映像制作の仕事をしたい人の中には
テレビ番組などの番組制作をしたい人と、
CM制作をしたいという人がいるのではないでしょうか。
今回はそんな人向けに番組制作会社とCM制作会社の違いについてです。
番組制作とCM制作の違い
大きな見方をすれば番組制作とCM制作は映像を作るということでは同じ世界だと思います。
どちらもカメラで撮影して編集しナレーションを入れるという作業があるところも同じですね。
しかしながら実際には両者はかなりはっきりと住み分けをしています。
大きな制作会社の場合は番組制作部門とCM制作部門があって両方を得意としている場合もありますが、
通常の制作会社は番組制作かCM制作かの、どちらかに特化している会社が多いと思います。
同じ映像制作でもちょっと畑が違うという感じですね。
依頼元が違う
番組制作というのは基本的にはテレビ局側でどんな番組を作っていくのかを決めるので、
テレビ局の意向に従って番組制作をするということになります。
一方CM制作はクライアントの依頼で映像を作るので、クライアントの意向に従ってCM制作をしていくということになります。
そこは大きな違いですね。
番組制作は視聴率が評価になる
テレビの番組制作ももちろん企業と関係がないわけではありません。
良い番組を作ることで視聴率が上がり、その結果CMを出してくれるスポンサーが増えるからです。
この番組にCMを出したいとか、スポンサーになりたいと言ってくれる企業が増え、
良い番組を作ることでテレビ局全体としての視聴率が上がり、スポットCMを打ちたいという企業も増えればそれは局にとってはとても良いことです。
そもそもテレビ局の運営はCM収入で成り立っていますから、番組制作も企業と関わりがあるわけです。
ただし、直接企業の依頼で番組を作っているわけではないので番組制作の現場と企業は直接的な関係ではないのです。
どんな番組を作るかはテレビ局がほぼ決めており、企業はその番組編成を見てスポンサーになるかどうかを決めるので、番組ありきで企業との関係は後から付随すると言っても良いと思います。
そんなわけで、番組制作会社は比較的自主的に動いて制作することができると言っていいと思います。
そのかわり、番組制作の場合は評価が視聴率にでてきます。
視聴率が悪いとその番組はよくなかったということになってしまうんですね。
そのせいで番組のスポンサーになりたい企業が減ることもありますし、
あまりに悪い状態が続くと場合によっては番組が打ち切りになってしまいます。
このように番組制作の評価は基本的には視聴率になりますから制作側は視聴率をとても気にします。
タイムCMを打ったスポンサー企業にとっては視聴率が悪いと見てくれる人が減ってしまうので打撃になりますが
少なくとも番組制作をしている際にスポンサー企業がああしろこうしろと言ってくることはないので、スポンサー企業との距離はそれほど近くないということになります。
CM制作は企業の売り上げを左右する
一方のCM制作についてですが、
CMは認知してもらうためのメディアだとか、イメージをあげるためにCMをするとか、信頼を得るためのCMだなど様々なことが言われます。
それも確かにそうなのですが、
最終的にはクライアント企業がCMに多額の広告宣伝費を投入するのは、売り上げを伸ばし経営を向上させたいというはっきりとした目的があると思います。
そのためCMは成果が求められるという厳しい面がありますし、クライアントに直結した映像制作だということが言えるのではないでしょうか。
それだけ制作の現場にはクライアントの意向がとても強くなるということです。
CM制作会社は常にクライアントの意向に沿いながら進めていくので、営業力も必要だといっても良いと思います。
特にディレクターともなれば、いかにクライアントが満足できるCMを作れるかそして結果が出せるか、最も良いのは売り上げに直結できるかというのが一番重要になります。
なかなか大変な仕事ですよね。
あるCMディレクターが言っていたのですが、
プロの目から見て良い映像かどうかよりも、いかにクライアントが満足できるかが重要で、
納得してもらうには常に理由をきちんと言えなければいけない、と言っていました。
CMは基本15秒という短い尺ですから、たったワンカットであっても意味を持つ場合が多くあります。
クライアント企業の担当者の後ろには企業のトップや多くの社員もいるわけで、彼らをも納得させるような内容であることが重要なんですね。
時にはこれはどうかなと思うようなことでも、クライアントとしてこだわりたいのであればそれを優先しなければいけません。
またクライアントがよくない提案をしてきた時にいかに方向転換してもらうかは、CM制作会社の制作者の判断と勇気が必要なところです。
よくあるのは、自社製品の良さを盛りだくさんに伝えたいばかりに、何を言いたいのかわからなくなるパターンです。
これをどうやって説得するかなど、CM制作会社はクライアントとのやりとりには神経を使わざると得ないところですね。
しかも売り上げに影響するわけですからある意味責任重大です。
またCMはそのクライアント企業の看板となる場合が多く、イメージを大きく左右します。
番組制作は通常一回だけの放送であることが多いのですが、CM制作の場合一回だけの放送ではなくなんども流れます。
CMを多く流せば誰でも知っているCMになる可能性もありますから、達成感も大きいかもしれません。
CMを華やかな業界だと思う人がしばしばいるのもそんな面があるからでしょう。
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番組制作会社が作るCMもある
このように番組制作会社とCM制作会社は住み分けがあるのですが
実は番組制作会社もCMを作っているところがあります。
カメラを使って、編集してナレーションを入れるという基本的なところは同じなので、
番組制作会社でもCMを作ることはできるんですね。
ただし、番組制作を主としてやっている会社の場合は、基本的なCMの制作はするけど得意ではない分野もあるというケースが多いと思います。
CM制作会社の場合は、規模にもよりますが特殊なカメラを使って特殊な撮影をしたり、
撮影場所も空、海どこでも可能。
またその他アニメを使ったりまたCMに適した撮影場所にも精通していますから、
こだわったものを作るのであればやはりCM制作を得意としている会社に依頼するのが良いと思います。
餅は餅屋ということですね。
ただし、一般的な撮影のみで出来るCMも実は多く、特に地方のCMはそのようなCMが多くなっています。
あまり費用をかけずに通常のカメラでできる撮影でCMを作りたいという場合は、番組制作を得意としている会社でも十分に対応できるのです。
逆にCM制作会社が番組制作を作れるのかというと、それはものによると思います。
CMもドキュメンタリー風に作ったり、またはドラマ仕立てに作っている長尺ものがあります。
サプリメントのCMなどはよく長尺CMを見かけますよね。
あれなどは番組制作と言ってもいいような内容になっています。
ただ、通常の15秒や30秒のCMだけを作っている人がいきなり長尺の番組を制作するのはちょっと厳しいかもしれません。
何れにしてもその会社が何を得意としているかは確認したほうが良いと思います。
業界内で転職をする時
テレビの番組制作に携わっていた人が、もっと華やかな仕事がしたいと言って
CM業界に転職することがあります。
番組制作の経験がある場合、ロケやロケ準備・編集などの経験がありますから
CM制作現場に行っても比較的馴染むのは早いかもしれません。
ただ気をつけたいのは、テレビ番組は比較的自分の企画が通ったり、自分のセンスで作り込むことができるのですが、
CMの場合はクライアントの依頼ありきなので、見た目ほど華やかではないということです。
とはいえCMは通常なんども流れますから、テレビ番組より多くの人の目に止まり
さらにクライアント企業の商品が大きく売れるようになれば多くの人にCM商品が渡るわけで、大きな達成感もある仕事だと思います。
逆にCM制作会社から番組制作会社に転職したという人は実はあまり見かけないのですが、
そちらももっとあってもいい転職ではないかなと思っています。
というのも番組制作と一言で言っても実はその中でも畑がいろいろあり、
大きくは生番組や収録番組がありますし、
細かくはバラエティ番組や旅番組、ニュース番組や情報番組、スポーツなどとても種類が多いんですよね。
何れにしてもやってみないとわからない部分もありますから、まずはチャレンジしてみることでしょうか。
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