テレビ業界に就職を希望している就活生の皆さんにお話を聞いていると、「ラジオ業界にも興味がある」と話してくださる方が多いです。
確かに放送という意味でテレビとラジオは近い存在に見えるのでしょう。
しかしテレビとラジオは大きく違います。
今回はテレビとラジオの関係性やその違いなどについて解説してみたいと思います。
テレビは新聞とラジオから生まれた
まずはテレビとラジオの歴史についてです。
一番最初に情報を伝える手段として使われていたのが新聞です。
元々新聞は江戸時代では瓦版(かわらばん)と呼ばれる印刷物だったのですが、これが後に新聞になっていきました。
そしてこれら新聞社の出資によって生まれたのがラジオです。
日本で初めてラジオ放送をしたのは社団法人東京放送局(現NHK放送センター)で、1925年のことでした。
ラジオの登場によってニュースは読むものから聞くものへと変わったのです。
ラジオの多くが新聞社による独自中継でした。
そしてラジオ局の一つであるラジオ東京がテレビ放送を始めることになります。
つまり元をたどると新聞社からラジオ局が生まれそこからテレビ局が生まれたということになりますね。
ラジオやテレビの登場によって、ニュースはリアルタイムで知ることができるものになりました。
テレビができる前は映画館で一週間のニュースをまとめて放送していた時代もあるので驚きですよね。
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テレビとラジオの違い
ではテレビとラジオの違いはどこにあるのでしょうか?
とてもシンプルなところで言えばテレビには映像があってラジオをには映像がないというところだと思います。
じゃあテレビから映像をなくせばラジオになるのかと言うと全く違います。
ラジオは音のみで想像してもらえるように様々な工夫がされています。
視覚情報というのはとても情報量が多い、その情報量を視聴者の想像力で補ってもらわなくてはいけません。
なのでラジオのパーソナリティは、目の前で見えているものを言葉で説明して解説するように放送したりしています。
例えば番組の中で何か食べ物を食べる描写がある場合は、テレビであれば食べ物を映せば伝わりますが、ラジオの場合はどのような食べ物なのか?どんな色をしているのか?どんな質感でどんな匂いなのかということを全て音の情報として伝えるように努力します。
映像がないというだけで作り方が大きく変わるんですね。
さらに制作に携わる人数も違います。
地方局のどんなに小さなテレビ番組であっても、テレビ番組を一人で作ることはなかなかできません。
基本的には小さなテレビ番組であっても数十人のスタッフが関わって制作をしています。
それに対してラジオの場合は小さな番組の場合は一人で制作をしているところもあります。
自分が出演して自分が放送をするということが可能なのがラジオ媒体です。
テレビに比べると規模が違うということがよく分かると思います。
放送業界のビジネスモデル
基本的にテレビもラジオも広告収入で成り立っている媒体です。
テレビを見るのもラジオを聴くのも基本的には無料ですよね。
どうして無料で制作をすることができるのかと言うと、番組の中で挟まれている広告に秘密があります。
CMを放送する広告枠をスポンサー企業が購入してCMを流しているんですね。
その広告収入によってラジオやテレビは成り立っています。
これはラジオもテレビも同じビジネスモデルです。
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テレビCMとラジオCMの違い
広告という観点において違いを説明すると、テレビCMとラジオCMでは制作するための費用が大きく変わります。
テレビCMの場合は新規で撮影をして制作をする場合は100万円前後はでもかかってきてしまいますが、ラジオの場合は音声のみなので15万円前後から制作をすることが可能です。
ローカル局で放送する場合は実はテレビCMとラジオCMは広告枠の料金にあまり大差はありません。
ラジオの放送をする方が高くつく場合もあります。
全国ネットになるとやはりテレビ局でCMをする方が規模としては大きくなりますけどね。
また視聴者の層も大きく違います。
テレビは家族で見られることも多いので様々な視聴者層を想定することができますし、時間帯によってターゲティングをすることもできます。
一方ラジオを聴いている人たちの多くは何か作業をしながら聴いている人達で、一番多いのは車を運転しながら聴いている人達です。
そのため車関係の製品や車をよく運転する人に向けたCMをしたい時は効果的だと言えます。
テレビ業界と他の業界の繋がり
キー局も地方局も新聞社が資本参加していることが多いので新聞社との繋がりが一番強いと言えるでしょう。
それ以外に映画会社との繋がりもあります。
製作委員会方式で作られる映画などはテレビ局の社員が映画制作に関わることも多いのです。
また広告会社との繋がりもあります。
テレビはスポンサー料で成り立っているので、広告を出してくれる会社がいないことには成立しません。
クライアントと直でやり取りをすることもありますが、広告代理店が間に入って仕事をすることが多いです。
