巷にはグルメ番組があふれていますがそんなグルメ番組に欠かせないのがおいしそうな商品カットですね。
肉汁あふれるハンバーグに湯気をあげるラーメン。
おもわずヨダレが出ちゃいそうな魅力的なカットの裏には制作スタッフの汗と涙があるんです。
(もちろん一番大変なのは協力いただくお店の人ですが)
私達が商品を撮影する際に何を一番大切にしているか…
それは「シズル感」です。
シズル感とは
聞いたことある方もいるかもしれませんが、そもそも「シズル感」って一体なんなのか?
元々は英語の擬音語。
肉が焼ける音などを「sizzle」とあらわすとことからきているんです。
日本語でいえば「ジュージュー」みたいなものですね。
あのステーキ店のシズラーもこの「sizzle」が由来なんです。
では、グルメ番組で商品カットにおける「シズル感」は何かというと、
五感に訴えかけるような映像表現ということになります。
もちろん音も重要ですが今回は映像に絞ってお話してみたいと思います。
食べ物の種類によってその「シズル感」は千差万別なわけです。
私の場合は撮影する時に何をその食べ物で一番表現したいかを考えます。
例えばふわふわのパンがあったとして、当然そのままとってもフワフワ感は伝わりませんよね。
そこで、パンを割ってみたり生地の気泡の細かさをとったりしてその質感を表現するんです。
そしてライトもとっても重要。現場では料理に合わせていくつものライトを使います。
では実際に撮影の現場でどのようにして「シズル感」を表現しているのか説明していきましょう。
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シズル感を撮影する具体的な方法
ここではわかりやすくハンバーグを例にとっていきます。
なぜならハンバーグがおいしそうに撮れれば大概の料理は上手に撮れるからです。個人的見解ですが。
ライティング
まずはハンバーグの食器のみをおいてライティングを決めていきます。
ライトは大まかにわけて3つ方向からあてるのが基本です。
- メーンのライト…上からあてる全体の明るさを上げる
- バックライト…逆光気味にあてる
- 押さえのライト…1、2の明かりで影ができるのでその部分を照らす
この中で「シズル感」を出す為に重要なのが②のバックライトなんです。
正面からのライトで撮るとくっきりとした画にはなりますが、料理のもつ立体感やツヤが表現できないのです。
カメラのフラッシュで料理を撮ったことがある人はわかると思いますがのっぺりとした質感になってしまいます。
そこで逆光をあてると商品の輪郭が協調されソースなどの光沢を表現することができます。
さらにハンバーグなら湯気が大切なのでもう一つ湯気にあてる用の逆光ライトを用意しています。
そして当然逆光をあてると影が生まれますよね。
写真でも逆光で人物をとると顔が真っ暗なんてことも経験があると思います。
そこで、逆光でできた影を暗くならないよう照らすのが③の押さえのライトなんです。
この3つのライトをバランスよく調整するのが技術スタッフの腕の見せ所というわけなんです。
スマホで簡単においしそうに料理を撮りたいという方は②の逆光を意識してください。
店のスポットライトの下や窓際で撮る時には光源が後ろ側から当たるように意識するだけでも料理が立体的に表現できると思います。
ライティングが決まり料理が出てきたらスピード勝負。
ハンバーグはソースの湯気が弱くあっという間になくなっていきます。
そんな時、湯気の出をよくする為にはできる限り気温の低い場所で撮影するのがコツ。
エアコンがあれば冷房をガンガンに効かせておくこともよくやります。
それでも撮影現場では湯気が消えてしまう為料理を数回交換します。
昔はADさんがそう言った撮影用の料理を食べるのも仕事のうちと無理やり食べさせられ涙目になっているような現場もありましたが、
さすがに今ではそういうパワハラめいたこともなくなりました。
ちなみに私達は残った料理はタッパーに持ち帰ってあとでおいしくいただきます。
持ち上げ職人
さて、ハンバーグのおいしさの肝、それはなんといっても料理を持ち上げ断面をアップで撮ること。(他の料理にもいえますが)
そこに欠かせないのが「持ち上げ職人」ともいうべきスタッフの存在です。
私が担当している番組にも長年、料理を持ち上げ続けている女性スタッフがいます。
本職はプロデューサーなのですが、持ち上げた時にピタリと箸がとまる才能がありお願いしております。(私はプルプルしてしまうので)。
彼女にコツを聞くと、ひとつには肘をしっかり固定するということ、もうひとつは持ち上げた時に揺れないよう息を止めるということ。
そして一番大切なのが指毛を剃ること(笑)とのことでした。
スマホなどで撮るときも、肘を固定して料理をお箸でもつと安定して撮影しやすくなります。
その際は断面をやや上向きにすると光があたるのでよりおいしそうに撮れると思います。
関連記事:ADの仕事は現場ごとに違って求められるものが沢山ある
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では今日はこのあたりで。