アシスタントディレクターのころ、プロデューサーから教わったことで、印象に残っているのが、「中学2年生にわかるように書け!」とひたすら言われたものです。
中学2年生にわかるように作る
「お前な、
テレビってのは、中学2年生にわかるように作らないとダメなんだ。
相手が中学2年生だと思って説明しろ!、編集しろ!、撮影しろ!、ナレーション書け!。」
当時は、ドキュメンタリーや密着ものの制作が多くて、取材対象者というのは、
一回り以上年上の方だったり、
親くらいの年齢の方だったり、
ある分野の専門家や、
研究者、大御所の方、
社長さんやトップリーダーの方など、
この業界にふみこんだばかりのぺーぺーの自分が話しかけてもいいもんだろうか、
と思っちゃう人を取材していたものです。
どう接していいのやら・・?
と毎度、思案にくれていて、報告書や企画書を書くのも気おくれしてしまう私に、プロデューサーは何度も何度もそうアドバイスしてくれました。
何を聞いたらいいかわからないときには、
「取材相手のことにさ~~、お前、もっと興味もてよ!」
ということも言われました。
当時の自分は、
いやそんなこと言われても、おっさんに興味もてないし・・。
その研究、むずかしすぎて理解できんし・・・と、
ひねくれたものでした。
しかし、中学2年生に分かるように書け!というのは、非常に難しいものです。
中学2年生にわかるように書けばいいなら、
書いてる自分も中学2年生のレベルでいいのか?
といえば、そうではありません。
それがわかったのが、恥ずかしながら、最近のことでした。
中学2年生に理解してもらうには、それを発信する側というのは、深く理解していないと書けないのです。
テレビは「ながら視聴」されているものです。
今は、テレビを見ながらスマホで検索したり、
SNSでつぶやいたり、と
スマホファースト、セカンドテレビ
という視聴スタイルです。
テレビをつけっぱなしにして、少し違和感を感じたり、興味からそがれたり、理解ができなくなると、ほかのチャンネルに行ってしまいます。
わからない表現や理解できないところなど、少しでも躓かれてしまうと、もう他の番組見ちゃお・・と変えられます。
テレビ番組制作者は、番組をずっと見てもらえるように、
視聴者が、「わからない」「理解できない」という躓きを、排除しようとします。
料理しながらでも、おしゃべりしながらでも、ちょいちょい画面を見てれば、流れがわかる。
意識がテレビ以外にむいていても、それでも、テレビが視界に入ったら、ちゃんと理解できる、
さっき見た映像から少し時間がたっていてもついていけてる映像を作らなければならないのです。
(なので、うっとうしいと言われることもあるテロップは必要なのです)
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