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「スタッフが美味しくいただきました」等の番組内注釈はなぜ入る?

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テレビ番組を見ていると番組内で「この後スタッフが美味しくいただきました」というような注釈テロップを見かけることがよくありますよね。

視聴者として何も考えずにテレビ番組を楽しむだけなのであれば、あまり注目しない部分かもしれません。

ただ番組を制作する側になるのであれば、これらの注釈テロップがどうして入れられているのか、また自分が規格に沿って番組制作をするときにどのようなタイミングで注釈テロップを入れなくてはいけないのか、という知識は持っておいた方が良いです。

番組制作をする上で一番気を使わなくてはいけない部分と言っても過言ではありません。

 

注釈テロップはクレーム対策

 

これらの番組に挿入されている注釈テロップはクレーム対策として掲載されています。

テレビ局のホームページを覗いてみると番組に対するご意見やお問い合わせをするフォームが必ず設けられています。

またテレビ局のホームページだけではなくBPOと呼ばれる放送倫理委員会というものがあり、ここにも番組のクレームを入れることができるようになっています。

BPOは2003年にNHKと日本民間放送連盟(民放連)などで組織された、

  • 放送人権委員会
  • 青少年委員会
  • 放送倫理検証委員会

の三つの委員会によって組織されている任意団体なのですが、ここにクレームが入ってしまうと放送自体終了しなくてはいけなくなってしまいます。

多くの方は番組へのクレーム、と言われてもあまりピンと来ないかもしれません。

しかしテレビというのは一度に多くの方に見られるマスメディアです。そのため、実は日々多くのクレームが入っているんですよね。

中には、

  • アナウンサーの顔つきが気に入らない
  • 県民性を扱う番組を見ていて悪口を言われたように感じた
  • お笑い芸人を騙すドッキリ企画がいじめに見える

というような、対応が難しいクレームも多く入ります。

番組を制作する上では、

  • 自分とは全く考えの異なる方
  • 立場の違う方
  • 文化的背景が違う方
  • 自分には思いつかないようなコンプレックスを抱えながら生きている方

など、本当に様々な形が番組を見ているということを意識しなくてはいけません。

そういったクレーンもなるべく少なくするために対策として取られているのが「スタッフが美味しくいただきました」などに代表される注釈テロップの挿入なのです。

番組制作をする側になるのであれば必ず知識として身につけておかなくてはいけないものです。

クリエイティブな仕事として憧れられることの多い番組制作、映像制作の業界ですが、同時に多くの方に見られる意識を持って製作をするというのはとても大変なことです。

自分が面白いと思って作ったものでも、人によってはそれを不快に思う人がいるかもしれないということを常に考えなくてはいけません。

そういったクレームへの配慮が多くなりすぎていて、昔に比べてテレビはつまらなくなったと言われる部分が大きくなってきているのも確かです。

とてもバランスが難しい部分ですよね。

関連記事:放送倫理を守るためのBPOって何?番組制作者が知っておくべき知識

 

各注釈テロップの意味

 

番組を見ていて特によく見る注釈テロップについて、どのような意図があるのかということを紹介していきたいと思います。

※スタッフが美味しくいただきました

 

番組を制作するにあたって、食べ物を粗末にしていません、ということをアピールするために入れられている注釈テロップです。

やはりどうしても食べ物を粗末に扱うような内容だとクレームが多くなってしまいがちです。見てて気持ちの良いものというわけでは決してないですからね。

食べ物を扱うような演出がある場合は入れる機会が多くなる注釈テロップでしょう。

※効果には個人差があります

 

この注釈テロップはダイエットや健康、病気など身体の健康に関わる商品を扱う時によく使われています。

特に何かをコマーシャルするような内容の場合は必ずと言っていいほど体に関わる内容のものにはこの注釈テロップが入れられています。

これは薬事法に違反しないために入れられている注釈テロップです。

効果を断定するような表現をすることはできません。実際効果というのは個人差があるものですし必ず効果があるといって効果が無かった時に保証することができないからです。

テレビCMを見ていても医薬品や医療関係、サプリメントなどのCMをしているものに関しては多くの注釈テロップが入っているということがよく分かると思います。

CMを見るときは是非そういったところにも注目してみてください。

関連記事:薬事法とテレビCM、関連する商品はどんなの?

※特別な許可を得て撮影しています

 

テレビだからこそ特殊な撮影の仕方をすることができるのであって、一般の人は同じことはできませんよという注意を促しています。

普段は立入禁止で入ることができないところに撮影で入る、みたいなシーンでもよく使われていますね。

こういった撮影ができるのはテレビスタッフという仕事も特権だと思います。

※○月○日に撮影したものです

 

新型コロナウイルスの影響が出始めてからは特にこの注釈テロップはよく見かけるようになりました。

新型コロナウイルス発生前に撮影されたものを再放送する時なんかは、必ずこの注釈テロップを入れるようになっています。

マスクをせずに撮影していることに対して視聴者が誤解をしないためです。

「コロナ前の撮影ですよ」ということをしっかりアピールするための注釈テロップですね。

 

また他にも亡くなった方や犯罪などの問題を起こしたタレントが出演している番組などが放送される場合にこの注釈テロップが入ることがあります。

問題を起こされたタレントさんに関しては再編集をしてうつさないというのが原則ではあるのですが、編集が間に合わない時の動画この注釈テロップで対応しています。

関連記事:テレビ番組制作の「編集」はどれくらい期間をかけている?

 

番組制作では常に視聴者への配慮が必要

 

このように番組を制作する上では様々な配慮が行われています。

「視聴率視聴率!」と言われるテレビ番組ですが、視聴率が高ければ良いというものでもありません。

面白い企画を立てるのももちろん難しいことではありますが、与えられたルールの中で最大限に面白いものを作るというのが一番難しい部分なのではないかと思います。

これから番組制作に携わるとしている方は特に、番組制作をする上でどのようなルールがあるのかということはしっかりと学んでおく必要があるでしょう。

関連記事:テレビ番組制作の撮影では許可申請がなぜ必要?その書き方について

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長倉 さやか
ライズプランニング(広告部)」の長倉です。広告手段としてのテレビの使い方やテレビメディアの楽しさを多くの人に知ってもらえるように執筆しております。


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