テレビ業界の仕事に就きたいなら大学に行ったほうが良いのか専門学校に行ったほうが良いのかという質問をしばしば受けるます。
テレビ業界では「どんな番組に携わりたいか」という事で求められる学歴が少し違ってきます。
今回はその辺りについて解説してみたいと思います。
テレビ業界の仕事に学歴は関係ある?
まず、テレビ業界の仕事にはそもそも学歴は関係あるのかということについて。
先に結論から言うと、テレビ局の社員は基本的に高学歴なので学歴が関係ありますが、
制作会社に入って番組制作に携わりたい場合は、学歴はピンキリです。つまり、制作会社の場合はあまり関係ないという事です。
ただ、最近は4大卒(最終学歴が4年制の大学を卒業していること)が多くなってきています。
かつてはテレビ番組を作る仕事ができるのは、その道の勉強をした人のみで
テレビ番組を作るための専門学校に行かなければいけないと思われていました。
実は今でもそう思っている人が多く、実際少し前まで制作会社には専門学校卒の学歴のスタッフが多くいたのも事実でした。
というよりどうやったらテレビ番組を作る仕事につけるのかは未だに知らない人が多く、
- テレビ局に入らなければテレビ業界の仕事はできないのではないか
- 制作会社があるけどテレビ局との関係はどうなっているのかわからない
- わからないけど聞ける人も少ない
と思っている人が多いように思います。
なんとなくテレビ業界の仕事は専門学校に行って専門分野を習った人がやっているのかなと思ってしまうようです。
実際には専門学校卒の学歴の人もいるけれど、普通の4年制の大学卒の学歴の人、
高専を出ている人など、学歴は多彩で学歴より実力の方が大事と言える世界だと思います。
ただ後で書きますが学歴がものを言うテレビ番組もあるので
学歴が全く関係ないかというとそういうわけではないです。
関連記事:大学と専門学校・どちらがテレビの仕事に就きやすいか
制作会社の存在がわかりにくい裏事情
まず制作会社の存在がわかりにくい裏事情について少し触れておこうと思います。
テレビ番組というのは全てテレビ局の中で作られていると思っている人は、未だに少なくありません。
実際にはテレビ番組の多くが番組制作会社によって作られています。
テレビ局で全て作っている思われている理由の一つは、制作会社というのは公に宣伝をしているわけでもなく、
このテレビ番組を制作したのは○○制作会社です、とおおっぴらに言う事もほぼ皆無だという背景があります。
制作会社のホームページまでたどり着けば、担当しているテレビ番組が紹介してあったりするのですが、
テレビ番組を起点として制作会社にたどり着くのは情報がほとんど公にされていないので、意外に難しい事だと思います。
テレビ番組の最後に画面下に流れて出るテロップを見れば関係した制作会社の名前が出ているので、
業界関係者が見ればあそこの制作会社が作っているんだなとわかるものですが、
テロップにはいくつもの会社が流れる事もあり、なかなかわかりづらいものです。
基本的には制作会社は声高に自社で制作しているテレビ番組名を言ったりしないんですね。
これは一つには、番組の公平性のためという理由があります。
特定企業による持ち込み番組や、明らかなパブリシティ番組は別ですが
基本的にテレビ番組は番組スタッフが公平な目線でお店を選択したり、撮影場所を決めているので、そこに金銭的なやりとりはないというのが前提です。
制作会社が声高にある番組を制作している事を言ってしまうと、
不必要なプレスリリースなどが増えて、金銭の授受によりある一定企業に有利になるような番組を作りかねないという、危惧があるのです。
仮にそのような事が起きてしまうと、番組自体の、またテレビ局自体の信頼性がなくなりますから
テレビ番組の制作を請け負う制作会社としてもそれは言えず、結果としてオブラートに包まざると得ないという事になるわけです。
そういった背景もあるので、制作会社自体の存在がわかりにくく、
テレビ番組に就くにはどんな道があるのか、学歴は必要なのかというのはそもそもわかりにくい状況にあるわけです。
どんなテレビ番組に携わりたいかと学歴の関係
ではテレビ番組と学歴の関係についてですが、
どんな番組に就きたいかによって、学歴が必要になってくる場合があります。
特に学歴を気にするのは報道系の番組です。
制作会社に入って、報道系の番組に就く事は可能なのですが、
報道系の番組に就きたい場合はある程度の学歴があるかどうかというのはやはり関係してきます。
報道系といっても純粋なニュースではなく「news ZERO」や「ニュース23」「報道ステーション」のような報道番組です。
純粋なニュース、つまり定時に5分程度流れるニュースは、基本的に局のアナウンサーが淡々とニュースを述べるのみで主に局員が制作に関係しているのですが
「news ZERO」のような長尺で司会者が複数おり、局ごとに番組の特徴や個性を出す報道番組の場合は
多くのスタッフが裏で支えており、これらの番組のスタッフになるためにはある程度の学歴が重視されるのです。
というのも報道番組というのはある程度の知識、つまり
日本の地理や世界の地理、日本や諸外国の歴史、宗教、時事問題などの知識を求められる傾向があるからです。
難しい専門的な事を知っている必要はありませんが、知っておいたほうがいいという事が幅広いのです。
そういう知識は一朝一夕で身につくものではありませんから、学歴が一つの目安になるわけです。
たとえばEU離脱の報道を掘り下げる時に「そもそもEUってなんですか?」ということでは困りますし、
仮に知らなくても自分で調べて理解する事ができる能力が最低限必要です。
報道には宗教がらみの問題も多いですが、全く知識が無いのでは、何を掘り下げればいいのか、どんな事を調べればいいのか、などゼロからのスタートになってしまうのです。
アメリカの大統領選を取り上げるのにそもそも今の大統領の名前すら知らないというのでは困りますし、
知識が乏しい分「言ってはいけないこと、触れてはいけない事例」に触れてしまう危険度も上がってしまいます。
このように報道番組というのは取り扱う内容が難しい場合が多いので、比較的学歴が高い人が求められるのです。
それに対して、報道以外の番組については、それほど学歴は関係無いと思います。
バラエティ番組などは、学歴よりもどちらかというと体力重視で、必要なのは企画力のほうかもしれません。
と言っても企画力については実はこれが一番難しいかもしれないのですが…。
とはいえバラエティのテレビ番組に就く際には報道番組ほど学歴を重視されないと思います。
なので、もし報道系の番組に携わりたいという希望が早くからあるのであれば、
ある程度の学歴を持てるように、ちゃんと勉強はしたほうがよいでしょう。
少なくとも自分で調べたり考える事ができる能力は鍛えたほうがいいかなと思います。
いろんなものを見たり聞いたり、勉強したりする事で、自分の知識と経験の引き出しを増やしておきたいですね。
関連記事:報道番組の制作はどんな仕事?他のジャンルとどう違う?
