アシスタントディレクターになりたい人から、
どんなことをしていおけばいいですか?とたずねられることがある。
彼らとしては、
なるべく早く現場を経験したほうがいいとか、
カメラや編集ソフトを使いこなせるようにしておく、とか、
そういうアドバイスを求めているのだろうから、
私が、「アシスタントディレクターになるためには…」に続いて、こういうことを言うと、
肩透かしをくらうようだ。
アシスタントディレクターになるために必要な経験
よく言うのは、
無駄なことをたくさんしておくこと。
学生の間に、いろんなところへ行き、
その場所にいる人たちとたくさん話をして、
人に親切にしてもらったり、助けてもらったり、また、困ってる人に手を貸したり、
ときにはだまされたり、傷つけられたり、
そういう経験をしておくこと。
興味をもったことに対して、
ネットで検索して得た情報だけで満足しないこと。
実際にその場所や集まりや、よく知っている人に会いに行き、
実際に自分の目で見て、話をきくこと。
そういう経験を、小さくてもいいから、たくさんたくさん積み重ねておくこと。
つまり、たくさん旅をしておくのがいい。
最近は海外に行く若い人も少ないから、バックパッカーはおススメしたい体験だ。
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就活でアピールできる経験・できない経験
アシスタントディレクター志望者に限らず、いちばんよくないのは、
打算のある行為だ。
たとえば、就活で有利だろうという考えのもと、
ゼミや研究やサークルやバイトを選んだりしたって
そんなものは、底が浅いし、まったく自分の身にはならない。
就活の面談で語れるからと、
ボランティアにいそしんだり、インターンを経験したり、資格をとったりしても、
そこに、なぜそうしたかったのか、という自分の意志がないなら、
無為に過ごしただけということになるかもしれない。
ほんとうに興味があってしていることなのか、
就活に有利だからやっているのかは、聞いているほうは分かる。
だって、学生の経験なんて、
働いている人はほとんど経験しているから。
学生の考えることなんて、バレバレなんだよね。
就活情報サイトも採用担当はチェックしているし。
無駄の塊であっても、自らが興味をもったことが始まりの経験というのは、
自分のなかで沈殿し、いつの間にか、自分という世界の土壌となっていく。
小さなちいさなクズのような、チリのような、ホコリのようなものであっても、
溜まっていくうちにそれらは、
色とりどりの、形もいろいろの、あなただけのものになっていく。
そして、あなたが感じたこと、自ら足を運び、人と接し、得たことというのは、
アシスタントディレクターの、ひいてはテレビの仕事をするうえで、
かけがえのない経験へと昇華していく。
アシスタントディレクターには無駄な経験こそが必要
失敗したってかまわないし、やってみたけど思ったことと違った、というのでも、
全然かまわない。
自分でやってみたからこそ、失敗したら悔しいし、
チャンスがまたあれば、こうしたいという意志を持つだろう。
やってみて違うと感じたなら、何が正解なのか、知りたくなるだろう。
そういう、一見、無駄なことをたくさんたくさんやっている人が、おもしろいし、愛される。
なんでもかんでも、効率的なのがいい、
無駄なことはしたくない、失敗したくないという風潮だけど、
そんなのは、色味がない。味気ない。
そういう人はほかにたくさんいるんだから、
わざわざあなたが、そんなつまらない人になる必要はないと思う。
人は結局、無駄なことをしてしまうし、つまんないことで悩んでしまう。
でも、それらは、あなたにとって必要なことだったと、あとから気づくはず。
たくさんたくさん無駄なことをしでかしている、おもしろい人に、この業界に入ってもらいたい。
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