今回は照明に関するCMについてです。
LEDの開発で照明業界は大きく変わりました。
そしてこれからの照明業界はデザイン性やIOTを絡めつつ新たな発展の可能性を感じます。
CMはどのように役立って行くのかについて考えてみました。
照明の種類
まず最初に照明の種類についてですが、照明も実はいろんな種類があります。
- ダウンライト:天井に埋め込んであるようにみえる電球型の照明
- シーリングライト:同じく天井に張り付いているように見える平べったい丸型が多い照明
- ペンダントライト:天井からぶら下がるタイプの照明
- シャンデリア型の照明
- スポットライト:部分的に明るく映し出すタイプの照明
- スタンド型ライト:床に置くタイプで背の高いフロアスタンドと背の低いテーブル照明がある
- ブラケットライト:壁に取り付けるタイプの照明で屋内用と屋外用がある
- フットライト:夜間や暗い場所で足元を照らす照明
ホテルのような場所では上記の様な様々な種類の照明を見ることができると思いますが
一般的な家庭で最も利用される身近な照明は、家庭用のダウンライトやシーリングライトではないかと思います。
あるECサイトにおいても売れ筋となっているのは、
- 10,000円前後のシーリングライト
- 10,000円以下のペンダントライト
という結果が出ています。
実は照明には大きくは二つの要素があります。
一つは明るさという実用性の役割、そしてもう一つは装飾品としての役割です。
ECサイトトップの2つのうちよくあるタイプのシーリングライトは、実用性を重視した商品で、
一方ペンダントライトは、おしゃれ感覚を加味したお手頃価格の商品がよく売れており、こちらは装飾品としての役割を兼ねた照明といえ
照明の二面性は売れ筋商品を見てもよくわかるわけですね。
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これまでの照明のCM
さて照明のCMについてですが、実は電気のCMはあっても照明のCMというのはこれまであまりなかったと言って良いと思います。
実は2000年より以前には照明のCMがあったのですが、それは主に電球や蛍光灯のCMでした。
かつての電球は寿命が40日~数カ月程度、そのため頻繁に購入する商品でしたし、どこの家庭にもいくつか電球のストックがあったものです。
それくらい電球というのは頻繁に購入していたものだったため、CMするのもそれなりの認知、売り上げアップ効果があったということです。
当時から電球以外の照明も様々ありましたが、日本の狭い住宅事情においては、シャンデリアを置いたりおしゃれなスタンド型ライトを置ける人の割合はごく僅かなので
もっとも一般的な電球がCMの対象になっていたということだと思います。
つまり照明は生活必需品であって、極端に言ってしまえば
明るければいい、見えればいい、変でなければいいという生活必需品の部類だったのです。
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LEDの出現と照明の変化
1993年にLEDが開発されると照明業界は政府の後押しもあり加速度的に変化していき、
商品化されたLEDは2000年代の終わりごろになると、量産が可能となり一般家庭に浸透していきました。
その主な特徴は
- 消費電力が少ない
- 熱くならない
- 寿命が長い
で、特に寿命については約40,000時間、1日10Hで計算すると約10年も使える計算になります。
その代わり発売当初のLEDは価格も高く、それまでの電球の約20倍程度の値段でしたが、
それでも長い目で見れば節約になるということでどんどん売れていったわけです。
そして2013年頃には従来型とLEDが逆転したと言われており、現在はほぼ100%LEDになったといえるでしょう。
実はLEDの出現には良い意味で別の副産物もありました。
- 一つは調光の変化ができるようになったこと
- 光源の部分が小さいので様々な形状に対応できること
です。
つまり色を変えられる照明、実用重視ではなく、おしゃれ感覚を備えた照明に適応できるということです。
照明はLEDの出現により、装飾家具としての役割が大きくなりつつあるということなのです。
ところが実際にはこれを肌で感じている人は意外に少ないのが現状で、これは照明は取り付けが難しいという概念が強く残っている影響があるようです。
もっとも良く売れるシーリングライトやペンダント型のライトについては最近住宅では自分で取り換えができる形状のものがほとんどになってきています。
ところが照明というのはユーザーの知識が低い分野といわれています。
照明は取り扱いが難しい、自分では取りつけらないという概念を持っている人が多く、それは高齢になるほど強くなっているのです。
そもそも女性と男性の違いもあり、女性は脳の構造から電気関係は苦手という傾向があるようです。
美しい家具や、照明は家庭のお財布を握る多くの女性が興味を寄せるにも関わらず、電気、照明というのはなかなかに苦手分野になっているのは残念なことでもあります。
また賃貸の場合は最初から照明がついているケースも多く自分で選ぶ機会がないという事情も手伝ってしまっていると思います。
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これからは照明のCMが有効なわけ
LEDの副産物である光源が小さいということの利点は様々な形状の照明に対応できることです。
つまりデザイン性の高い照明が生まれやすくなったということです。
ある人が照明を買いに行き、気に入った照明を選んだ時の話です。
その照明にはLED電球が数個ついていたのですが、形が特徴的な電球だったので、
「電球がダメになったらどこでと買えばいいですか?」と聞いたところ
「家電量販店に行けば売っていますが、悪くなりませんから、ダメになったときは照明ごと取り換えればいいですよ」
といわれたのだそうです。
LED電球は通常8年~10年、耐用年数は15年とも言われます。
15年もたったら電球を取り換えるより照明ごと取り換える、という発想に最初はおどろいたそうですが、なるほどそれもあり、というわけです。
丸ごと取り換えるのは費用は掛かりますが、部屋の模様替えにもなりますし、
新たなLED電球が必ずしも古い照明に相性が良いというわけでも無いようで、それは10年もたてば仕方のないことなわけです。
これから照明はおしゃれ家具の一つとして伸びしろがある分野だと思っています。
そのため、照明のCMは今はほとんどない分、効果が見込まれるのです。
照明は電球を取り換える時代ではなく、照明ごと取り換える時代となっていくでしょう。
CMをする場合は高齢者ではなく照明の取り換えに抵抗の少ない40代以下をターゲットとし、
おしゃれで価格帯がそれほど高くない照明を売り出していくのはとても有効だと思います。
- 照明は自分でも取り換えられる
- LEDがダメになったら照明ごと買い替える
- おしゃれ感覚で照明を選ぶ
というような時代になっていくと思います。
照明の変化は居住空間をより明るく楽しくアレンジできるので、これからのCMが楽しみな分野ではないでしょうか。
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