テレビ番組制作の「せいさく」というと、
- 制作
- 製作
がありますが、テレビで出てくるのは「制作」を使われていることがほとんどです。
まれに「製作」を使っていることもあります。これは間違いではなく、「制作」と「製作」には違いがあるんですね。
「製作」が使われているところは、アニメや映画で、
「〇〇製作委員会」という名称がクレジットされているの、見たことがありませんか?
これは「製作委員会方式」という資金の調達方法にあります。
東宝株式会社のホームページより、製作委員会の用語解説がありました。
(略)製作委員会は、映画会社・テレビ局・出版社・新聞社・広告代理店・通信/インターネット事業会社など複数の会社により組成され、映画の製作費を分担して拠出することで、一本の映画を完成させ、共同で著作権を持ち合います。(略)
とあります。
テレビ番組でも、最後に「製作」とクレジットされている場合は、制作資金がほかからも出ていて、著作権が複数なんだなということがわかります。
ということで、今回は、「制作」と「製作」の一般的な意味においての違いなどを解説してみます。
製作と制作の違い
「製」という言葉の意味は、つくること、つくったものを意味します。
製造とか製薬という言葉がありますよね。
また、金属製とか、木製のように、何でできているか,
という時にも使いますし、
中国製とかベトナム製、のように作られた場所にくっつけて、使われることもあります。
製作は、英語でいうと、manufacture。
製作という文字であらわされるのは、どちらかというと実用的な物品を作るときに使われる言葉で、
機械など道具を使って、作るようなものに対して使います。
一方、「制」という言葉の意味は、制度という言葉に象徴されるように、
おきてとか、整える、命令、というような意味合いがあります。
制作は、英語でいうと、puroduce(プロデュース)。
制作という文字を使う時は、映画や番組、また絵画、工芸品などの美術品を
作り上げるような時に、こちらの制作という文字を使います。
関連記事:テレビ局の制作の仕事、部署にはどんな人がいてどんな風に働いてる?
テレビの制作をしているところ
さて、テレビの制作をしているのは、主に、制作プロダクションか、テレビ局になります。
制作プロダクションによる制作
制作プロダクションと呼ばれる企業は、実にたくさんあります。
- 映画制作
- 番組制作
- アニメ制作
- CM制作
- その他の映像制作
など制作といっても様々な分野があるんですね。
その他の映像というのは、例えば、
- ネット用動画
- 企業用の映像
- 結婚式用の映像
など映像全般です。
これらの中で、テレビ番組の制作をする制作プロダクションは、東京に最も多く存在します。
それは、キー局が受け持って、制作している番組が、全国のテレビ局の中で最も多いからなんですね。
キー局は全て東京港区にありますので。
これらの、制作プロダクションは、自社内で番組を制作するか、または
テレビ局の中で制作をするか、それは番組によりさまざまです。
また、制作プロダクションは、上記にあげたような、複数の種類の制作を手掛ける企業も多いです。
例えば、テレビ番組制作と、CM制作の両方をやるとか
テレビ番組とネット番組の両方をやるとか、
複数のジャンルを手掛ける制作プロダクションが、多いと思います。
テレビ局の制作
テレビ局の中でももちろん制作をしています。
毎日の情報番組も制作していますし、
それ以外にも、多くの番組をテレビ局の中で制作しています。
テレビ局の中で制作しているものは、外部ではできない番組が多いので、
どちらかというと、ニュースや情報番組のような、生放送番組が多いですね。
ニュースは特集など特別な部分を除けば、基本的に局内で放送していますが、
ニュースそのものは、事実を述べるのが本筋なので、厳密にいうと、制作しているとは言わないかもしれません。
特に、定時に流れるような5分程度の短いニュースについては、「制作する」ということばはしっくりこないかもしれません。
一方、30分とか、1時間といった長めのニュース番組の場合は、番組構成や、VTRなども盛り込まれますから
番組を制作する、という言葉を使いますね。
関連記事:報道番組の制作はどんな仕事?他のジャンルとどう違う?
テレビ局の制作部署
ついでに、キー局の中で、どんな部署が制作をしているか、について説明してみます。
テレビ局にも通常の企業と同様、様々な部署があります。
- 総務
- 人事
- 営業
- 編成局
- 報道局
- 制作局
- 海外部
- イベント企画部
- スポーツ部
などなど、部署名や分け方は、テレビ局によりさまざまですが、
大規模な組織になるほど、部署の分け方も細かく分かれています。
番組は、大きく分けると、
報道番組、情報番組、それ以外の完パケ番組(バラエティやドラマ)、スポーツ系…
などがあり、これらをテレビ局の方針や、規模などで、臨機応変に部署分けしているように思います。
また大阪や名古屋など、大きめのテレビ局の場合は、地元以外に、東京支店でも制作している場合もあります。
例えば中京テレビの場合は、
<制作部>の下に
- 制作(本社名古屋)
- 東京制作部(東京支社)
がありますし、
メーテレの場合は
<コンテンツ局>の下に
- 制作(本社名古屋)
- 東京制作部(東京支社)
があります。
また、
- 制作局(情報番組と完パケ番組)
- 報道局(報道)
- スポーツ部
のようにわかれていたり、
- 情報報道局(ニュースと情報番組)
- 編成制作局(完パケ番組)
と分かれていたり、
- 情報制作局(情報番組と完パケ番組)
- 報道局(ニュース)
など。
分け方はいろいろですが、制作と付くのは、情報番組と完パケ番組を作っている部署が多いですね。
しかも同じテレビ局の中でもちょこちょこと、部署名や、上記の組み合わせは変わることがあります。
外部の人間からすると、中の組織体制が変わっても、あまり関係の無いことなのですが、
割りと変わるんだなあというのが、印象ですね。
今回はテレビ業界における制作と製作の違いについてお話ししてみました。
細かい部分ですが、これからテレビ業界に関わっていきたい、という方にはぜひ知っておいていただきたいことです。
関連記事:テレビ局の一般職ってどんな仕事をするの?
では今日はこのあたりで。