アシスタントディレクターの仕事のなかで、撮影するときのダンドリをしておくことが最も大事です。
もし、アシスタントディレクターがついておらず、なんのダンドリもされないまま撮影に行ったなら、何一つ映像を撮ることができない、といっても言い過ぎではありません。
「カメラがあれば撮影できるでしょ。」と思いますよね。
もちろん、撮影はできます。
ただし、その映像は、自身で楽しむしかできません。
テレビやインターネットで配信して不特定多数の多くの人に見てもらうことはできないのです。
公開を目的に撮影する場合、撮影する場所に申請を出して、許可を取らなくてはならないのです。
今回はその申請の書き方についてお話します。
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許可申請の目的
もし、あなた自身や、あなたの自宅がテレビで映っていたとしたら、どう思いますか?
「なんで出てるの?」と、不愉快に思うかもしれませんね。
ただし、前もって「こういう番組で、こういうシチュエーションで、出ますよ」と知らせてくれれば、納得できるかもしれません。
内容によっては、いつ放送されるのか気になりますし、家族や知人に前もって知らせたいと思うでしょう。
「前もって教えてくれればいいのに。」って誰しも思います。
根本は同じで、突然登場して不快にさせないために、申請して許諾を得る、ということが大事なのです。
とくにビデオカメラは、突然、自分に向けられると、威圧感を感じて、拒否反応を起こすものです。
ましてや、テレビ取材の場合、カメラマンとディレクターの2人から、音声さんとアシスタントディレクターを加えた4人程度、タレントさんがいるとそのマネジャーさんやプロデューサーまでいて、総勢10人以上の大所帯になる場合もあります。
それほどの人数になると、撮影のためにその場所を陣取ってしまいます。
何に使うのか?と、どういう風に撮影するのか?を知っていただくために許可が必要なのです。
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所定の申請書がない場合、何を書けばいいのか
公の場所、例えば、自治体が管理しているような公園や河川敷、港や市場などの場合は、自治体のホームページに申請方法や申請書がダウンロードできるようになっているところがあります。
最近では、積極的に撮影に来てもらおうと、自治体自らロケーションサービスを提供している場合もあります。
申請が必要かどうかわからない、というときは、その窓口に相談したり、自治体の代表番号に電話をして聞いてみると教えてくれます。
所定の申請書がある場合は、それに記入すればいいのですが、「申請書は特にありませんので、そちらの規定の用紙で出してください。」と言われる場合もあります。
そのときに、何を書けば正解なのでしょうか。初めての場合は、戸惑いますね。
申請に必ず盛り込んでおく項目をあげていきましょう。
- 番組名
- 放送局
- 放送エリア
- 放送時間
- 企画名
- 企画内容
- 撮影日時
- 撮影方法
- 撮影人数
- 撮影の責任者
- 制作会社名と住所、連絡先
- この申請書を送った日
①から⑥は番組の概要です。
⑦から⑩は、撮影の方法と規模。
⑪は撮影の責任の所在地です。
これらを文章ではなくて、箇条書きあるいは、枠線で囲って表のように書くといいでしょう。
文章にすると、読まなくてはなりませんが、箇条書きだと、パッと見て分かります。
先方がすぐ分かるようにレイアウトします。
よく分からない場合は、適当なところの申請書をダウンロードして、それを参考にします。
⑧の撮影の方法は、三脚を設置する、とか、2カメ使うとか、定点カメラを設置するなど、機材やそれに伴う人員を書くといいでしょう。
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企画書が必要なときもある
撮影したい場所が、危険を伴う場所だったり、貴重な場所、歴史的建造物で保存されている場所などは、申請書とは別に、企画書の提出を求められる場合があります。
これは、どういう風に取り上げられるのか、を知りたいためです。
そういう場所は、保存委員会など複数人の団体が管理している場合ありますから、企画の内容で、許可をするか許可しないか決められます。
審査機関が複数人数いる場合は、申請書と企画書がまわるまで期間を要するときもあります。
最短でも1週間、かかるときは1か月というときもありますから、期間の余裕を見ておかなければなりません。
公の機関は社判が必要なときもある
公の機関の場合、会社の社判が必要なときもあります。
会社であれば、直属の上司やプロデューサーに相談すればすぐ捺印してくれるのですが、放送局の社判を求められるときもあります。
そのときは、直属のプロデューサー経由で、局のプロデューサーに話を通して、社判をいただきます。
道路で撮影するときは、道路許可書が必要
道路で撮影する場合、ある程度の場所を使用するときは、その管轄の警察に許可書を出します。
撮影人数が多い。
三脚を設置する。
特殊な機材を使う場合は、プロデューサーに相談をして、許可申請書を出すのかどうか判断してもらいましょう。
道路許可申請を出す場合は、申請書だけではなく、企画書、地図、撮影の仕方(カメラ位置や、特殊機材の位置、スタッフの配置がわかる見取り図)などの添付資料が必要です。
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ドラマの制作進行は、申請して許可をとるのが仕事
ドラマの場合、こうした申請作業は膨大にあります。
特に、外でロケしたり施設を借りてロケする場合です。ロケーションを探したり、申請したりするのを専門にしたスタッフもいるほど。
いない場合は、制作進行という役割のスタッフが、これを担います。
アシスタントディレクターの仕事はダンドリ、と言われますが、その一部はこういう仕事なのです。
テレビでは全く見えない部分ですが、こうした見えていないところを構築しているのが、制作という仕事なのです。
テレビを見て、おもしろそうだからやってみたい!と思う人がたくさんいますが、イメージしたのとは全然ちがった。と感じる理由は、こういうところにあるのかもしれません。
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