弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報、報道番組の制作に携わっています。
今回はテレビ番組を見ていると時々番組内でかかっている「モザイク」について、
そのモザイクがどんな理由でかけられているのか、ということを解説してみたいと思います。
理由が分からないまま、画面の一部分にだけモザイクがかかっていて、
あれはなんでモザイクがかけられているんだろう?
と気になることはありませんか?
私は職業柄なのですが、画面上にモザイクがあるとどうしても目で追ってしまいます。
「このモザイクかけるの大変だっただろうな…」なんて思っちゃったりもしますね笑
モザイクがかけられているのには実は色々な理由があるんです。
提供画面の背景文字
番組の途中で「この放送は、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」というナレーションとともに、番組のスポンサー名が出る時があると思います。
この時、背景に流れている映像の文字部分にはモザイクがかけられていることが多いです。
- 演者の衣装の文字
- 名札
- フリップの文字
- 屋外ロケ番組なら、お店の看板
などなど、ありとあらゆる文字にモザイクがかけられています。
これは、視聴者にスポンサー名をしっかり読んで欲しいからかけられているモザイクです。
テレビ番組制作はスポンサー企業さまから出していただく番組制作費によって回っています。
スポンサーがいなくなってしまえば番組は作れません。
そのため、提供には細心の注意を払っており、スポンサー名が出る提供掲示では、他の文字情報をなるべく隠すようにしています。
たまにモザイクがかかりすぎていて、逆にそちらが気になってしまうこともありますが笑
昔は背景に青い画面が表示されていたこともありました。
これもスポンサー名をより目立たせるための工夫です。
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スポンサーの競合他社の製品やロゴ
例えば、放送される番組のスポンサーに飲料メーカーが入っているとします。
その場合、演者の持ち物や飲食物のラベルに競合他社のブランドロゴや文字がある場合は、そこにもモザイクがかけられることがあります。
街ブラや旅番組などロケのある番組では、自動販売機や看板などにモザイクがかけられていることがありますが、これもスポンサーへの配慮なんですね。
例えばドラマなどのエキストラには文字やロゴの入っていない、無地の衣装が推奨されることが多いです。
それらが入っているとスポンサー関係で使えなくなってしまうことがあるからですね。
逆に、メーカー名などが番組内ではっきり見えていたりすると、
それは番組のスポンサーであることが多いです。
コーラを飲むシーンで「コカ・コーラ」が使われていればコカ・コーラがスポンサーに入っています。
逆に「COLA」みたいな表記だったり、ラベルが見えないように置いてあったりする場合はコカ・コーラはスポンサーには入っていない。
コカ・コーラは見た目が分かりやすいですよね!
このように、スポンサー配慮のモザイクというのは結構多いですね。
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容疑者の手錠、腰縄
弊社の場合は情報・報道番組の制作に携わることが多いですので、
こういった事件や犯罪に関わるもののモザイクをかけることは多いと思います。
- 個人の特定を避けるため
- プライバシー配慮
- 人権配慮
といった理由で、容疑者の手錠や腰縄などにモザイクをかけたりします。
被害者や情報提供者へモザイク処理をするのは当たり前ですが、
逮捕された手錠などにもモザイクがかけられていますよね。
これは、人権配慮が理由となっています。
逮捕の段階では「容疑者」であり、犯人とは特定されていません。
そこで「犯人」という印象を強く付けてしまわないように、手錠や腰縄にはモザイクがかけられています。
テレビ業界ではそういった配慮ではあるのですが、逮捕の時点で顔が映っていますし、これは業界独特の習わしのようなものでもあるかもしれませんね。
あとは、犯人だと確定していないだんかいで手錠姿を報道し、もしそれが冤罪で、被疑者が無罪だった場合。
マスコミに対して損害賠償が行われるというケースも考えられます。
そういった意味でも、手錠にはモザイクがかけられています。
資料映像
事件や事故のニュースでは、その事件が起こった背景や雰囲気を伝えるために「資料映像」が使われることがあります。
ただ、これらの資料映像の中で視聴者に誤解を与えかねない情報や、映り込んだ店・企業の営業妨害につながりかねないものというのがあります。
これらもモザイク処理をします。
情報・報道番組の中でもよく使われているモザイク。
実はモザイクは、動いているものにかけるのが結構面倒です。
これからテレビ業界を目指している、という方は、ぜひ番組の中のモザイク処理にも注目してみてください。

