テレビ番組制作の会社に入ったら、アシスタントディレクターからのスタートです。
大学や専門学校で映像について学んだ人も、その他の学部を卒業した人も、最初にする仕事は同じです。
初めての仕事はどんなことをするのでしょうか。
見出し
番組制作の流れ
テレビ番組制作は、多くの工程を踏んで完成されるのですが、ざっくりと工程をまとめると、
- 企画
- 撮影
- 編集
に分けられます。
企画
番組制作の立ち上がりで、取材先や撮影先を決めたり、キャスティングをします。
ネットや新聞などで、情報を集めて、選定します。どこを誰がたずねるのか、骨組みを決めていきます。
撮影
ロケの詳細な流れを決めたり、スケジュールをたてます。
ロケのダンドリをつけたり、撮影技術スタッフやタレントさんにスケジュールを通達したり、打ち合わせしたり、ロケの準備も含みます。
タレントさんのスケジュールもありますから、撮影は1日か2日程度と、限られた時間のなかで、効率よく撮影をするには、準備を念入りにしなくてはなりません。
編集
編集では撮影してきた映像素材をまとめていきます。
最終的にポストプロダクションという専門的な作業ができる編集スタジオで、映像加工やテロップをいれて、音楽とナレーションをいれて完成です。
番組は常に動いていますから、配属されたチームが、「今どの工程なのか」によって、振られる仕事は違ってきます。
企画段階での新人アシスタントディレクターの仕事
企画の段階から参加する場合は、
- ネタ探し
- 撮影場所探し
- 出演者探し
から頼まれるでしょう。
探す方法はネット検索です。
仕事を頼んでくるのは、ディレクターやプロデューサー、あるいはチーフAD。
彼らは番組についてよく知っているからこそ、言葉を端折りがちです。
番組によって決まり事があったりしますが、はじめてその番組に携わるときに、新人の身では、周囲と同じくらいの知識はありません。
なので最初に打ち合わせをしておかないと、的外れなリサーチをして、挙句に一日の成果をだせなかった、となってしまいます。
ネタ探しや撮影場所探しについては「どのエリアで探せばいいのか」が大事です。
東京23区内なのか、それとも、関東エリアなのか、で探しあてられるネタに大きな違いがあります。
「面白いネタだけど、全然遠くて行くことができない。」では無駄になってしまいます。
いずれのリサーチにしても、一つでも見つかったら、仕事を頼んできた人に報告して判断を仰ぎます。
リサーチの方向性がこれでいいのかどうか。ダメと判断されたら、どこがダメかをアドバイスがもらえます。
最初からパーフェクトなネタなぞ、見つけることはできません。
リサーチ初心者が探してくるものは、とっくに誰かが探しあてています。
だからといってしょげる必要はありません。
リサーチは場数を踏んで、数をこなさないとセンスは磨かれていきませんから。
1つ出してアドバイスをもらい、軌道修正していくうちに、番組が求めている取材先や場所や人が分かってきます。
それが分かってくるまでは、数打ってナンボと割り切って、ひたすら検索しまくります。
関連記事:テレビのネタや企画のリサーチ方法は?
撮影段階での新人アシスタントディレクターの仕事
ロケ地も決まり、出演者も決まっていれば、各所にメールでスケジュールを送ります。
技術会社には、スケジュールと用意してもらう機材も伝えなくてはなりません。
基本的な技術スタッフの体制は、ENGロケの場合、カメラマンひとりと音声マンひとり、の2名が基本です。
機材は
- カメラ
- カメラマイク
- ワイヤレスマイク
- レンズ
- 三脚
- 照明と照明スタンド
撮影の内容によって準備してもらう機材が違いますから、ディレクターに確認をして漏れがないようにしておきます。
撮影が野外なのか、屋内なのか。
出演者が何人で、そのうちタレントは何人か。
特殊な撮影をするかどうか。
タレントの人数によっては、タレントさん一人につき、一台のカメラ、ということもあります。
大人数のロケの場合は、必ずチーフADがいるので、チーフの指示をもらいます。
タレントさんによっては、マネジャーが現場にいますし、ほかにメイクやスタイリストもいる場合があります。
タレントさんが複数入る場合は、誰に何人のスタッフがついているかを知っておく必要があります。
撮影場所によっては、撮影許可申請をしておく必要があります。
もし自分がリサーチてきた場所が採用されて、許可申請しなくてはならない場合、規定の申請書があればそれをダウンロードして書きこみ、期日までに申請。
撮影当日は、その申請書あるいは、撮影許諾書を携帯しておきます。
撮影が始まる前に申請書を指定の場所に届けてほしいと言われる場合もあります。
規定の書式がなく、申請書はそちらで書いてください、と言われる場合もあります。そのときに必要な内容は
- 番組名
- 放送予定日
- 撮影希望日
- 開始時間
- 撮影人数
- 撮影内容
- 使用機材
- 撮影のときの代表者と当日の連絡先
- 会社名
- 会社の連絡先
です。
書き方が分からない場合や、詳細が分からない場合は、先輩に教わります。
関連記事:撮影許可ってどうやってとってるの?
仕上げ段階での新人アシスタントディレクターの仕事
仕上げのときのADさんの仕事は
- デジタイズ
- スクリプト
- インタビューの書き起こし
- 情報確認
- 資料集め
- 問い合わせ先のリスト作成
が主だったところです。
デジタイズ
デジタイズは、撮影してきた映像素材をパソコンで編集作業ができるように、パソコン本体、あるいは、外付けのハードディスクに素材を入れる作業のことです。
ディレクターがすぐに編集できるよう、スタンバイしておくことを言います。
スクリプト
スクリプトは、映像素材の何分何秒にどんなカットが入っているか、の目次づくりです。
ディレクターはそのスクリプトをみながら、必要な映像を探していきます。
インタビューの書き起こし
インタビューの書き起こしは、タレントさん同士のやりとりや、取材先へのインタビューなど、
人がしゃべっているシーンのその内容を書きとっていく作業のことを指します。
情報確認
- 取材した場所
- お店
- 人の名前
- 年齢
- 商品名
- 値段
などデータを確認しておきます。
テロップやナレーションを作成するときに、必ず必要になりますので、一覧にしておき、名刺をいただいていれば、一つにまとめておきます。
名刺入れに入れっぱなしにしておくと、その都度さがさなくてはなりませんから、A4の紙やノートに貼ってまとめておきます。
資料集め
映像を補足するための画像や写真資料、裏付け資料などは、ディレクターと相談して探しておきます。
図書館などで資料を探したり、テレビ局のライブラリーから検索して過去の映像を探すこともあります。
誰かから何かを借りる場合は、それを返却し忘れるのがADの失敗としてよくあります。
それが大きなトラブルに発展することもよくありますので、借りたらすぐ返す。必ず普通郵便ではなく、書留や宅配便など追跡できる郵送手段を使うようにします。
問い合わせ先のリスト作成
問い合わせ先の資料は、その番組をみた視聴者からの問い合わせに対応するためのものです。
番組ホームぺージに掲載することもあります。
取り上げている場所や店、人についての情報を一覧表にしたものを作成します。
準備、段取り、確認がアシスタントディレクターの仕事です。
こうした仕事をしながら取材先やタレントさんとの撮影のための機材の扱いや編集のやり方を同時進行で身に着けていきます。
関連記事:バラエティ番組制作の現場で働く第二新卒の新人ADさんにインタビュー!