テレビを制作する現場には色々な職種の人がいます。
その中でも今回はビデオエンジニア(VE)、と呼ばれるお仕事について解説していきたいと思います。
たくさんのカメラで撮った映像を整える
ビデオエンジニアが主に行う仕事としては、撮影した映像の色や明るさの調整を行うことがあげられます。
映像に関わる技術的な仕事を広い範囲で請け負うのがビデオエンジニアの仕事なのですが、その中でも大部分を占めるのがこの仕事です。
普段何気なくテレビ番組を見ていて特に違和感を感じないのはこのビデオエンジニアの仕事が大きく役立っています。
例えばスタジオでテレビ番組を収録する時というのはだいたい4〜5台のカメラで撮影を行っています。
別々のカメラで撮影をすると、それぞれのカメラで見た時の質感になってしまうのでカメラによって見え方がずいぶん変わってしまうんですね。
同じ女優さんを撮影していてもカメラによって肌や髪の色が違って写ったりするものです。
同じ機種のカメラで撮影をしたとしても光源が変わることによって色が異なって画面に写ってしまうことがよくあります。
そこで放送前に、収録した映像の映像信号の波形を調整して色や明るさ、画質などを整えているのがビデオエンジニアなのです。
一つの番組を見ていても、どのカメラの撮った素材を使っているのかというのはシーンごとに異なります。
よくよくテレビ番組を注意して見ていると、「映している場所は同じでもカメラを売っている場所は違うな」と気づくことができると思います。
しかしこれは注意して見ていないと実は気づかないようになっており、それほどまでに滑らかに別のカメラで撮影した映像が切り替わっているということなのです。
映像信号の波形を調整して色味を整えていくので、専門的な知識が必要な仕事だと言えるでしょう。
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演出の要素もあるVE
別のカメラで撮影した素材同士を違和感なく調整していくというのも大切ですが、色が揃っていればいいというわけではありません。
色の調整によって映像の印象というのは全く違うものになります。
例えばグルメ系の番組ではこの色味の調整によって、食べ物が美味しく見えるかどうかというのが大きく変わってくる部分だと思います。
色味が薄い食べ物よりも少しビビットなカラーになっている方がおいしく見えたりするものです。
そういった細かい調整をしながら、映像がより魅力的に視聴者に届くようにするのもまたビデオエンジニアの仕事のうちです。
単純に色を揃えるのではなくこういった仕事では演出的な要素が加わると言えるでしょう。
どのような映像に人は心動かされるのか、という受け手のことを考えながら映像を作っていくことができる仕事です。
周辺機材の整備・点検
色味の調整以外にも中継機材のシステム構築を考えたり、カメラや撮影に必要な周辺機材のセッティング、メンテナンスもビデオエンジニアの仕事になります。
テレビ番組制作の現場にいる専門の電気屋さんというようなイメージだとわかりやすいのではないでしょうか。
機材の配線などを担当することもありますし、トラブルが発生した時はその対応もビデオエンジニアの仕事になります。
このような仕事内容を聞くと男性が多いのかなと思われるかもしれませんが、最近は女性のビデオエンジニアも増えてきています。
専門知識はいるの?
色の調整を行うのは、スイッチが並んでいるコントロール室でモニターを見ながら作業をしていきます。
モニターに写っているものはビデオエンジニア以外の人が見ても全くわからないような内容です。
そのため仕事内容としてはとても専門的な仕事だと言えるでしょう。
工学系の学部出身だったり専門学校を卒業している人は多いですが、中には未経験でビデオエンジニアになる人ももちろんいます。
これはテレビ業界全般に言えることで、専門的な勉強をしていないと仕事をすることができないというわけではありません。
多くの人が未経験で業界に入ってきて、現場で仕事をしながら内容を覚えていきます。
もちろん未経験で業界に入って仕事をするというのは、最初はとても辛いことだと思います。
覚えることもたくさんあるでしょう。
好奇心をもって常に勉強していく姿勢を持っていないと仕事を楽しく続けていくことはできないと思います。
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働く場所は?
番組の撮影をする時に機材のセッティングをしたりトラブルに対応したりするビデオエンジニアは、主にテレビ局の中や中継車などで待機をしつつ仕事をすることが多いです。
テレビ局に所属をしている人もいますが基本的には映像技術会社に所属している人が多く、
テレビ局は倍率が高く必ずしも希望した仕事をすることができないことを考えると、どうしてもビデオエンジニアとして仕事がしたいのであれば映像制作会社や技術会社に就職するのが良いと思います。
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