テレビ番組制作に関わっていると色々知らない単語が飛び交っていて、でもみんな忙しいだろうからついつい意味を聞きそびれてしまう…ということが新人時代はよくあると思います。
今回は制作の現場でよく聞くプリプロ(プリプロダクション)とポスプロ(ポストプロダクション)について解説してみたいと思います。
プリプロダクションは撮影前に行われる準備作業のこと
映像制作を行う時に、撮影の前に行われる準備作業の全てを指すのがプリプロダクション、プリプロです。
プロダクションとは「製作」を意味することばで、「プリ」は「pre」であり、日本語だと「〜より前の」「前もって」という意味を指します。
映像制作におけるプリプロダクションは具体的には以下のような作業のことを指します。
などなど。
撮影前までのことを指しますので撮影自体は含まれません。
制作会社に発注が入ると、その発注の時点でプリプロスタート、ということになります。
ちなみにこのプリプロという言葉は音楽制作の現場でも使われますが、
音楽制作の現場におけるプリプロとは、レコーディングを行う前の仮録音や事前準備のことを指します。
映像制作でいう撮影がレコーディングに置き換わったような感じですね。
プリプロでどれだけのことができるか、ということで出来上がる映像の完成度が左右されます。
テレビ番組などの映像を作る上で、とても重要な作業工程です。
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PPMとは?
プリプロにまつわる言葉で、もう一つ「PPM(ピーピーエム)」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
このPPMはPre Production meetingの略で、映像の撮影前に広告主(クライアント)と広告代理店のクリエイティブ担当者、制作会社のスタッフなどによって行われる最終確認のためのミーティングのことを指します。
このPPMでは以下のようなことが確認されます。
- 企画
- 制作意図
- 演出プラン
- 撮影場所
- 出演者
- スケジュール
- 衣装
- セットデザイン
- 小道具
- 音楽
- 撮影リスクや注意事項
など。
広告主の要望にきちんと沿えているか、認識のズレなどないかということも合わせて確認します。
映像は出来上がってからでないと内容を伝えるのが難しいので、絵コンテなどを使ってなるべくイメージしてもらいやすいように、
そして普段映像とは関係のないお仕事をされているクライアントの要望をいかに吸い出せるかということが大切です。
テレビ番組制作の場合は広告主はスポンサーという形で入っていますので、直接広告主の意見を取り入れて番組制作をする、ということは持ち込み番組などでない限りはあまりありません。
ただし、広告主がいなくても、結局企画会議で出た内容をもとに、いかにプロデューサーとディレクターが主に意見をすり合わせていけるか、が大切になります。
プロデューサーは番組全体の総責任者で、制作自体の総責任者はディレクターになりますので、プロデューサーの意見を聞きながらディレクターが実際に現場の指揮をとるような形になります。
だからこそプロデューサーとディレクターの意見のすり合わせが大切で、制作まわりのことを理解しておいたほうが仕事がスムーズにいくので、プロデューサーもディレクターを経験してプロデューサーになっている人が多いです。
関連記事:テレビディレクターとプロデューサーの違いとは?仕事内容もまるで違う?
プリプロとポスプロの違いは?
映像制作の全体の流れとしては
- プリプロダクション
- プロダクション
- ポストプロダクション
という順番になります。
プロダクションの段階で行われるのが、撮影やCG素材の制作。
そして撮影が終わって、それ以降の作業をポストプロダクションと言います。
ポストプロダクションでは主に以下のような作業が行われます。
- 現像
- カラコレ(色調整)
- ME(ミュージックエフェクト)制作
- SE(サウンドエフェクト)制作
- 選曲・作曲
- ナレーターによるナレーションのアフレコ
- ノイズ除去
- 納品形式への書き出し
プリプロダクションの反対で、撮影後の作業の総称をポストプロダクションと呼ぶわけですね。
さらにこのポストプロダクションは仮編集(オフライン編集)と本編集(オンライン編集)に分けられます。
仮編集は最近は個人でも行えるようになっており、パソコンでソフトを使えばできます。
本編集はスタジオを使って行う本番の編集です。
番組制作の現場でも、仮編集はディレクターが自分のパソコンで行なって、本編集だけスタジオで複数人で行う、ということが多いです。
関連記事:オフライン編集とオンライン編集はどう違う?テレビ番組制作における編集過程
難しい専門用語が出てくることが多い仕事ではありますが、忙しそうにしてる先輩にはなかなか聞けないもの…
メモっておいて後でネットで調べたり、ちょっとひと段落した時に先輩に聞いてみたりすると、話のきっかけにもなりますのでおすすめです。
