最近高校生から、進路の相談が来ることが多くなってきました。
その中には、将来テレビの仕事をしたいけど、大学に行くのと、専門学校に行くのではどちらが、テレビの仕事に就きやすいでしょうか、
というような質問もあります。
テレビの専門学校とは
テレビの専門学校というと、
- 東放学園
- ビジュアルアーツ
- 工学院
などが有名だと思います。
また、テレビ関係の学科としては
- 放送学科
- テレビ放送学科
- 放送芸術科
など、名前は様々ですが、
専門学校では、番組制作を中心とした授業や、実習があります。
中には、地元のテレビ局と提携していて、実際の放送にも携われる実習がある専門学校もあります。
そして、専門学校の講師は、かつて番組制作に携わっていた人や、現役のディレクターが教えに来ているケースが多いです。
専門学校は通常2年制で、私立の学校なので、私立大学同様か、それ以上の学費がかかります。
高校を卒業してから入る人がほとんどですが、中には大学に行った後に専門学校に来たとか
大学を中退して専門学校に来たというような人も見かけますね。
かつては専門学校に行っていないとテレビの仕事に就きにくいと思われていた風潮もありました。
実際、そのようなコースをたどる人が多かったのも事実です。
ところが最近は、専門学校からでなくても、テレビの仕事に就くことができるということが浸透してきたように思います。
以前から必ずしも専門学校出身者でなければならないという、決めごとは無かったと思うのですが、
どうすればテレビの仕事に就けるのかを、わかっている人がほとんどいなかったため、結果的に専門学校から行くというルートに頼っていたような気がします。
テレビ制作現場の働き方の変遷
そもそもテレビ局での働き方自体も、変化してきています。
かつては完パケ物は外部の制作会社が作ってテレビ局に納品していました。
完パケ物とは、あらかじめロケ、制作、編集などすべて終えて、放送するだけの状態にしたテープです。
それについては現在も基本的には同じです。
それに対して、生放送については、テレビ局にフリーのディレクターや、
他社のディレクターなどがいて、業務委託という形式でテレビの仕事に就いている人がほとんどでした。
ところが、指示命令系統がテレビ局なのに、業務委託という形式は、法律的におかしいということになり、
テレビ番組の制作に、派遣という形式が取り入れられるようになってきました。
派遣契約の場合は、派遣先が仕事を指示することがオッケーなのです。
この派遣形式になってから、フリーでテレビ局に入って、業務委託形式で仕事をするディレクターがほぼいなくなり、
代わりにディレクターは必ずどこかの会社に所属して、そこから派遣形式で、テレビ局に行って働くようになりました。
その結果、制作会社は、自社で完パケ物を作るだけでなく、スタッフを積極的に派遣でテレビ局にも送り込むようになったため、
多くの人を外から採用するようになったわけです。
その結果、テレビの仕事に就くための門戸がひろがり、専門学校だけでなく、一般の大学から制作会社に就職し、そこからテレビ局行って働く人が増えていきました。
では、そのような状況において、大学と専門学校のどちらがいいのでしょうか。
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大学に進む場合のメリットとデメリット
大学に行くからと言って、知識がそれほど増えるとは限らないと思うのです。
ただ、大学に行くメリットは、将来テレビの仕事に就くこともできるし、就かなくてもいい、という選択の幅が広いことではないでしょうか。
大学も学科が様々ありますが、テレビの仕事に就くにあたっては、どの学科でなくてはいけないという制約は特にありません。
そのため大学の場合、どこに行ってもいいのはメリットだと思います。
それに対して専門学校の場合は、放送学科など学科も絞られてしまいます。
また専門学校が2年なのに比べ大学は4年なので(短大を除く)
企業などどこにも属さない期間が、専門学校にくらべて2年も多いのです。
とくに、3年生から4年生という時期の成長は、1、2年に比べると格段に大きいような気がします。
もしも大学時代に方向性が変わったとしても、進路を変更しやすいのは、圧倒的に大学の方だと思います。
デメリットとしては、まったくテレビのことを知らないという不安ではないでしょうか。
どうしてもいまだに、どうやったらテレビの仕事に就けるんだろうという、わからない不安を持つ高校生が多い様です。
編集ができないといけない、カメラの扱い方を知らなければいけない、というようなことです。
全く経験が無いのにテレビの仕事に就けるんだろうかという不安ですね。
大学は専門学校と違い、就職のお手伝いをほとんどしてくれませんから、自分で見つけていくしかないこともデメリットの一つかもしれません。
でも現在はたとえテレビ局に就職できなくても、制作会社や派遣会社など、テレビの仕事に就く方法はたくさんありますから、その不安も徐々に無くなっているのではないでしょうか。
専門学校に進む場合のメリットとデメリット
専門学校に行く場合のメリットは、専門的なことを学べるということです。
番組を作るための、
- 撮影
- 編集
- ロケ
など、一連のことを一通りやらせてもらえます。
また、専門学校は在学中にテレビ局からの要請も多いので、実際にテレビ局でアルバイトの経験をすることができるところもあります。(地域、学校によります)
最も大きいメリットは、就職のサポートを専門学校でしてくれることでしょう。
もちろん自分で探す人もいますが、前々からのつながりで、制作会社から来てほしいという要望があったり、
制作会社や派遣会社が説明会を開催してくれる場合もあります。
そのため、自分だけで探さなくても就職への道は探しやすいでしょう。
デメリットとしては、専門学校の風潮として、学校が面倒を見る分、就職先がその学校のそれまでの実績の範囲になってしまいがちなため、視野が狭まってしまうというものが挙げられます。
また、専門学校は早めの就業が認められているので、実質勉強できる期間がとても短いというデメリットがあります。
最近は改善されてきてはいますが、多くの専門学校は、2年生の6月から、普通の社員と同様の時間帯で働くことも認められていました。
そうなると、学校には実質1年とちょっとしかいっていないことになります。
少しでも早くテレビの仕事に就きたい人はいいのですが、貴重な学生生活が短くなるのはどうなのかとも思ってしまいます。
またこれは、メリットの裏返しなのですが、
専門的なことを習ってしまうがゆえに陥る、デメリットもあります。
専門学校では、視聴率も関係ありませんし、一般の人にお願いして、ロケ交渉をし、
厳しい放送規制の中で、放送するという面倒な状況もありません。
つまり、楽しく専門技術を学んでしまうため、実際に仕事についたときに、厳しい現実に触れるとギャップが生まれてしまうのです。
テレビの仕事で大事なことのうち、技術的なことはほんの一部なんですよね。
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最近のテレビ局の傾向
最近は、テレビ局の傾向もちょっと変わってきました。
以前は、ほとんど専門学校出身の人を取っていたようなテレビ局もありました。
直接ではなく、制作会社や派遣会社を通してですが。
専門学校生は20歳で卒業するので、若いということも魅力の一つだったようです。
職人さんのような世界でもあるので少しでも若いうちから、ということでしょう。
ところが最近はそうでもなくなってきています。
テレビの仕事に就くと、最初は言われたことをやるだけで良いのですが、
2年3年とキャリアを積んでくると、自分で企画を立てたり段取りを立てたりするようにならなければいけなくなります。
特に自分で考えて、案を出すということになると、つまずいてしまう人が多いのです。
必ずしも若ければいいというものでもなく、少しでも多く多彩な経験を積んでいる方が、結果として仕事が続くケースも増えてきているようです。
ただ、ひたすら編集をするような、編集マンの仕事もありますから、職種にもよりますが、
必ずしも専門学校を出ていなければ、という風潮はなくなってきているのが現状です。
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では今日はこのあたりで。