番組制作している人たちの間でも、「孤独のグルメ」のファンが多くいます。
気になるのは、どうやって撮影しているんだろうか?
撮影手順を妄想するのも、楽しいもの。
ということで、今回は、撮影現場を想像してみました。
主演の松重豊さんは、大食漢ではない
ファンの間ではご承知のことでしょうが、主演の松重さんは大食漢ではないそうです。
それなのにドラマでは、たいていの場合、メインの料理とごはん+サブメニューを3品ほど追加しています。
これだけでも、かなりな量です。
松重さんのウィキペディアを見ますと、普段の食事は、朝がヨーグルトとサラダ、昼はご飯半膳と目玉焼き、サラダ、夜は日本酒とつまみ程度だそうです。
孤独のグルメの撮影時は、ある程度の期間、絶食して空腹状態にするらしいのですが、普段の食事量が少なめの場合は、胃の中を空っぽにしても、量を食べることは難しいものです。
撮影の場合、どのくらい食べることになるんでしょうか。
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おいしそうに食べる演技は難しい
食事のシーンは、演技の中では難しいと思います。
食事は自分の無防備な姿を見せることになるので、家族や親しい人とでないと、リラックスして食事はできません。
最も日常的なことですし、食事マナーは厳しい人が多いですから、箸の上げ下げ、持ち方、ご飯とみそ汁の位置などにも、視聴者は目を光らせます。
ドラマによっては、専門家が立ち会って、指導する場合もあります。
それと、食べ方。
口に入れて、咀嚼して、飲み込むまでの流れがキレイであることが求められます。
ドラマではセリフがあるので、食べて喋るタイミングが難しい。
セリフがない場合は、食事そのもので、感情を表現しなくてはなりません。
口の中や目線や指先にまで意識する必要があります。
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どんなカットで編集されているのか
このドラマでは、起承転結でいうと、
- 「起」は、ゴローさんが打ち合わせである町にやってきた。
- 「承」は、ゴローさんお腹がすく。店選びと、メニュー選び。
- 「転」常連さんが頼んでいるのがおいしそう。追加注文しちゃうゴローさん。
- 「結」完食。ごちそうさま。プラス、原作者である久住さんのコーナーでエンド。
30分尺のうち、10分ほどは、ゴローさん一人の食事シーンです。
で、その10分あまりのシーンは、どういうカットでつなげられているかというと、まず、バストショット。
オーダーした料理がテーブルに置かれると、律儀に「いただきます」と一礼します。
そして、ひとくちほおばるゴローさん。このときは、顔のアップ。
ときには、口元にヨリます。
そして、咀嚼しながら、独り言が入ります。
目元のアップになったり、横顔になったりします。
そして、二口めか数口目に。
バストショットにもどり、お箸はおかずに。
もちろん、おかずは数口分減っています。
時間経過とともに、それに見合った分だけ、食事は減っています。
ときどき、まわりのお客さんの出入りも挟み込まれます。
食べ終えたお客さんは、お勘定して出ていきます。
そして入れ替わりに、新規のお客さんが席につきます。
ゴローさんが食事を進めている間、周りのお客さんも、同じように食事が進んでいます。
ゴローさんの食事は、ゴローさんのアップだけではなくて、ヒキがインサートされますが、そのときに、まわりのお客さんそれぞれの食事も、ちゃんと減っています。
カットは、ゴローさんの正面バストショット、口元や目元の表情寄り、横顔、ヒキ、そのほか。
食べているシーンだけで、10分あまり。さまざまなサイズのカットを撮らなければ、尺が持ちません。
カットが何パターンかあるので、撮影手順としては、
順撮りをするか、カメラ位置を変える度に、完食しているかのどちらかだと思います。
たぶん、量を食べられないので、順撮りししているとは思うのです。
その場合、完食するまでに時間がかかります。
一口食べては、カットがはいり、カメラを移動させます。
カメラ位置が決まるまで、役者さんは待ちます。
カメラ位置が決まったら、リハーサルします。
料理のこのあたりに箸をすくいいれて、こう持ち上げて、口に含む。
感想のコメントがこう入るから、何秒くらい咀嚼して、飲み込む。
と全て計算づくで動かねばなりません。
一口食べては、待ち。その繰り返し。
役者さんは、ああ、もっと食べたいと思っても、準備が整うまで待たねばなりません。
そうすると、食べたい!とか、おいしい!と感じるテンションが下がります。
自分の意のままに食べすすめることができないのは、意外なほどストレスを感じるものです。
ドラマのなかでは、最初の一口から最後まで、おいしそうに食べていますが、撮影現場は、数時間かけて、一食分をゆーっくり食べているようなものです。
効率を考えて撮影するとしたら、カメラ位置を決めたら、完食する。
正面おいて、サイドにおいて、ヒキで、と、一食を食べ始めてから食べ終えるまで、それぞれ撮影する方法があります。
撮影時間は、コンパクトになりますが、役者さんは、3食分ほど食べなければならないことになります。
大食漢であれば、最後までおいしい表情で食べきることができるかもしれませんが、
普通の食の太さだと、おなか一杯でこれ以上食べられない場合は、最後のほうは、食べすぎでうんざりな表情になってしまいます。
一食を数時間かけて食べるのか、数時間かけて3食分食べるのか、どちらにしてもストレスですね。
さて、スタッフは何回、店に通うのか、というと、たぶん、ですが、ロケハンに4回くらい行くんじゃないかと思います。
- 1回目は、店を決定するまでに。(これはリサーチ段階なので、この段階で没にする場合も多々あるでしょうから、カウントしなくてもいいかもしれませんが)
- 2回目は、撮影するメニューを決定。
- 3回目は、撮影する料理のカット割りなど構成を決めるため。
- 4回目は、カメラマンも同行して、機材やカメラ位置を決める。撮影下見のため。
放送にのらない部分に、手間と時間がかけられているのが、テレビ番組なんですよね。
関連記事:テレビ番組制作の流れってどんな感じ?
今回は孤独のグルメの撮影現場について、番組制作会社の目線で考えてみました。
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では今日はこのあたりで。