最近は「街歩き」と呼ばれる、街をお散歩しながらその地域の魅力を紹介する番組が増えましたね。
『モヤモヤさまぁ〜ず』なんかはもうかなり歴史のある番組となっていますが、『有吉くんの正直さんぽ』などは私も好きでよく見ます。
テレビで街歩き番組が流れていると安心するんですよね〜
こういった番組は最近とても人気が高く、色々な局で放送されていますが、
なぜこういった番組が人気なのか、制作側の目線もふまえてお話ししてみたいと思います。
街歩き番組の傾向
最近の街歩き番組の傾向は、地元のバスを乗り継いだり、観光名所として紹介されやすいところは敢えて外して、地元のニッチな情報を取り扱う、という演出が多いです。
地元に住んでいる人からすると自分の地元の本当にニッチなところが取り上げられるのは嬉しいことですし、
見ている人からすると、テレビ慣れしていない地元の人の素のリアクションを見られるので、それがコンテンツとして面白いんですよね。
とはいえ、素人さんとの絡みが多くなりますので、
やはり街歩きをするタレントさんの力は必要になります。
素人さんと上手に絡んで面白さを引き出すことができるタレントさんじゃないと、なかなか街歩きロケをするのは難しいでしょう。
街歩き番組、制作スタッフはどんなことをしている?
ふらっと見つけたお店に入るようなロケのやり方に見えますが、
もちろんテレビで取材させていただくお店というのは事前に許可取りが必要になります。
許可を取ることができていないお店に入って勝手に撮影、というわけにはいきません。
そしていくらMCタレントさんの力があっても、
面白い番組として成立させるためには、どのお店やスポットを番組内で取り扱うか、ということは事前に考える必要があります。
そのため、街歩き番組でもリサーチという仕事が重要になってきます。
リサーチは主にアシスタントディレクターが担当する業務で、どんなネタを扱ったら番組が面白くなるか、ということを文字通り調べるお仕事です。
ネット検索が主流になりましたが、電話をしたり、実際に現地に赴いたりして、番組のネタを探すんですね。
アシスタントディレクターがリサーチ業務によって挙げてネタの中から、実際に取り扱うネタを決めるのがディレクターになります。
最近は観光誘致をしたい自治体が、街歩き番組の誘致をしようとするケースも増えてきました。
改めてその地域の魅力を引き出し、人を呼び込む、という意味でも、街歩き番組は一役買っているのです。
関連記事:番組リサーチの仕事の流れを具体的に解説
実は制作費を抑えやすい街歩き番組
色々なテレビ局で街歩き番組が増えた理由の一つに、もちろんそういったコンテンツが人気というのもありますが、
制作費を抑えることができるという理由があります。
例えば一般的なバラエティ番組の場合は、スタジオ収録の場合スタジオ使用料がかかりますし、
新番組はセットを作らなければなりません。セットもかなりお金がかかっているのです。
しかもそれらのセットは収録時に組み立てられ、収録が終わればバラして倉庫へ。また次の収録で組み立てられ…とかなり大変な作業をしています。
収録スタジオには限りがありますから、同じスタジオで複数の番組を撮影するためには仕方ないことなんですね。
それに対して街歩き番組であれば、スタジオは使用しなくて良いですしセットも必要ありません。
タレントのギャラと撮影チームの人件費だけで済むわけです。
そして出演タレントも、今をときめくアイドルや俳優・女優さん、というより、経験豊富なベテランタレントとアナウンサー、というような構成が多いです。
そういったベテランタレントの素の表情が見えやすいのも街歩き番組の良さですね。
さらに街歩き番組の場合は、素材がたくさん撮影できますので、後から再編集をするのも容易です。
スーパー(字幕)でフォローをすれば、かなり昔に撮影した映像も使い回しをすることができます。
そういった意味でも、コスパの良いコンテンツだと言えるでしょう。
関連記事:番組制作費の相場ってどれくらいなの?
これからの街歩き番組に求められること
コスパが良く、人気コンテンツにもなりやすいことから、テレビ局が各局こぞって街歩き番組を制作するようになりましたが、課題はやはり、別の街歩き番組との差別化でしょう。
MCとなるベテランタレントさんの色でしか差別化ができていないものが多く、
いままでは街歩き番組もご長寿番組となることが多かったですが、
企画や演出の場面で他の街歩き番組とどう差別化していけるか、ということが課題なような気がしています。
本数が増えたからこそ、タレントパワーに頼りすぎず、企画や演出で魅せることができる番組作りができると良いですよね。
これからテレビ業界へ入って番組制作に携わりたいと思っている方は、ぜひこういった番組の新しい企画や演出のアイデアを考える、ということをやってみてください。
アシスタントディレクター時代からそれができる人は重宝がられますし、
ディレクターになるのも早い気がしています。
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