テレビ番組の制作はオンエアされるまで、いくつもの工程があります。
それぞれの行程で専門の人が入ることがあります。
例えば、撮影のとき。
撮影専門の技術会社から撮影をするカメラマンや、照明をセッティングしたり、手持ちライトで明かりをともす照明マン、音を収録する音声マンなど撮影にかかわる専門スタッフが入ります。
編集の総仕上げのときは、ポストプロダクションと呼ばれる編集所で、エディターやミキサーなどのエキスパートによって、映像処理や音の細かい編集処理が施されます。
こんな風にそれぞれの行程でプロが入るのですが、
最近増えてきたな、と感じるのが「キャスティング会社」。
今回はキャスティング会社について解説します。
キャスティング会社の仕事
キャスティングとは、分かりやすいところではドラマや映画の配役のこと。
どの役にどんな俳優さんに演じてもらうかを提案し、スケジュールの調整をします。
主役や準主役など、おもだった役は企画の段階で決まっていたり、企画は決まっていなくても、先に主役の俳優は決まっていたりします。
それ以外の3番手4番手の役や、毎回ゲスト的に登場する役を決めていくのはキャスティング会社の仕事だったりします。
「それは芸能プロダクションの仕事では?」と思われるかもしれません。
芸能プロダクションは将来有望なタレントを採用して、育成、媒体に使ってもらえるように営業をかけていくのが仕事です。
キャスティング会社は役にはまる俳優を探すのが仕事ですから、役割が違うのです。
ドラマの場合、主要ではない役では主役クラスの俳優と同じ事務所の若手や新人を入れる(いわゆる「バーター」といわれます)こともありますが、
イメージに合う俳優を探そう!というときは、複数の芸能プロダクションから候補となる俳優を提案してもらいます。
何人か候補を出してオーディションをするときもありますが、そのオーディションの運営もキャスティング会社が行うことがあります。
キャスティング会社がやっていることをざっくりまとめると…
- 候補者の提案
- オーディションの運営
- 決定した俳優のアテンド
- 俳優と番組の契約、番組の二次使用の権利処理
などになります。
キャスティングの会社は、以上のようにドラマや映画、CMだったりが活躍の場でした。
最近では、
- バラエティ番組やトーク番組で、特定のテーマで話しができる人をキャスティング
- 新商品やキャンペーン、映画や美術展などの記者発表会のゲストをキャスティング
- 自治体や官公庁のイベントのゲストのキャスティング
- 新規オープンの店やショッピングモール、遊園地などでのイベントを盛り上げる人をキャスティング
- トークイベントの登壇者をキャスティング
など、俳優や芸人、文化人、スポーツ選手、作家、起業家…旬の人たちでイベントを盛り上げてほしい!と思ったときの窓口にもなっています。
キャスティング会社が増えてきた背景
キャスティングはそもそもプロデューサーの仕事ですが、プロデューサーの抱える仕事も増えて、複雑かつ煩雑になってきています。
キャスティングしたいタレントが芸能事務所に所属していれば、事務所のホームぺージや「タレント名鑑」という毎年出版されているタレントの所属会社や簡単なプロフィールが一覧できる本などで連絡先がわかりますので、マネジャーと連絡をとって交渉することができます。
ですが、その交渉内容は
- 番組の内容や収録日を伝えて出演可能かどうか判断してもらい
- ギャラの交渉をし
- 番組の二次使用される際の契約を取り交わし
など増えています。
交渉が成立し撮影日が決まったら、衣装やメイクなどを確認、当日の入り時間や場所を連絡。
交通手段などを確認し、車で入る場合は台数分の駐車場を確保。
当日は迎えに行ったり、控室に案内したり…と、プロデューサーの作業量は多いのです。
出演してくれる人がすぐに決まればいいのですが、そういかないときのほうが多いもの。
出演内容が意に沿わない、スケジュールが合わない、ギャラが見合わない、すでに競合の番組でおさえられている、条件が見合わないなどで、別の人をキャスティングしなくてはならないことが多々あります。
ほかの候補をあげようにも、ほかにどんな人がいるのか、プロデューサーがその分野を知っていないことには番組が求める人物像とズレが生じます。
局員プロデューサーは部署移動があり、制作会社のプロデューサーであっても同じ番組をずっと手掛けることは少ないもの。
番組が終わることもあるし、マイナーチェンジをすることもあります。
プロデューサーが築き上げた芸能プロダクションとの関係が活かされなくなったり、それまで芸能プロダクションと関係なかった番組からバラエティや情報番組に移動してきてキャスティングが出来ずに困ったり、ということがあります。
芸能プロダクションと直接やりとりすることが苦手なプロデューサーも増えてきました。
そこをフォローする会社として、キャスティングに特化した会社が増えてきたようです。
また、企業や自治体が主催するイベントやキャンペーンが増えてきました。
旬のタレントや話題になっている文化人がそこに登場すれば、メディアに取り上げられる可能性があがります。そういうときにもキャスティング会社へ相談することで、主催者の負担が軽くなります。
そうした会社は、もともとどんな人が立ち上げたのか、というとプロデューサーや制作進行をしていた人、芸能事務所のマネジャーが独立したり、芸能事務所が関連会社としてキャスティングを運営したり、フリーランスの制作スタッフやマネジャーが兼業していたりしているようです。
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キャスティング会社に向いている人
- メディア、広報、PRに興味がある人
- 法務関係を学んできた人
- 流行や話題に敏感
- 世話焼きな人
- 人と話すことに厭わない人
- イベントを盛り上げたい人
などが向いているんじゃないかと思います。
学校の文化祭の運営委員会などで活動してみて、その体験が楽しかったり、面白く感じた人は向いているのではないでしょうか。
この役にはこんな俳優がハマるんじゃないか。
このイベントにはこんなタレントがくるとメディアに取り上げられるんじゃないか。
自分の読みがぴったりはまると、穴の空いたピースが嵌ったような達成感があります。
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