テレビ番組では、インタビューを撮るときに,
気を付けなければならないことがいくつかあります。
ここでは、そんな話を。
インタビュー撮影時のカメラ目線について
一つは、インタビューを受ける人の目線。

それと背景です。
テレビ番組の場合、カメラ目線はほとんどありません。
カメラ目線のインタビューは、例えば、政見放送。
首相からの発表や記者会見、などでしょうか。
テレビを見ている人へ、強く理解してもらいたいことがあるときは、カメラ目線です。
インタビューされる人は、よほどカメラになじんでないと、
カメラ目線で語るのは勇気がいります。
「目は口ほどにものをいう」というだけあって、視聴者は、映し出された人の目を直視します。
ですから、大事なことを話しているインタビューでは、目のアップを入れることがあります。

カメラ目線でインタビューを撮影する場合は、
話す人のほうは、相当に原稿を考えています。
話す内容についてイメージができています。
相手が素顔を見せてくれるインタビュー
カメラ目線で撮影する場合は、
「話す人 対 カメラ」という位置関係になります。
話す人の正面にカメラを置きます。
映画の宣伝で、主演俳優と監督にインタビューする場合、
少し、左か右に斜になるような目線で、インタビューをします。
そして、最後の締め
「明日公開です!」「観てください!」というのは、カメラ目線ですね。
強いメッセージがあるので、カメラ目線です。
その前段階は、カメラから目線がそれた、斜めになるようにします。
話す人は、インタビュアーと向き合い、カメラは少しひいた位置になります。
話す人、インタビュアー、カメラが、三角形になるように位置取りをします。
話す人は、カメラを意識せず、インタビュアーに向かいますから、素に近い顔になります。

また、話す内容もインタビュアー次第で、
意外なエピソードやプライベートな部分がかいま見えることもあります。
カメラに慣れていない人にとっては、カメラを意識せずに話せます。
事件や事故のときに、現場でインタビューされている人がカメラに体を向けていないのは、
カメラに向かって話すことに慣れていないから、という理由があります。
インタビュー撮影時のサイズについて
インタビューを撮るときには、サイズにも注意を払います。
顔だけのアップは使えません。
画面に映っているのが、首から上というのは、
見ている人は、生首をイメージして、生理的に耐えられないからです。

インサートでアップがほしいときも、
鎖骨から上だったり、ぐぐっと寄った目元だったり、どちらかです。
大体は、ウエストショット、バストショットです。
長いインタビューになりそうなときは、サイズはいろいろ撮っておきます。
手元だけだったり、全身だったり、いくつかパターンを撮っておきます。
日常生活でも役に立つインタビュー撮影のコツ
プライベートで、
例えば、結婚式で流す映像や、子供や親御さんのヒストリー映像を、ご自分で撮影する場合も、
体のパーツや、全身や、撮影している空間全体がわかる映像や、
カメラ位置に座るまでの歩きなども撮影しておくと、編集するときに工夫ができます。
また、後ろの背景には気を付けなければいけません。
首のところに、意識がいかないようにするのは鉄則で、
話す人のうしろに家具の棚があったり、窓枠や、鏡、カーテン、テレビは要注意です。
首から上とその下が切り替わるような背景にならないようにしてください。
これも、先ほどの生首をイメージさせない工夫です。
背景の処理は大事で、ポスターや絵画、本、ぬいぐるみ、フィギュアなどが置いてあると、
そちらに目がいってしまいます。
あまりに雑然としているのも、画面が汚れて見えます。

とくに気を付けるのは、紙の束。
新聞、雑誌の類です。
こういう紙類をよけるだけでも、画面はすっきりします。
話をする人の目の前にテーブルがあるなら、
テーブルの上も、ものを置かないようにしたほうがいいです。
インタビューの難しさ
聞き手であるインタビュアーがすべてを話してしまい、受け手の答えが、
インタビューの相手についてあらかじめ調べておいたり、資料を読んで勉強しておき、
想定の台本を書くのだけれど、
当日、緊張してしまって、
その答えを引き出すために、どういう質問を投げればいいのか?
どういう質問をすれば、相手が気持ちよく答えてくれるか─?
怒らせるかもしれない質問ができるようになると、一人前とみなされます。
相手の素やリアルなことをいかに引き出すかというのが必要なときがあります。
ちょっとやそっとの質問なら、表情も変えずに自分で用意した答えをよどみなく口にしますが、
それは、視聴者が見たい・聞きたいものではありません。
番組ならではの切り口で、
インタビューは、ディレクターと取材者の1対1の勝負ともいえます。
本人の表情や目の動き、所作からも視聴者は情報を得ることができます。

成功者かもしれないし、巨匠かもしれません。
視聴者の代表として、知りたいことが聞けるのです。
インタビューの極意とは
ちょっと茶化すようなインタビューで構成されるVTRを見かけます。
短い時間の間に、番組の内容を理解してもらう。
コーナーの内容を理解してもらう。
そして質問しますが、その間に、ディレクターは相手との距離感を縮めていかねばなりません。
相手の容姿や独特な志向に踏み込むことがありますが、
それは、質問者と受け手の信頼関係が出来上がってこそできる質問です。
テレビだから何を聞いてもいい、バラエティ番組なんだから何に触れてもいいというものではありません。
信頼関係が出来上がって、そして、そこに触れてもいいのか、ダメか見極めながら踏み込んでいく、
その手間がかかっています。
テレビで使われているインタビューは2,3人であっても、
だいたい、その10倍の人たちにインタビューしています。
使われているのは、2,3分であっても、
丸1日、もしかしたら、2日粘っているかもしれません。
相手の方がサービス精神たっぷりで、
一つ聞いたことについて、100くらい返してくるような人。
相手をおもんぱかると、「10秒でまとめて言ってください」とは言えません。
いただいたお時間が20分しかないので、こういうことを聞きます、とか、
前もって時間の制限をそれとなく理解してもらったりするなどの工夫が必要になります。
話すのが苦手な方もいますし、カメラがダメという人もいます。
カメラが正面に来ないようにしたり、作業をしながら聞いたりするなど、
シチュエーションを変えていきます。
何度も同じ質問をすることもあります。
質問する前に「さっきも聞いたんですけど、同じ質問ですみませが…」と断るなどのフォローが必要です。
何よりも大事なのです。
