今回はあるディレクター(男性)にディレクターの成長について、
キャリアアップしていくためにはどのようにして仕事をすればいいのかなど聞いてみました。
- Aさん(男性)
- 東京キー局
- 朝の情報番組のディレクターをされている方
テレビ業界に入るまで
Q:もともとどんなきっかけでテレビ業界に興味を持ったのですか。
A:大学のサークルの先輩から新聞記者を受けないかといわれいろいろ話をきいているうちに給与もすごく高くて興味をもちました。
結局新聞の方には行かずに地元のテレビ局に入りましたけど…。
テレビ業界も給与が高いんだろうとも思ってましたね。(Aさんは最初地方のテレビ局に入社されています)
そのあと誘われて他の会社にいきました。
Aさんの様に地方のテレビ局に入社したものの、そこを離れて他の制作会社に行ったり、フリーになったりするディレクターさんというのは時々いらっしゃいます。
テレビ局の場合必ずしも現場で制作をする仕事とは限りませんから、現場で働きたいという方に多いように思います。
Aさんもおっしゃっていましたが、テレビ局にはいろんな会社の人が関わっているので、他社へのお声がかかったりすることもしばしばあるようです。
よく番組制作の現場では「同じところには5年」と言われます。
同じ番組に5年もいるとだいたいその番組についてはわかってくるので、別の番組で成長したいと考える人が多いようです。
同じところにいると、徐々に惰性になってしまうということもあるようです。
番組自体がそれほど長く続かないものが多いのですが、番組名が変わっても同じスタッフでやっているということはよくあります。
特に朝や夕方の情報番組では、番組名とMCは変わってもスタッフはほとんど同じで気が付いたら5年以上似たような番組にいるということもあるんですよね。
そういう時もいつの間にか同じところにいることになるので、成長のためには変わるのもありかもしれません。
新型コロナウイルスによって変化した働き方
Q:現在(2020年5月時点)はキー局の情報番組で仕事をされていますが、現在の働き方はどんな感じですか。
A:新型コロナウイルスの影響で、番組の最近の働き方が急に変わりました。
もともとは一つの班で同じ曜日の担当になっていたのですが、だれか一人でも感染すると全員に感染する可能性があるということで、一つの曜日の担当をさらに2班に分けて仕事しています。
私は今のところ、月曜日と火曜日の担当になっています。
情報番組は月曜日〜金曜日まで毎日放送があったりするので、曜日ごとに班でわかれていて、それぞれにディレクターがついていたりします。
一つの番組でも、複数のディレクターがいて、関わっている人数もとても多いんですね。
ディレクターの仕事の大変なところ
Q:Aさんはこれまでにいろんな番組を経験されていますが、この4月からも携わる番組が変わっていますね。番組が変わることは成長につながると思いますが大変でもあると思います。どんなことが大変でしたか。
A:入ったばかりで、番組の勝手がわからない状態のまま、新型コロナウイルスの影響で体制が一曜日2班体制になったので、これでいいのかな?と手探りでした。
緊張しながらやってました。
それでも番組の方に相談して、担当曜日以外も、数回ですが勉強のために参加させていただきました。
(そういうのが成長の秘訣なのかもしれませんね)
他の番組や局においても、担当の割り振り方を変える他、毎日スタッフ全員が検温し、体調を報告する、
また体調管理のためにセコムのシステムなどを使用している局もありました。
新たなスタッフは極力入れないような体制にもなっていたので、かなり番組的には制限が多くやりにくかったようです。
生放送と完パケはどちらがいい?
Q:ディレクターとして生放送と完パケ物はどちらも携わったほうが成長すると思いますか?。
A:生放送と完パケ物、両方をやるチャンスがあるかどうかにもよりますが、必ずしも両方携わったほうが成長のためには良いというわけでも無いと思います。
もし生放送が好きなら生放送だけで突き進んでも良いと思います。
脇にそれることで、その分まわりに先を越されるかなあと(笑)。
確かに違うジャンルをやっていると、「こんな考え方もあるんだなあ」とは思います。
でもそれくらいかな(笑)
例えば、中華料理をずっと習ってきて、途中からフランス料理を習ったら、それを生かせるか…。中華料理とフランス料理の調和もありかな、うーん、ちょっと例えが変でしたね(笑)
まあ王道を進むなら好きなジャンルをそのまま行くのが成長につながると思います。
もしジャンルが一緒なら別な番組をやっても良いと思いますが。
基本的にはよそ見をしないで行くとAさんはおっしゃっていましたが、心から報道ばたけの方なんだなというポリシーを感じました。
よくテレビ業界では報道と情報番組が同じジャンルで考えられるのですが、Aさんの中では報道と情報ははっきりと区別があるのだというのも感じられました。
また、Aさんがおっしゃっているチャンスがあるかどうか、ということについてですが、情報番組の場合はエンタメやお店紹介など短い完パケ物が途中入っていたりしますが、
報道の場合は、一つの事象を追いかけて取材する社会派タイプの完パケドキュメンタリーというのがあります。
これについては俗に1000本ノックと言われるのですが、報道で掘り下げて取材をしていくようなものはなかなか少なく、企画を考えてもなかなか実現しないと言います。
確かにそういう仕事はやりがいがあると思いますし、とても成長できる仕事だと思いますが、かかわれるチャンスは多くないと思います。
縁とかチャンスっていうのはやはりあるようで選び放題でないことは確かですね。
ただAさんが言うようにやりたいという気持ちをずっと持っていると、やがて自分がやりたいことの近くに行けるのかもしれないと思いました。
ディレクターとして成長していくためには?
Q:どんなことに気を付けて行けば成長できますか?。
A:レベルの高い仕事を進んでやる。同じジャンルで。
Q:ディレクターとして成長するためには地方各地で働いてみたほうが良いと思いますか。
A:私の場合は、地方の地元テレビ局から入って、他からお声がかかりそっちに移動したりしました。自分でどうしても移動したいっていう感じで動いていたわけではないですからね~(笑)
Q:なるほど、今まで報道や情報など様々経験してみてどれが好きでしたか。
A:やはり報道が好きですね。
災害や事件などの情報が報道局に入り、それを聞くと大勢の人が一斉に動き出す、そのリアルを感じる雰囲気が好きなんです。
成長するためにレベルの高い仕事を選ぶということもおっしゃっていますが、どんな仕事がレベルが高いのか、最初はわからないと思います。
でもAさんの様に担当以外の曜日にも勉強のために行かせてもらう、という姿勢は成長の引き金になるのではないでしょうか。
自分で常に勉強していないと、正しい報道は難しいでしょうし。
また、Aさんの場合、報道が好きということでそれは選ぶ番組にやはり表れているようように思います。
特にベテランになって番組を変わる際は吟味しているように見えますね。
いろいろお話してくれましたが今回はかいつまんで載せてみました。
今回のインタビューを通じて普段はあまり進んでお話されるタイプではないAさんが、ご自身のやりたいことをしっかりと持っていらっしゃるんだということ
ご自身なりのキャリアを積み重ねて確実に成長されてきた様子を感じることができました。
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