ドラマ制作において、助監督や制作進行の仕事の一つに、ロケ地を探すという仕事があります。
今回はロケ地の探し方や撮影の仕方について、紹介していきます。
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病院の撮影ってどんな感じ?
病院が舞台であれば、
- 病室
- 手術室
- 病院ロビー
- 院長室
- 診察室
など。
この場合、全てを兼ね備えた場所を探すとなると実際の病院を探さなければなりません。
総合病院などの大きな病院を探さなければなりませんが、そもそも病院は診察時間の撮影は無理。
診察が行われていない深夜はどうかというと、救急や入院されている患者さんの対応もあるので協力してくれるところは難しい。
ではどうするかというと
一つは、稼働する前の病院を探してみるという方法。
建物が完成していて病院として開院するまでの間、建物を撮影でお借りする方法。
でもそんな都合のいい場所はなかなかないものです。
もう一つの手段はというと、
病室や手術室、診察室などは、スタジオでセットを組みます。
ロビーは、広い空間が必要なので、病院のロビーに見えるところを探します。
例えば、大学や大型商業施設、大型オフィスビルのロビーなどです。
大病院のロビーらしく見えるところを探します。
目星をつけたところに連絡を入れて、撮影させてもらえるように交渉する方法もありますが、まとめて相談できる専用の会社や窓口がある場合もあります。
ロケ地探しで使えるもの
ロケーションサービスの会社を利用する
映画やドラマ、CMなどのロケーションをコーディネートしてくれるロケーションサービスの会社があります。
ロケーションの専門の会社なので、ロケ地についての情報や知識がストックされています。
ドラマのシチュエーションや交通便など希望を出すと、何か所か提案してくれるだけではなく、
- 申請方法
- 使用機材の制限
- 撮影時間の注意
点なども教えてくれたり、
撮影当日、同行してくれて撮影周りをフォローしてくれるサービスがあったりします。
自治体のロケーション係を使う
学校や公園、河川敷や自然の多い場所、観光スポットなどで撮影したいときは、都道府県や市町村のロケーションボックス、
あるいは、フィルムコミッションという名称のサービスがあります。
市町村の自治体でも、観光協会や観光課が窓口になっている場合もあります。
古い町並みでの撮影や昭和の初めなど年代が昔の設定であれば、そうした町並みが残っている町を探します。
独特な町並みが残っている自治体では、観光資源の提供や観光案内の視点から、ドラマのロケの誘致に積極的なところが増えています。
ロケーションボックスやフィルムコミッションがある自治体ですと、ロケ地の紹介だけではなく、エキストラとして市民を集めてくれたり、
ロケ弁当の手配をしてくれたり、
ロケの交渉やスケジュール調整、連絡係をしてくれたり、
休憩所として空き家を提供してくれたりと、様々な協力してくれます。
放送されたドラマから、イメージに合うロケ地を探す
過去に放送されたドラマのなかにイメージするロケ地があるなら、ネットで「全国ロケ地ガイド」で検索してみると、ドラマのロケ地を検索することができます。
作品ごとにロケ地が紹介されているサイトです。
放送されているドラマのロケ地情報も出ているので、放送をみていて気になるロケ地があれば、ここでチェックしておくこともできます。
ロケハンするときに見ておくこと
ロケ地の施設内や外観がイメージに合うかどうか、カメラをどう動かすのかを想定して、カメラが演出通りに動かせるかどうかの可動域も確認しておきます。
その場所の見取り図があればもらっておく。
なければ、計測しておく。
そのために、方眼紙やメジャーを持っていくといいでしょう。
大道具の立て込みや技術用の車両、出演者の車両が止められるスペースがあるかどうか。
敷地内に十分な駐車場がない場合、近くに止められるところがあるか。
出演者用の控室がとれるかどうか。
ないならどうするか。メイクや着替えをするスペースがある方がベストです。
照明用に電源を多くとる場合があります。
電源が何ワットか、施設内に電源は何か所あるか、などもチェックしておきます。
ロケハンの時間帯も意識しておきます。
撮影する時間や、設定している時間帯のロケ地の様子を見ておくこと。
撮影する時間は午後なのに、午前中にロケハンに行ってしまうと
太陽の位置であかりの具合がイメージと違う、こいうことが起こります。
近くで工事があったりすると、時間帯によって騒音が大きかったりすることもあります。
小学校があると、学校行事や登下校時はにぎやかだったり、授業のチャイムが聞こえてきたり。消防署が近いとサイレンが鳴ることも。
ロケ地の現場だけではなくて近隣にどういった建物があるのか、環境のチェックも必要です。
撮影するときの注意点
撮影する施設自体、古くて価値がある場所を貸してくださることがあります。
現役で使われている施設や、個人の方が出入りする施設を使わせていただけることもあります。
原則、撮影する前の状態に元通りにしてお返しするのがお約束です。
家具や備品を動かしたら、元の位置に戻す。
動かすときに床や壁を傷つけそうなら、ぼろ毛布や布で囲ったり、段ボールを敷いたり、養生しておきます。
撮影機材に使用制限のある場合もあります。
昔は照明のせいで照明を持っている人の髪が燃えたり、照明にかぶせるパラフィンが燃えてボヤを起す事故がありました。
今はLEDライトが普及しているので、そういうことも少なくなりましたが
照明機材やクレーンなどの特殊な機材については注意事項が多々あります。
食事や軽食で出前やケータリングを頼むことが多いのですが、その後片付けもしなくてはなりません。
ロケ地と制作サイドで多いトラブルは、
- 後片付けに関すること
- 搬入搬出時間の変更などの連絡ミス
- ロケ時につけた傷や汚れ
ロケ地は今撮影している私たちのチームだけではなく、今後どこかのドラマ制作スタッフがその場所でロケをすることもある場所です。
ロケ地の管理者に「もう撮影に協力するのはこりごり」と思われないように、誠意をもって対応したいものです。
撮影に協力してくださった方々も視聴者ですから、放送を楽しみにされています。
手伝ってよかった、協力して楽しかった、番組もよかったと思ってくださる作品を残したいですね。
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