テレビでは、朝から夜遅くまで、タレントが食べ歩きしたり、その場で撮影交渉して店に入ったり、旬の食材の料理を試食したり、と様々な店が取り上げられています。
テレビでは、どの店もタレントやテレビスタッフとにこやかにやりとりしている様子が流れているので、どんなお店もテレビなら喜んで取材に応じているんだろうな、と思われていることでしょう。
テレビの取材がはいるのは、どのお店も歓迎なんでしょ。テレビに出たら有名になるんだし。
なんて思われているかもしれません。
そもそも、テレビ取材って、前もってお店に言ってあったりするものなの?
とも思われているかもしれませんね。
実は、テレビ取材をうけている店は、前もってスタッフが取材交渉して、何をどう撮影する打合せをしています。
なぜなら、お店にも、タレントにもスケジュールがありますから。
さらに、どこもすんなり取材OK!撮影ウエルカム!とはいかず、断られることも多いんです。
今回はお店が取材拒否するワケをまとめてみました。
広く知れ渡る必要がない
テレビに取り上げられる一番の効果は、その存在が広く知れ渡ること。
番組を見た人が、わざわざ訪れることも。
普段の倍のお客さんがきてくれた!閉店まで満席だった!と、いつもよりたくさんの来客があります。
その効果がある期間はまちまちで、1週間程度から3か月を過ぎてもテレビの効果を感じている、と仰るお店もありました。
一度の放送でそれくらい影響力があるのですが、普段は来ないお客さんが来る、初めてのお客さんが来ることがメリットではない、という店もあります。
例えば、常連さんでまわっているお店だと、新しいお客さんが一気に増えるといつもの常連さんにも行列に並んでもらったり、常連さんもそれなら今日は別の店へ、と帰ってしまうことがあります。
年配のご夫婦が切り盛りしているお店だと、多くのお客さんを受け入れることができない。今のペースがちょうどいいから、お客が増えることを望んでいないというケースもあります。
予約がなかなか取れない店や、限られた顧客だけのためのお店も取材を受けない店があります。
今のお客さんを大事にしたいから、あまり新しい客を増やしたくないんです、というお店は取材を断ることがあります。
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取材を受けるタイミングではない
過去にテレビ取材を受けているのに、今回は取材は受けない、と言われることもあります。
それは、
- 前回の放送からお客さんが増えていて、これ以上増えると対応できない。
- 少し前に保健所から指導を受けていて、いま、改善中だから。
- ご家族が入院していて、取材に対応する余裕がない。
- 店が工事中だから。
- メインで紹介したい料理のシーズンが短く、撮影できるが、放送時にはそのメニューをはずすから。
など、タイミングが合わなくて取材を受けられない、というときがありました。
間が悪いのはどうしようもありませんね。
撮影してほしくないモノが多い
厨房で調理しているところを撮りたいときがあります。
おいしさや人気の裏付けが調理にあるときは、調理のシーンはマストなのですが、使っている調味料や食材、どのタイミングでどれくらいの火加減で調理しているのか、は企業秘密だから映されては困る!と撮影NGを申し渡されることがあります。
そうしたシーンは、テロップなどで隠しますから。と交渉しますが、首を縦に振ってくれない場合も。
料理の秘密を公にしたくないときは、取材をお断りされることがあります。
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撮影に割ける時間がない
撮影にかかる時間は数時間から1日まるまる、ということもあります。
商品や料理を提供するから、ちゃちゃっと撮る程度ならいいけど…。
え?厨房入るの?調理しているのは勘弁して…インタビューも緊張するから、受けたくないんだけど…
と、取材NGの時もありました。
メインのネタではなく、サブネタや寄り道程度の扱いだったり、撮影時間が30分程度で済むようなものなら引き受けるけど、それ以上は協力できないな
と言われることもありました。
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過去の番組取材で嫌な思いをした
タレントさんが1日で何軒ものお店を訪ねるロケのときに、ありがちなのですが…。
予定していた撮影時間のぎりぎりになって、今日は撮影に伺えません!と連絡があり、それから連絡が途絶えてしまった。せっかく、料理や食材など準備していたのに。従業員も楽しみにしていたのに、面目がつぶれてしまった。
そのため、テレビは当てにできない。約束を守ってくれない。とトラウマになってしまったケース。
撮影スタッフ側にしてみると、前の店のロケが盛り上がって予定していた撮影時間がオーバーしてしまったり、渋滞にはまって移動に時間がかかったりと事情があってのこと。
しかも、それまでの取れ高がそこそこあったため、次の店はなくても成立する、と判断したのかもしれません。
また、取材先に連絡をするのは、ADの役目。社会経験も少なく、世慣れていないADが、先方が納得できるような説明と謝罪ができるか、といえば、できるわけもなく、「今日は撮影に行けません。」と伝えるのみになってしまい、お店にとっては嫌な思い出として残ってしまうのです。
このケースは、まあまああって、そうした粗相をしたのがバラエティ番組なら、バラエティはちょっと嫌なことがあって…と言われたり、局の印象が強い場合は、その局はちょっと出たくなくて…と言われることもあります。
バラエティ番組や局のせいではないのですが、そのお店にとっては、ネガティブな印象が根付いてしまったのですね。
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今回は、取材NGの理由を集めてみました。
撮影の打診の電話をしたときに、1時間近く料理のこだわりやお店の歴史を話してくれたのに、最後に、テレビでの取材はできますか?と聞いたら、取材は受けてないのよ~~。ごめんね。と言われたこともあります。
取材を受けるかどうかはお店の考え方次第。取材したい店が、快く取材させてくれるわけではないんです。
その逆で、それまで取材拒否だった店が取材を受けてくれる、というケースも稀にあります。いつか、そのことも書いてみたいと思います。
