ブラック企業という言葉がずいぶん聞かれるようになりました。
そんなにブラック企業が多くなったのでしょうか。
最近になってブラックな企業が増えてきたのかというとそういうわけではないと思います。
高度成長期における日本の企業は、おそらく今でいうところのブラック企業が大半を占めていたのではないでしょうか。
最近はホワイトな企業が増えてきたので、ブラック企業が目立ってしまっている、ということもあるように思います。
政府も働き方改革と称して、残業を削減して健康的な生活をすることを推進していますよね。
さて、テレビ業界もここ数年で見違えるほど労務環境が変わってきています。
テレビ業界の仕事もブラックだ、と言われることが多いですが
実際のところはどうなのでしょうか?
かつてテレビ業界の仕事が3Kと言われた理由
3Kというのは、「きつい」「きたない」「きけん」という3つのことばを略した言い方です。
今でいうところの「ブラック」とちょっと似たような使われ方をしていました。
かつて3Kと言われた業界は幾つかありましたがその一つがテレビの業界でした。
テレビの制作現場、中でもディレクターやアシスタントディレクター(AD)の仕事は3Kと言われていたんですね。
- 残業が多い
- 徹夜もある
- ひどい時は2徹(二日続けて徹夜)、3徹も当たり前のように言われ、何日も家に帰れない。
現場のスタッフは、見た目も汚い、服装は汚いジーパンに、スニーカー、よれよれのTシャツに、ジャンパー。
お風呂も数日入ってないから体も汚いし、髪も長めでボサボサ。
そして、テレビでウケるためには危険なこともしなくてはいけない。
スタントマンみたいな危ないこともさせられるし、危険な場所にも行かされる。
危ない人を取材しなければいけないことも多い。
でもそれが当たり前だったんですね。
加えて、ディレクターがいるうちは仕事が無くても、ADは帰れないし、仕事ができなければ怒られて物が飛んでくることもあるし、時には殴られたことも。
オンエアの日時は決まっているから絶対に間に合わせなければいけないし、
生放送の場合は失敗は許されないから緊張感も半端ない。
万が一失敗すれば「バカヤロー!何やってんだ」と怒鳴りつけられ、蹴りが入る。
実際そんな現場が、かつてのテレビ業界にはたくさんありました。
今で言う「ブラック」な業界だったと思います。
それでもテレビが絶頂期だった1970年代、80年代はテレビ業界にはたくさんの人が入ってきたんですね。
その頃はまだ3Kという言葉も無かったです。
テレビは夢のような世界だったし、テレビから発信される番組はいつも全国の人々の注目だったからです。
だから現場がどんなに辛くても、テレビの仕事に携わっていることが、自分達も嬉しかったし周りの人にも羨ましがられたんですね。
ところが、1990年代から2000年代頃になると、徐々にテレビも当たり前になってきて、人々も冷静になり、
テレビは実はかなり過酷でブラックな仕事だということがひたひたと知れ渡るようになってきました。
ロケ現場にいるよれよれのTシャツを着たアシスタントディレクターも、かつてはかっこよく見えたけれど、
なんだかいかにも大変そうだし、きたなそう、といわれ、かつてのようなオーラがなくなってしまったんですね。
この1990年代ころから3K(きつい、きたない、きけん)という言葉がささやかれるようになったわけです。
そしてテレビ業界を希望する人が減ってきました。
体を壊すからやめなさいと、親に言われる人も多かったようです。
ところが人々のこうした意識と、テレビ局側の意識は若干のズレがありました。
人々がテレビの仕事に就くことを躊躇するようになった頃も、
テレビ局側では、テレビはこんな夢のような仕事だからみんなやりたいだろう、
ブラックな現場でも、放っておいても人は来るだろう、という感覚が続いていたんですね。
バブルの崩壊も絡んで、制作費も減ることになり、人件費も削られ、状況はさらに悪化。
結果として、テレビ業界に来る人は減り、きついから離職者も増え、テレビのスタッフは育たず、良い人材がいなくなってきたのです。
そうしてようやく(かなり遅いとはいえ)最近になって、テレビの現場も変わりつつあります。
特にこの数年の労務環境の変化は目覚しいものがあります。
最近のテレビ業界の仕事はホワイトになっている
もしこれからテレビ業界の仕事をしたいと考えている人がいるとしたら、
以前のような3Kの状態とは全く違うので大丈夫、と言っていいと思います。
通常、労務環境などの改善というのは、なかなか進みが遅いものだと思うのですが、
テレビ業界、特にテレビ局の中の仕事について言えば、今ものすごいピッチで労務環境が改善されています。
テレビの完パケ番組を作っている制作会社については、個々の会社の中のやり方があるので、はっきり言ってよくわかりません。
しかしながら、テレビ局内の仕事に関してはとても改善されてきていることは確かです。
これほどまでに急速に改善されるものなのかとそばで見ていても驚きを隠せないほどですから。
特に改善は東京のキー局が早くから始まっていましたが、最近では地方局もほぼならって改善されつつあります。
休日はちゃんともらえますし、残業も基本は月に45時間以内を目指しています。
どうしても忙しくて残業となる場合も三六協定に基づいて、年間の限度を超えないよう、注意してくれるようになりました。
これまでは残業が多いのは当たり前、という風潮があったのですが、そんな風潮はなくなりました。
働くスタッフの勤務状況にきちんと目をやり、減らす努力をしてくれるようになっています。
また先輩が残っていても仕事がなければ帰っていいという(当たり前なのですが)風潮に変わってきました。
たとえ、失敗をしても暴力などはもってのほか。
セクハラ、パワハラは絶対にダメで、万が一そのようなことがあれば、相談できる窓口も設けているところがほとんどです。
かつては洋服などの格好は気にしなかったけど、今は取材先にもきちんとした格好で行きます。
汚いと言われることもなくなるでしょう。
現にあるキー局では残業が多い番組については、なぜ多いのか、改善できないのかと現場チーフが説明をさせられていました。
弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社なので、
弊社所属のスタッフもテレビ局に行っていますが、残業が多いと減らすように言われ、仕事を配慮してもらっています。
改革が遅れていた、バラエティ番組ですら、局内で作っているものについては、残業の削減がかなり進んでいます。
それだけ、スタッフの労務環境の把握と改善に真剣に取り組むようになったということだと思います。
これらの背景には、世の中の人々の考え方の変化に対応した、とか政府の方針とか、人手不足を解消するためなどいろいろあると思いますが、
ようやく本腰を入れて働き方改革が始まったことは良かったと思います。
テレビに興味を持っているけど、きついから不安、体を壊したくない、ということで、避けていた人たちにも安心してきてもらえるようになるでしょう。
そしてそのことは、良い人材の育成に結びつき、テレビ番組の質の向上になるのではないかと期待しています。
テレビはいまだに強いメディア媒体なので、やはりいい番組を作って行ってもらいたいです。
これからテレビの仕事を目指す人は安心してこの業界に入ってきてもらいたいですね。
ブラックだと言われたテレビ業界は急速なスピードで、労働環境改善されてきています。
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テレビ局のお仕事
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一人一人にコーディネーターがつきますので
現場で何か不安なことがあったり、相談したいことが出てきたら、弊社のコーディネータースタッフにご相談いただけるような環境作りも行っています。
テレビ業界には憧れがあるけれど、ブラックなんだろう、という先入観があってなかなか一歩を踏み出せない、という方
ぜひテレビ業界に勇気を持ってチャレンジしてみてください。
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では今日はこのあたりで。