弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報・報道番組の制作に携わっています。
これらの番組作りをする中で、よく行くことになるのが「グルメロケ」です。
グルメロケでは必ず料理を撮影することになりますが、アシスタントディレクターとして同行する際はどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか?
今回はグルメロケに新人アシスタントディレクターが同行する際の心得を解説してみたいと思います!
「時間」と「照明」が肝
グルメロケで意識したいのは
- 時間
- 照明
この二つです。
グルメロケではお店に伺えばすぐに撮影できるわけではありません。
テレビ番組を見ていてお気づきだと思いますが、映像として撮影しなくてはいけないものとしては、
- お店の外観、店内の雰囲気
- リポーターの試食、感想コメント
- 調理する様子
- 完成した料理
- より美味しそうに見せるためにアップでの撮影
といったものになります。
単にグルメロケと言っても料理を撮影すればいいだけではなく、必要な要素がいくつもあることがわかりますね。
「完成した料理」を美味しそうに見せるには、『立ち上る湯気』や『切ったときに流れ出る肉汁』を一緒に撮影することが大事です。
これらをしっかりカメラにおさめるためには料理が完成してすぐに撮ることが大事です。
そしてそれらを綺麗に見せるためには「照明」も重要なのですが、照明には「照明をセッティングする時間」もかかります。
通常、お店での取材は、一般のお客さんが利用する営業時間内では迷惑がかかるためなかなか取材を受けてもらえません。
そのため営業時間前や休憩時間での撮影となります。
そんな状況で撮影をするために、ロケの前には「ロケスケジュール」を組む必要があります。
このロケスケジュールに、しっかり照明セッティングの時間を入れておきます。
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撮影の流れの具体例
撮影の流れの一例としては以下のような流れになります。(一例)
- 取材をお願いしているお店に到着、挨拶〜お店の人に段取りを説明(同時にリポーターの座る席を確定し、照明をセッティング)
- リポーターが入店する様子〜お店の人とのやりとり、店内の雰囲気など撮影
- 可能な限りの調理風景を撮影
- 料理が運ばれる様子〜リポーターのリアクションを撮影
- (料理の撮影)※その場でできれば
- リポーターの食リポ、食事シーン
- お店の方にこだわりなどのインタビュー(リポーターとトークする形で)
- (リポーターの食事シーンが終わったら)物撮り用の料理を調理してもらい、その調理風景も撮影
- 完成した料理の撮影
- 食リポに合わせて使う「寄りのインサート撮影」
撮影するものがたくさんあることがよく分かると思います。
別日での撮影
実際のバスツアーに同行しての取材などは、滞在・撮影する時間があまりないためリポーターの料理を食べる前に撮影する場合や、別の日に調理風景や料理だけを撮影させてもらうこともありますが、
基本的には「もう1回作ってもらう」場合が多いです。(時間をかけて撮影するためです)
その際に撮影するのが温かいものなら『視聴者の目線で、湯気の上がる様子』など
『美味しそう!』と思わせる「シズル感」です。
「シズル感」は湯気だけでなく、素材のみずみずしさや、プルプルした食感など、視聴者に目の前で“疑似体験”させる要素です。
それを感じさせるためのテクニックが「箸あげ」と呼ばれる“実際に食べるかのように
目の前に持ち上げて見せる料理”の撮影です。
これは、ディレクターがモニターを見ながら、アシスタントが箸あげをすることが多いです。
箸あげの練習からするアシスタントディレクターも多いです。
手がなるべくプルプルしないように…息を止めてやる人も多いんだとか笑
カメラマンがファインダーを覗きながら、アップで撮影するポイントを決めて、カメラの前に見せます。
持ち上げる量や摘まみ上げた具材のバランス、持ち上げてから震えないでしばらく固定する(さらにアップを撮るため)重要かつ大変な作業です。
持ち上げられた具材の量、箸づかいや向き(基本、右利きの人が多いため箸は右から)、器を含めた角度などなど、細かいこだわりが美味しく料理を見せます。
湯気が消えたら、再度温めてもらうこともありますが、「料理本来のきれいな見た目」を損なう場合が多くあります。そんな状況での時間との戦いが作品を作り上げます。
箸あげは、持ち上げるだけでなく、「ハンバーグにナイフを入れ、そこからとろけ出るチーズの様子」や、「救い上げたスプーンから湯気があがるスープ」など美味しそうに見せるための
重要なテクニックです。
店内で提供される料理だけでなく、テイクアウトの店先で買った「肉まん」や「コロッケ」を開き、
そこから立ち上る湯気を撮影することなどもよく見かけるグルメロケの一コマです。
それとは別に、「人気レトルト食品」の紹介での物撮りでは、自分たちで料理を温めつつ撮影することもあります。
その場合、“会議室のテーブル”感が出ないように、お皿やランチョンマットの見せ方を工夫して食卓を再現する演出も必要です。
今後グルメロケ番組を見る時は、ぜひ、そういったところも注目して見てみてください!