テレビ番組のロケなどでよく目にすることがあるカメラは、肩に背負うタイプのカメラですよね。
ロケ映像なんかが流れる番組では、カメラさんが重そうにカメラを背負っているのがよく見られます。
実はこのカメラは業界では「ENGカメラ」と呼ばれています。
ENGカメラ
テレビカメラと言えば!なENGカメラ。他にもXDカムと呼ぶ人もいます。
業務放送用のカメラになるので、金額はかなり高額で、1台あたり100万円〜500万円ほどします。
ENGはエレクトリック ニュース ギャザリング=電気的ニュース取材の略で、
現像が必要だったフィルムよりも、より高速で速報性を求めたニュース取材のスタイルを表しているそうです。
電気的に映像や音声が記録出来るようになったENGカメラが登場したことにより、リアルタイムなニュース報道などが可能になった、という背景があるんですね。
ENGカメラはカメラ本体で収録ができるため、ケーブル不要で移動がスムーズ。ロケ収録でよく使われる理由です。
今やスマホでも綺麗な映像が撮影できるようになっているのに、どうしてこんなに大きなカメラをわざわざ担いで撮影に行くんだろう?
みなさんもそう思いませんか?笑
実は、大型だからこそ、安定した撮影が可能である、というメリットがあります。
さらに、ENGカメラには業務放送用のマニュアルレンズが搭載されており、そのおかげで高画質な映像を撮影することができるのです。
このENGカメラの名前をとって、技術クルーのことを「ENGクルー」と呼ぶこともあります。
さらに、ENGカメラにこだわる理由としては、
- 画的に視聴者が見慣れている
- 制作スタッフが長年愛用しているため、操作に慣れている
- 過酷な現場でも対応できる
- インターレースでの撮影に対応できる
というものがあります。
ENGカメラの操作性は各社ができるだけ統一しているので、普段からENGカメラを使っている人であればどの製品でもある程度使える、というわけですね。
また、例えば報道番組の場合は、速報ニュースなどで撮影した映像をすぐに流したい、といったシーンがよくあります。
そうすると、その場で撮ったものをすぐ渡したり中継したい、となるわけで、そんな時に伝送システムを使用して報道部にデータを送ることができ、すぐに編集作業に取り掛かることができるのはENGタイプがメインなのです。
ちなみにENGカメラで有名なのはSONYのPMW-350Kかと思います。
弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社で、
特に報道・情報番組の制作がメインですので、ENGカメラを触る機会も多いと思います。
記録メディアはPD(プロフェッショナルディスク)というものになります。
こちらの大きさはCDケースほどです。
プロフェッショナルディスク、という名の通り、プロとして映像を扱う人でないと、なかなか見たことがないメディアなのではないでしょうか。
デジタルビデオカメラ
ENGカメラとは別によく使うカメラが(業務用の)デジタルビデオカメラです。
デジタルビデオカメラはENGカメラと比べると小さいので、このデジタルビデオカメラで撮影に行く場合は、技術スタッフがカメラマン1人だけ、というケースもあります。
通常はカメラマンと音声(またはビデオエンジニア)の2人体制が多いのですが、
番組と技術会社の契約によって人数体制が異なります。
デジタルビデオカメラを使った技術クルーは「デジクルー」とカメラの種類で呼ばれることもあります。
記録メディアはSD(一般的なSDカードと同型)です。
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ロケでのあるあるな失敗
これらのカメラ機材のこと、
カメラマンさんがいるなら、その人に任せておけばいいんじゃない?
と思われる方もいらっしゃると思います。
実は、アシスタントディレクターが用意をして、時にはカメラも自分で回さなくてはいけない現場というものが多数あります。
そういった時には、どのカメラで撮るか、どんな準備が必要か、ということを自分たちで考え、自分たちで実行しなくてはいけません。
そこでやりがちなミスが記録メディアを間違えて持ってきてしまう、ということです。
- ENGカメラはPD
- デジタルビデオカメラではSD
が記録メディアとなります。
ENGカメラで撮影をするのにSDカードしか持ってきていない、
逆に、デジタルビデオカメラでの撮影なのにPDしかない、
といった間違いはよくあることです。
SDカードに関しては、近くに家電屋さんがあれば購入することもできますが、PDは家電屋さんでは普通販売していないので、ロケそのものができなくなる、という結果になることがあります。
こういったミスをおかさないように、注意が必要ですね。