集する担当者やディレクターから「なんだこの絵は!」と指摘されたくありません。
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そのために、初心者が一人で動画を撮影しなくてはならない場合、最低限、カメラを回す前に何をチェックしておくべきことを書いてみます。
①ホワイトバランスをとる
光源の種類によって、被写体の見え方は微妙に変わります。
人の目(肉眼)で見ると、人の機能というのは優れていて、自分で意識しなくてもうまーく、バランスをとってくれるので違和感を感じることがありません。
カメラで撮影された映像を見ると、外で撮影した景色と室内で撮影した店内では色味が違います。
ホワイトバランスをとらずに、撮影すると
- 外は赤っぽいのに、室内は青っぽい。
- 外は明るいのに、室内は暗い。
そういう映像になってしまいます。
それは、光源の違いによるものです。
外で撮影する場合は、太陽光。室内で撮影する場合は、蛍光灯や電球。
太陽光といっても、晴れの日、曇りの日では違いますし、曇りでも太陽にうっすら雲がかかっているのか?それとも雨が降りそうな曇天か、でも違います。
この光のバランスをとるのが、ホワイトバランスという機能です。
ホワイトバランスのとり方はまずカメラの前に、白い紙をもって立ちます。
一人でこなす場合は、壁に白い紙を貼り、その前にカメラのレンズを向けて立ちます。
そして、ホワイトバランスのボタンを軽く押すとあるところで安定します。
そこがホワイトバランスが取れた合図で、安定したところで、ロックをかけます。
(*必ず、カメラの取扱説明書を確認してください)
これでOKです。
カメラには、自動調整してくれる、オート機能がついていますが
初心者のうちは、オート機能で調整したホワイトバランスと自分でとってみたホワイトバランスを比較してみて、どちらがいいのか、ディレクターやカメラマンに相談します。
カメラにはそれぞれ癖がありますから、オートがいいのかマニュアルでやったほうがいいのかは初心者のうちは自分の感覚に頼るのではなく(個人差がありますから)
必ず、カメラや撮影、編集に慣れている先輩に聞くのが大事です。
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②水平をとる
水平というのは、カメラの傾きを調整するところです。
どこで見るのかというと、三脚です。
三脚を付けて動画を撮影する場合には、水平がとれているかどうか必ず確認してください。
水平がとれていないと、視聴者は傾いた映像を見る羽目になります。
映像が傾いていると違和感のある映像になってしまいます。
映像に電柱などの柱や、建物やビルの角が映り込むときは要注意。
道路や、水平線なども要注意です。
インタビューを撮るときは取材者の後ろの背面、バックに気を付けてください。
- 飾り棚や
- 書棚
- テレビ
- ポスター
- 絵画
などです。
画面の中に縦の線と横の線が際立つときは要注意です。
水平の取り方は三脚とカメラをセットする部分に丸い窓があります。
窓の中は、水と空気が入っています。
窓には、標的みたいな印がありますから、窓の中の空気が、標的の真ん中にあれば、水平がとれています。
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③音を拾っているか、チェックする
音は、マイクでとります。
マイクはカメラについているマイク、
もしくはきちんと音を拾いたい場合は、カメラマイクをカメラに接続します。
広い場所で、コメントを撮りたい場合はインタビュアーがマイクを差し向けることがありますが、
一人で撮影するときは、カメラマイクでまかなうことがほとんどです。
街録のインタビューで声が聞き取りづらい映像だな、と感じたら、だいたいカメラマイクで対応しています。
狭い空間で取材対象者のコメントをきちんと録る場合はワイヤレスマイクを付けてもらいます。
カメラマイク、ワイヤレスマイク、どちらにしても、まず電池や電源がちゃんととれているかどうかを確認してください。
ワイヤレスマイクは、電池の場合が多いです。
カメラマイクは、カメラバッテリーと共有するタイプと、電池を入れるタイプがあります。
いざ、マイクをセッティングしようとしたところ電池切れしていた、ということは意外と多いです。
ワイヤレスマイクは、思っているよりも消耗が激しいので、音声さんやディレクターさんはロケ準備の段階で、電池を新しいものに交換しています。
電池の交換が激しいので、充電式の電池を使う人が多いです。
もう一つ動画撮影初心者が確認するべきことは音が入っているかどうかということです。
確認方法は、
カメラのアウトモニターに、音声情報をモニターに出します。
マイクに向かって喋るとグラフのような音声情報が、動きます。
声が大きければ、高く、低ければ、低く。
グラフが声の大きさに比例して動いていれば、OKです。
しゃべっているのに、グラフが微動だにしないときは電池がないか接続が悪いかです。
- ジャックを入れ直す
- 電池が+と-逆になっていないか
- 電源がオフになっていないか
など見直しましょう。
いずれも落ち着いて一つ一つやればできることなのですが、一人で何もかもやらなくてはならない状況だと慌ててしまって手順を誤ることがありますし、うっかり見落としてしまうときもあります。
おちついてセッティングする、
間違えずに設置する、
一人でも、オンエアされて恥ずかしくないレベルの画質で撮影する。
そのためには、余裕をもって移動して早めに準備することが大事です。
④録画ボタンがONになっていることを確認する
撮影するときは必ず録画ボタンを押す。
録画ボタンを押すと、モニターに、赤い●のマークが出ます。
これが、必ず出ていることを確認します。
なぜわざわざ書くかというと「ボタンの押し忘れ」多いのです!
また「逆スイッチ」といって移動中に録画ボタンを知らず知らず押してしまい、
(何かにあたって、勝手に押されてしまうこともあります)
撮影のときに再び録画ボタンを押してしまう。
そうすると録画ボタンがオフになってしまうという現象が起きてしまいます。
つまりあとで再生してみると移動中の映像が入っていて、肝心の必要な映像が入っていないという悲劇が!
これは笑いごとではなくて、誰しもが一度はやらかす失敗なのです。
先輩のディレクターやいつも怒鳴ってるカメラマンさんに、
「逆スイッチ、したこと、ありますか?」と聞いてみてください。
もし「…あるよ」という答えが返ってきたら親近感がわくかもしれませんね。
動画撮影初心者は落ち着きが大事
テレビ業界において、動画撮影初心者が動画を撮影する時の注意点についてお話してみましたがいかがだったでしょうか?
どうしても業界は時間のない中で仕事をこなさなければいけないようなところがあり、
焦ってしまって、それが仕事のミスに繋がる、ということが多々あります。
ですが、一番大切なのは落ち着いて仕事に望むこと。
どこか冷静に自分を見るようなもう一つの目線があることが大切だと思います。
では今日はこのあたりで。