テレビ業界の裏話

オフライン編集とオンライン編集はどう違う?テレビ番組制作における編集過程

テレビ制作では、撮影したあと、編集の作業に入りますが、この編集期間がなかなか長期にわたります。

動画の編集経験がある人だと、なぜそれほど長くかかるのか不思議なのだそう。今回は編集について解説します。

オフライン編集(仮編集)

編集には、「オフライン編集(仮編集)」「オンライン編集(本編集)」と2つの段階に分けられます。

撮影が終わった直後からスタートするのがオフライン編集です。

ディレクターが映像素材を一通りみて(これを「ラッシュ」といいます)構成を練ります。

撮影に入る前に構成を立てているのですが、実際にその通りに撮影できるわけではありません。

ここが盛り上がりのところになる、キーになる、と考えていても、撮影ではほかの要素が盛り上がったり、アクシデントが起きたり、キャラのいい人物が登場したり。肝心の要素がうまく撮れなかった、ということだってあります。撮影は「水モノ」なのです。

撮影してきた映像に加えて、借りてきた映像、写真、資料などをディレクターがラッシュをして再構成して、編集をしていきます。ここで使う編集ソフトは、”プレミアプロ”が多いです。

プレミアプロで、放送尺に近くなるまで絞り込んでいくのが「オフライン編集」です。

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映像素材は何時間ある?

映像素材は、放送尺の10倍から100倍くらいになります。

「1時間のスタジオトーク番組だったら、1時間半くらいじゃないの?」って思われるかもしれません。

収録時間が1時間半程度で終ったとしても、スタジオではカメラの台数は5〜6台あります。

放送のなかにはCM時間もありますので、番組の正味は45分程度。カメラ台数が多いので、延べ時間は7時間~8時間になります。だから、10倍なんですね。

長期にわたるドキュメンタリーの場合だと、1日に密着したら5時間くらい撮影します。

あっという間に50時間くらいの映像素材が集まってしまいます。

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オフライン編集の期間はどれくらい?

スタジオトーク番組であれば、5日程度。

ドキュメンタリーであれば、2週間から1か月かかるときもあります。

ドキュメンタリーはラッシュをしながら、インタビューや会話を書き起こします。

50時間もの素材があれば、10日はゆうにかかります。

書き起こしは新人のアシスタントディレクターに振られる仕事。慣れていないと、1時間程度の素材を書き起こすのに丸1日かかります。

面倒な作業ですが、ADにとっては素材と向き合えるのは、この書き起こしのとき。

ディレクターの撮影方法や、インタビューの質問の立て方など、観察できる貴重な機会でもあります。

今はADが撮影に立ち合う機会が減っています。書き起こしの作業で、現場の様子や雰囲気を知ることができます。

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オンライン編集とは

仮編集の作業が終わると、次はオンライン編集(本編集)です。

オンライン編集を「ポストプロダクション」略して「ポスプロ」とも言います。

本編集は、編集スタジオで精密な機材を操作して行います。

仮編集では編集ソフトのプレミアプロを使っていましたが、それ以上の精緻な映像処理を行っていきます。

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本編集にかかる時間は?

1時間番組ですと、本編集は1日から2日。

機材操作は編集スタジオに所属しているオペレーター(エディターともいいます)が行います。

ディレクターは映像を見ながら色調整や傾きの修正、テロップのフォントや大きさ、色などの指示を出します。

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仮編集から本編集へ移行するには

オフライン編集で、放送尺に近づいたら、プロデューサーや構成作家など番組に関わるスタッフでプレビュー(みんなで映像を見てチェックすること)を行います。

このプレビューで、OKが出ないと本編集に入ることができません。

プレビューは3回以上することもあります。見直せば見直すほど、修正したいところが出てきます。

プロデューサーは複数いますが、それぞれ、チェックするべき視点が違います。

例えば、制作プロデューサーは取材先や出演者が誤解されるような表現がないかどうか。事実に沿っているかどうか。

管理プロデューサーは、番組の基準に沿っているかどうか。

コンプライアンスプロデューサーは、取材先が法を守って運営しているか、出演者の発言で誤解されそうな点はないか、撮影者はルールを守って撮影しているか、などをチェック。

複数の人の目をフィルターとして通すことで、「この表現は大丈夫なの?」「誤解をうまないか?」「事実に反してないか?」「過度にやりすぎてないか?」「誰かを傷つけるような表現になってないか?」など、細かい点にまで確認することができるのです。

編集では、映像をおもしろく、テンポよく、わかりやすくしていくだけではなく、多くの人のそれぞれの視点を持ち合わせて、多角的にみて、それぞれの疑問を解消していく作業もしなくてはなりません。だからこそ、テレビは視聴者や取材先に対して成実に表現することが可能となっているのです。

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編集作業は彫刻と似ている

編集作業は、彫刻を作るのに似ています。

切り出された丸太をみて、出来上がりの作品をイメージします。

オフライン編集は、ノミでざっくりと削っていく作業。オンライン編集は細い彫刻刀で細かく切り出していく作業です。

テレビ番組は長い期間をかけて、たくさんの人の目を通して、仕上げていきます。

多くの人の技術を結集させることで、ひとりではできないことも実現可能になります。それがテレビ制作の醍醐味かもしれません。

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テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。


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